ブルキニって何だ?

ドイツで開催された女子サッカーのW杯で、なでしこジャパンが優勝したことは記憶に新しい。これまで欧米の選手たちのスピードやパワーといった身体能力に押される部分が多かった(女子サッカーは特にそうした傾向が強い)のとは裏腹に、華麗なパスワークと巧みな戦術で相手をかき回した。これを『女性版バルセロナだ』と評したのは英国メディア。

単に『アジアの国が優勝した』ということには留まらず、女子サッカーの戦術そのものに与えるインパクトが大きいようだ。おそらく今後、各強豪国では、なでしこジャパンが見せた華麗なサッカーを目指すところが増えることと思われる。

大きな脚光を浴びた日本の女子サッカーだが、それでも男性の同種目の場合と比べると、プレー環境や選手としての立場等々、著しく不利な部分が多い。またそれ以前の問題として子供から学生くらいのレベルでサッカーを続けようとしても、なかなか女子のクラブがないため学校と両立できずに断念する例も多いと聞く。クラブチームでも、学校の部活動としても上から下まで環境が揃っている男子の場合と雲泥の差だ。

だが今回のなでしこジャパンの活躍により、女性のスポーツとしてのサッカーが定着する動機になることと思う。頂点を目指す人も楽しみとしてプレーしたい人も、誰でもサッカーが好きでさえあれば、自分に合ったレベルで手近に参加できる環境が充実することを願いたい。

サッカー以外でも、バレーボール、バスケットボール、テニスや陸上競技等々、スポーツの世界で活躍する女性は多いのだが、同時にまだまだ女性の進出が盛んではない種目は少なくない。そうした競技の場合、女性から見てあまり魅力を感じない、始めてみようという動機に欠けるといったこともあるかもしれないが、そもそもプレーできる環境がなかなかないということもあるのだろう。

また慣習的に参加することが容易でない場合もあるだろう。たとえばボクシングなどがそうだ。格闘技の中でも『拳で殴り合うなんて・・・』というところで、ちょっとハードルが高い。現在、日本ではアマチュアの大会は開催されているし、プロ選手もいるとはいうものの、社会的に定着しているとは言い難いものがある。

またスポーツ全般として、文化的な障壁が存在する場合もある。イスラーム圏でも女性のスポーツが盛んな国々は少なくないものの、とりわけ保守的な地域ではスポーツの分野への進出が少なかったり、肌を大きく露出するような種目ともなると国際大会でほとんど参加する選手の姿を目にしない国々もある。例えば水泳などがその例に挙げられるだろう。2008年の北京オリンピックでは、シンクロナイズドスイミングにエジプトの選手たちが参加していたが、国際的な水泳競技でアラビアの女子選手を見かけた記憶はほとんどない。

またテニスでも国際レベルで活躍する選手の中でイスラーム教徒といえば、インドのサーニャ・ミルザー選手以外あまり見かけないのは、この競技に参加するイスラーム教徒女性の層が限られているのだろう。女子バドミントンの場合は、インドネシアが強豪国として知られているのだが。

イスラーム圏の女子スポーツ大会としては、1993年から4年ごとにイランでIslamic Countries’ Women Sports Gamesが開催されているものの、初回大会からずっとホスト国はイランであることから、政治的な色彩が強いようである。

そうした中、イスラーム教徒の女性(国や地域によって環境は千差万別だが)がスポーツに参加しやすいようにと、スポーツ用ヒジャーブが開発されている。

イスラーム教徒の女性向け「スポーツ・ヒジャブ」に世界から注目 (MODE PRESS)

またイスラーム教徒女性向けの水着もデザインされている。こちらは競技用とはいえず、あくまでも海水浴やプールに出かけるといったことが目的のようだ。

オーストラリアの「ブルキニ」がイスラム教徒の女性をビーチへ – オーストラリア(MODE PRESS)

『ブルキニ』という言葉は初めて目にしたが、女性がスポーツに興じる習慣がないことに加えて装いの関係もあるため、保守的な地域では参加可能な種目が限られるのは、いたしかたないのだろう。

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