こちらは1921年にカルカッタで発行されたダージリンとヒマラヤ鉄道の案内書復刻版。
内容が古くなると用をなさなくなるガイドブックも、これほど時代を経ると、当時の町中の有様や習俗を記した歴史的価値も生じてくる。同様の内容で、別の著者による1890年代発行のものもダージリンにて購入したが、その30年間での物事の進展も窺うことができて興味深い。
後発のヒルステーションにして、カルカッタからデリーへの遷都後にインド夏の首都と称されるようになったシムラー南方にもうひとつのヒルステーション、今も創作活動を続けているアングロ・インディアン作家ラスキン・ボンドの故郷でもあるカサウリーがある。
前者は行政の中心であり、かつ文民の避暑地であり、平地酷暑季の勤務地あったのに対しで、こちらは主に軍の駐屯地であり、地元のリソースを生かした産業、たとえば良質な水を用いた酒の大きな醸造所があったのと同じように、先発のダージリン南方にあるカルスィヨンも同じような性格があったようだ。