日常でも旅先でも インドで便利なビデオカメラは?

Panasonic HDC-SD7
これまでindo.toの記事中で、ビデオについては『こんなのどうだろう?』と取り上げてみたことはなかった。カメラと違い、それを生業にする人を除けばビデオカメラを日常的に持ち歩く人はそういないであろうこと、持ち歩く機会があってもカメラが主であり、ビデオが従であろうという、私自身の思い込みによるものだ。またビデオというものは、仕事で用いるのでなければ、撮影後にあまり見る機会もないのではないだろうか。
出力済みの単体の写真やアルバムなどはいつでも気楽に手に取って眺めることができるのに比べて、動画であるがゆえに、わざわざパソコンで編集したり、DVDに書き込んだりといった手間をかけた後においても、それらをテレビに出力して撮影時と同様、かなりの時間を費やして見ないといけないのが面倒だ。それがゆえに『後であまり見ない』ということが往々にして生じるのだと思う。


あるいは素人ビデオにありがちな『上下左右迷走するレンズさばき』『やたらと頻雑なズーム』『突然地面が映る』といった現象から、見ているだけで『船酔い状態』になってしまい、続きを見たくなくなるということもあるのかもしれない。カメラ同様、ビデオも使いこなすには、まず基本をしっかり押さえる必要がある。
『どう撮るか』については、すでに書店に並んでいる解説本に任せることにして、ここでは気楽に扱えるビデオカメラについて考えてみたい。あくまでもカメラが主であり、ビデオが従であるとのスタンスで、日常的に持ち歩いても気にならず、それがゆえに旅先に持って行っても邪魔にならない、でも必要に応じて相応の働きをしてくれるビデオカメラということだ。
正直なところ私自身、動画対する関心が薄いために、ビデオカメラとしての期待よりも、これがいかに手軽なデジカメ並にコンパクトにまとまっているかという点ばかりが気にかかる。でもこれがなかなか難しい。シャツのポケットに放り込んでおけるような気楽なサイズのビデオカメラ自体がほとんど存在しないのだ。
コンパクトデジカメに動画機能が付いているが、これはほとんど使うことがない。画質がとても満足できるものではないことに加えて、撮影時の自由度に欠けるため全く面白くない。こんなオマケがついているくらいなら、それを省いてカメラとしての機能性をさらに高めて欲しいと思う。
だがデジカメの中でもビデオ機能を突出させた三洋電機のXactiシリーズのようなmpegムービー用カメラもある。ボディが小型なうえにメディアがSDカードなので取り扱いも楽。他のデジカメとの間で使いまわしもできていいのではないかとは思う。でも、それらしい機能が満載で画質的にも優位にある『ちゃんとしたビデオ』で、このくらい持ち運びの便がいいものがないかと探していたら、今年9月に発売されたパナソニックのHDC-SD7(以降、SD7)が目に留まった。
長所といえば、記録媒体にSDメモリーカード、SDHCメモリーカードという、ごく小さなメディアを利用するため、HDやDVDを駆動させるメカ部分が不要となったがゆえに実現された小ささと軽さだ。重量はバッテリーを含めて350g、サイズはタテ110mm×ヨコ87mm、厚み52mmというスリムにしてコンパクトなボディがうれしい。ハイビジョン撮影による高画質とともに、前述のとおりデジカメでも使われているメディアを利用するため、デジカメ等の撮影データ保存用のストレージにバックアップするのも簡単なことだろう。
しかしこのSD7、同時に欠点も多く目に付く。まずビューファインダが無くて、液晶モニタだけとなっている部分。これがゆえに小型化できたということもあるだろうが、ビデオ撮影は基本的にファインダを用いて、両手でしっかりカメラを支えて撮るものであるはず。ただしこれが利用できない場合において補助的にモニタを使用するものと了解しているため、ちょっと違和感がなくもない。ただし最近のビデオカメラは優れた手ブレ補正機能を搭載しているので、あまり問題はないのだろう。
小型化の裏返しとして出てくるのが、付属バッテリーパックを使用しての撮影時間が、カタログ値で『連続撮影時間約1時間25分、実撮影時間55分』と短いこと。そして4GBのSDHCメモリーカードを使用しての撮影可能時間が、HGモードで約40分、HEモードで約90分に過ぎない点。現行機はSDメモリーカードの256MBから2ギガバイトまで、SDHCメモリーカードの場合は4〜8GBまで対応となっている。これを超える更なる大容量のものが出てきたときに果たして使えるのかという疑問もある。
また高画質の代名詞のようにもなった『ハイビジョン』だが、実は光量が不足した場面には弱いという特徴がある。しかもこのビデオのように小型の撮像素子を利用すると、暗い場面での撮影は更に不利となる。またワイド画面のみとなっており、画面のタテ:ヨコ比が選択できない部分については、かなり好みが分かれるのではないかとも思う。モデル・チェンジを重ねるにつれて、かなり使い勝手は向上していくことだろう。
このSD7、アイデアとしてはかなりいい線いっていると思う。そしてこのくらいコンパクトならば、日ごろからカバンの片隅にでも放り込んでおいても気にならないし、旅先に持って出かけるのも苦にならないだろう。だがよくよく考えてみるまでもなく『購入してもあまり使わないのではないか?撮ったものを見ないのではないか?』という疑問も再び浮かんでくる。それに観光地や遺跡等で入場料以外にしばしば『カメラ撮影代』を徴収されるが、これがビデオとなると法外なまでに高かったりすることが少なくないことも気分を萎えさせてしまう。
かなりテンションが下がってしまったが、ビデオであるがゆえに記録できる部分、動画であるがゆえに表現できるものは多いし、家族や友人との楽しいひとときを詳細に綴るのは楽しいので、まあこんなビデオカメラがあったらいいだろうな、と思う次第である。

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