コールカーター華人が発信するブログ

5年近く前に「BLOOD, SWEAT AND MAHJONG」(Ellen Oxfelda著)という本について取り上げてみた。コールカーターに代々暮らしている華人について書かれた本だ。

残念なことに、当の華人たちが自分たちのコミュニティについて書いた書籍は見当たらない。出身地域ごとの同郷会館にはそうした資料はあるのだろうが、少なくとも市販されている書籍にはそうしたものはないようだ。

だがそうした状況もかわりつつある。facebookをはじめとするSNSで情報発信するコールカーター華人たちが出てきているし、そうした華人たちによるウェブサイトも複数存在している。

そうした中で、現在までのところ最も内容がまとまっていて、コンスタントにアップデートされているのは、www.dhapa.comのようだ。

Dhapa(華人たちは塔霸という字を当てている)とはコールカーター東郊外にあたるエリアで、華人たちの主要産業のひとつである皮なめし業の工場、醤油工場、大小様々の中華料理屋等々が建ち並ぶ文字通りチャイナタウンであるテーングラーのタウンシップが存在する。

www.dhapa.comでは、コールカーター華人コミュニティでの年中行事、インド華人の歴史に関するトピック、コールカーターをベースにする華人たちのマジョリティを占める客家人たちに関する話題、華人たちの教育、彼らの『地元コールカーター』に関するニュース等々、彼らの息吹が感じられて興味深い。

従前は彼ら自身による情報発信といえば、インドで唯一生き残っている華語新聞『印度商報』くらいだったが、それにしてみたところで読者は年配の(まだ華語の読み書きが充分出来る)華人たちのみであった。

ウェブの時代になって、ようやくコミュニティ内外に様々な情報を発信するようになってきた華人コミュニティ。中印紛争以降、政治的な理由から国外への流出が続き、近年は対中国関係の改善、インドの経済成長は在印華人たちにも商機の増大をもたらしていること、中国からの人々の行き来と投資の増加等々といった新たな局面のもと、コールカーター華人(ならびにムンバイー、シローンその他にも少数ながら居住しているインドで数世代に渡り生活している華人たち)への風向きも変わりつつあるのかもしれない。

これまで彼らが『外の人たち』に対して記すことになかった在印華人にまつわる様々な事柄について、日常の事象に加えて自らの歴史にまつわる事柄についても書き記していくことは大いに意味のあることであろう。

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