ソニーαシリーズに注目

Sony α700
2006年7月に初の一眼レフカメラ入門機α100を発売したソニー。コニカミノルタからカメラ事業部を買い取った同社だが、旧来の『α』のブランド名を踏襲し、ミノルタのカメラづくりの路線を継承する実機が発売された安心感からか、カメラ販売店の店頭で、コニカミノルタやその前身のミノルタのカメラやレンズ群がドカドカッと並ぶ様子が見られたのはこの時期であった。
かつてはオートフォーカス機構の開発と発展をリードし、カメラの電子化の先駆者として知られたミノルタだが、皮肉にも21世紀に入ってからはデジタル化の波に出遅れてしまう。苦労して市場に送り出したモデル、α-7 DIGITALや廉価版のα Sweet DIGITALなどは高い評価を受けながらもすでに時遅く、先行二大巨頭のキヤノンとニコンに大きく水を開けられてしまう。
その結果、カメラ事業からの撤退を発表してからというもの、『将来性のない』カメラや関連するコンポーネンツが売れるはずもなく、この部門を買い取ったソニーのカメラとの互換性が確認できるまで、ずっとデッドストック状態だったのだろう。
意欲的な家電メーカーということもあり、何か斬新で思い切ったものを出してくるのかと思いきや、意外なほどオーソドックスな『カメラらしいカメラ』を出してきたことも、『ちゃんとしたカメラメーカーとしてやっていくのだ』という確信を旧ミノルタユーザーたちに与えることになったようだ。
コニカミノルタのカメラ部門が終了したのが2006年3月、それを引き継いだソニーが最初のモデルα100を発売したのが同年7月。もちろん開発の時間がなかったこともあるだろうが、このモデルはコニカミノルタが最後に出したデジタル一眼レフα Sweet DIGITALに多少の改良を加えて『ソニー化』したものだといわれる。
それでもα100発売当初、入門機一機種といくつかのレンズ群だけでは、旧ミノルタユーザーたちを除き、あまり魅力を感じられるものではなかった。そもそも一眼レフは各社マウントの規格等が違い互換性もないため、何かよほどの思い入れでもまない限り、レンズやアクセサリー類について予算範囲や目的などさまざまなニーズに応える幅広い商品群を取り揃えたメーカーのものを購入しようと考えるのが普通だ。
カメラや周辺機器類を特定のメーカーやそれに対応したサードパーティーの製品でそろえることになる。すでにこの時点で『囲い込まれてしまう』ため、後で気になるモデルが他社から出てきても、よほど潤沢に使える資金でもない限り、なかなか手を出しにくいものである。だからキヤノン、ニコンといった世界的なメーカーの商品構成の『規模』は私たちにとって大きな魅力であり、これらのメーカーにとっても貴重な資産である。
ひとたびα100により、旧ミノルタユーザーの支持やその他の人々から『ちゃんとしたカメラメーカー』との認識を得たソニーは、昨年11月には中級機α700を発売して好評を得るとともに、周辺機器についても着実に商品構成の充実させてきている。自社ブランドやカールツァイスの名を冠したレンズ、フラッシュ、縦位置グリップ、アングルファインダー等々、カタログを見ていると『本気度』が伝わってくるようだ。
すでにシグマやタムロンなどのサードパーティーから『コニカミノルタ』マウント用として発売されているレンズ類と合わせれば、一般ユーザーならば特に不安や不都合を感じる人はあまりないのではないだろうか。今後新型ボディの投入も続く。今月にはα100の後継機と思われるα200、3月には中級機と入門機の中間にあたるα350の発売が予定されている。
どれも機能・性能に比して、価格はかなり低く抑えてあり買い得感があること、ボディそのものに手ブレ補正が搭載されていることなどに魅力を感じる人はけっこう多いはず。規格に合うレンズを使用すれば、どのレンズを使用しても効果があるため、キヤノンやニコンのように特定のレンズにこの機構を織り込むより、よっぽどユーザーの立場を考慮した姿勢だと思う。
話はレンズに戻ってしまうが、ソニー製の交換レンズは自社ブランドとカールツァイス・ブランドのものとどちらも、35mmフルサイズ対応のものとAPS-C専用のものが用意されている。言うまでもなく、フルサイズ対応のものは旧ミノルタのデジタル一眼レフはもちろん、フィルム時代のモデルにもそのまま使用できるのだから、昔からミノルタを使っている人にとってうれしいかぎりだろう。
この分野における新参者のソニーにとって、まずしっかりと囲い込むべきは、旧ミノルタのユーザーたちであることから、非常に賢明な配慮だといえる。またAPS-Cセンサー搭載機しか製造していないのに、フルサイズ対応レンズが各種用意しているからには、将来フルサイズのセンサーを搭載したモデルの投入を視野に入れているはずと期待するのが自然かもしれない。
αシリーズにソニーの華やかさやカッコ良さより、むしろ旧ミノルタの質実剛健さやユーザーフレンドリーさを感じてしまい、近ごろとても気にかかっているのがこのαシリーズなのだ。もちろん例によって『このカメラ、インドでいいかも?』というところなのである。もちろんSony Indiaでも扱っており、インド国内で購入可能だ。

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