アジア大会決勝トーナメント一回戦 日本対インド

中国の広州で開催中のアジア大会にて、本日行われた日本とインドの試合を観戦した・・・といっても、現在私は中国を訪れているわけではなくテレビ観戦である。

 インドのサッカーといえば、西ベンガル、ゴア、カルナータカ等、そこそこ人気の高い州はあるものの、総体的にはかなりマイナーなスポーツとなっている。だが2007年にI-Leaugeがスタートしてからは、本格的なクラブ運営とともに外国人選手を積極的に獲得したり、若年層からの組織的な育成システムが導入されるなど、プレー環境は次第に整いつつあるようだ。 

アジア大会のサッカーは年齢制限(23歳以下でオーバーエイジは3名まで)があるため、あくまでも参考までの話だが、国際Aマッチの試合において、インド代表はこれまで40年ほど日本代表に勝っていないらしい。 

この大会に出場している日本代表は、2012年に開催されるロンドンオリンピック(サッカーは23歳以下)に向けた準備段階という位置づけであるため、広州にやってきたメンバーは2年後に満23歳以下となる選手たち、つまり現在はU21つまり21歳以下というひとつ枠が下の年齢層から構成されている。Jリーグ選手が多くを占めるが、登録枠20名のうち7名は日本の大学でプレーしている。 

これに対して参加国の多くは、インドも含めてU23つまり23歳以下という制限をフルに使って代表が選出されている。チームとしての相対的な実力はともかく選手としてよりピークに近づいた選手たちを起用できるという点からは、それよりも下の年齢層から成る今回の日本チームにとって決して容易に勝ち進めるものでないといえる。 

それに加えて代表招集から大会開幕までの期間が短く、日本での合宿が7日間しかないという点からも調整不足といわれており、グループAの初戦、中国戦での苦戦が予想されといたのだが、幸いにして3-0と大勝し、続くマレーシア、キルギスをそれぞれ3-0、 2-0と下して3試合で8得点無失点にて無難に決勝トーナメントに駒を進めた。 

招集された全員をI-League選手が占めるインド代表だが、グループDでクウェートに0-2、カタールに1-2で敗れたものの、シンガポールに4-0で勝ち、なんとかこのステージまで進むことができた。 

以下、参考までにグループリーグの結果である。 

Asian Games 2010: Latest Results And Group Ranking (football-asia.net) 

会場に君が代とジャナガナマナが流れた後、選手たちがそれぞれの自陣に散って試合開始のホイッスルが鳴った。予想どおり日本が一方的に試合を進めていく。 

まずは永井の先制ゴール。まさにgoal.comのインド版サイトに出ていたとおりの幕開けである。 

Asian Games Special: Know Your Rivals – India U-23 Must Watch Out For Kensuke Nagai (goal.com)

続いて山崎の追加点。その次は左サイドから山口が上げたクロスをゴール右前にいた東が直接狙うと思いきや、これを中央に折り返して山村が得点。日本らしい緻密な連携による芸術的なゴールだった。前半3-0でハーフタイムに入る。

 後半は、中盤の位置から縦に抜けだした永井が再びゴールを決める。中国戦の最初のゴールを決めたこの選手は、大学生ながら今回の代表のエースの座に躍り出た日本の新星だ。決してシュートを狙うシーンは多いというわけではないのだが、ここぞというところでゴールを記録する決定力は見事。おそらく大学卒業後にはJリーグ入りして、オリンピック代表そしてフル代表へとスター街道を邁進するのではないかと期待させてくれる。 

最後のゴールは、右サイドからの展開から中央に折り返したボールを水沼がダイレクトにゴール。背番号10を付けるこの選手は、Jリーグ発足前の日本サッカー界を代表するテクニシャンであった水沼貴史の子息。 

インドには、4季目を迎えたI-League効果は?と期待するものがあったのだが、残念ながら見るべきところは何もなかった。力量の差が甚だしいため仕方ないのだが、強い相手を前に連携が非常に悪く、縦へ縦へと急ぎ過ぎては、いとも簡単に相手にインターセプトされてしまい、文字通り成す術もないままにタイムアップとなってしまった。 

後半30分を過ぎようかというところで右からのクロスをゴール前の走りこんだ選手がシュートし損ねたもの、また終了5分前に左からの折り返しをヘディングでゴールを狙ったものだけがインドのチャンスであった。

とりあえずベスト8に勝ち進んでいる日本が次に対戦するのは、本日行われるタイvsトルクメニスタンの試合の勝者だ。 

アジア大会サッカー決勝トーナメント (日本サッカー協会) 

次の試合も日本が勝てば、おそらく準決勝で当たるのはイランだろう。反対側のブロックには、韓国、カタール、ウズベキスタンといった強豪の名前が見えるが、現在までのところあちら側では先のW杯メンバーが6人も入っている北朝鮮が最有力視されている。 

インドのチームについて、個々には高い技量を持つ選手がいることは見ていてわかった。I-Leagueがスタートしたといってもまだ日が浅い。加えてかつての日本のJリーグにように国の挙げての盛り上がりを見せたり、サッカーが少年たちの必修科目のようになっているわけではないので、過大な期待をするわけにはいかない。むしろクリケット一辺倒の国にあって、息の長い活動を続けてくれることを願うべきだろう。 

今日の試合もさることながら、来年1月のアジアカップを2か月後に控えて、インドのフル代表は、今月14日に行われたクウェートとの親善試合にて、1-9という記録的な大敗を喫している。これはインドサッカー史上ワースト2位のタイ記録となる。 

Indian National Team Special: The Worst Defeats India Have Suffered (goal.com) 

監督は釈明に追われているようだが、プロの世界は結果がすべてだ。インドのサッカー界を統括するインドサッカー連盟も頭を抱えていることだろう。これではせっかく力瘤込めてスタートさせたI-Leagueの名が泣く。 

現在のアジア地域のサッカー勢力図といえば、韓国と日本が頂点にあり、これを北朝鮮とアラビアの産油国が追う形になっている。そこからやや下がった位置に中国があり、さらにタイをはじめとするアセアン域内のサッカー強国といった具合だ。 

こうした力関係の中に、今後インドがどのように割り込んでくることができるのか、たとえ時間はかかろうとも、ウォッチングしていきたいと思っている。そもそもスタート地点が極めて低いことから、これからの伸びシロは大きいだろう・・・といった消極的なことしか今は口にすることはできないのだが。 

インドU23チームの軌跡 (goal.com)

※先日の続き『Lonely Planet 2』は後日掲載します。

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