インレー湖

宿で募っていたインレー湖のボートツアーに参加した。ノルウェー人男性、アメリカ人男性とその友人の日本人女性、そして私の計4人である。朝7時半に船頭が迎えに来た。

インレー湖につながる水路

ホテルを出て通りを左に直進したところにインレー湖につながる運河の船着場がある。両岸は土が崩れ落ちないように竹で護岸がなされている。ところどころで浚渫作業が進行中。放っておくと浅くなってしまい、船の往来に支障を来たすようになるのだろう。

竹でできた護岸

様々な船が行き交っている。野菜などの食料品その他の生活物資を載せたもの、建築資材を積んでいるもの等々。だがこの時間帯で最も多いのは、国内外からの観光客を乗せた船だろうか。

船は速度を上げて進んでいく。やがて水路から湖に出て景色が一気に開ける。これまで写真等ではときどき目にすることのあった片足漕ぎの漁師たちの姿が見える。両手で作業しながらも船を進めることができるという利点があるが、傍で眺めていると何とも不自然な身体の使い方だ。

インレー湖名物の片足漕ぎ
インレー湖に出た

船は、パウン・ドー・パヤーというお寺入口の船着場に着いた。本堂内中央には五体の仏像らしきものがあるが、いずれも大量に貼られた金箔のため、雪だるまのような有様になっている。

パウン・ドー・パヤー
大量の金箔で雪だるま状態

隣にはマーケットもある。市場では食品や雑貨等いろいろ売り買いされている。規模もニャウンシュエよりもおよそ倍くらい大きい。マイノリティの人々も来ていて、民族色豊かでカラフルだ。

マーケット

そこから船は来たときとは異なる水路を進んで機織の村に行く。村といっても、水路沿いにある高床式の水上家屋がいくつか寄せ集まっているだけのことだが、周囲はどこもかしこも水で一杯なので、隣家に行くにも船が必要。どの家屋でも軒先には一隻以上の船を繋いである。近所で用を足すだけの自家用なのでほとんどは手漕ぎだ。

そんな環境なので、このあたりでは小さい子供たちも上手に船を操っている。ごくわずかな陸地(?)のように見える部分は浮島になっており、季節の野菜類が栽培されている。どこの集落でも、いくばくかのこうした『耕作地』がある。

水上家屋 水面上の緑色の部分は浮島状になっていて野菜等を植えてある。

家の周りで自家消費に必要な魚類は簡単に調達できそうだが、耕作は容易ではないし、その他の生活物資の入手についても不便だろう。どうしてこういうところに人々は住み着いたのかわからないが、きっと何か合理的な理由があるに違いない。

次にビルマ式の葉巻作りの作業場。大きな高床式建物の中で行われている。中には刻みタバコが詰めてあるが、外側の巻き材はイチジクの葉であるとのこと。女性たちが作る葉巻にはどこかのブランドの名前が付いていることから察するに、一定量の材料を手渡されて請負生産しているのだろう。ここは作業場とはいえ主にみやげ物を売ることを目的にした場所のようで、ビルマ漆器の大小様々なものが展示されている。

次に訪れたのは銀細工の作業場。いろんな年齢層の職人たちがそれぞれ受け持っている異なった工程で作業を進めている。最初に訪れたお寺とマーケットからずっと、他グループの同じ顔ぶれの人たちと行く先々で出会う。どの船頭たちもほぼ同じコースを回っていることがわかる。

銀細工作業場見学を終えてから近くにあるレストランで昼食を済ませた後、水上の耕作地に向かう。浮き草等の植物性の『土壌』から成る水上の畑だ。先述の浮島状の耕作地が大きくなったものである。季節により作物は変わるそうだが、この時期に栽培されているのはトマトである。本来は乾燥地に植える作物だが、ここで採れるトマトはどんな味がするのだろうか?

水上のトマト畑

そしてガー・ぺー・チャウンという、輪の中を飛び抜ける芸をするネコたちがいるお寺として知られているところ。複数の猫たちが係の(?)男に芸をさせられている。男が鈴を鳴らすと芸が始まる合図だ。猫を引き寄せて手にした輪で喉の下を数回擦る。すると猫が上向いて「やる気になった」らジャンプするというもの。

ネコのジャンプ

このお寺を最後に、船はニャウンシュエの船着場に戻る。本日同行した人たちと水路沿いにある飲み屋に繰り出して乾杯。付近には他にいくつか外国人が多く宿泊するホテル等がある中、界隈で唯一ジョッキの生ビールを出す店なので、けっこう賑わっている。

目の前の水路を行き来する船を眺めているうちに、陽がとっぷり暮れてきた。

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