ビハール州で独自のジャーティ調査を実施へ

長年、国勢調査において国民のジャーティへの詳細な調査をと主張してきたニーティーシュ・クマール。彼がチーフミニスターを務めるビハール州で独自の調査が行われることになった。インドにおいてはセンシティブなテーマで、かつ政策実行において大切なものでもある。指定カースト、指定部族、その他後進諸階級(OBCs)の人々への留保制度という優遇があり、その他の上のカーストということになっている人たちが損をするという待遇が固定化されている。

この逆差別には是非いろいろあるが、私個人としては、インドで実施されている留保制度というものについてはまったく賛同できない。実際の経済状態ではなく、生まれたカースト等により留保が与えられる、あるいは与えられないという不条理なものであるからだ。

カーストは下であってもビジネスの世界、弁護士、医師などの専門職、政界で活躍している人は多い。そういう人たちの子女にまで留保枠を与えるのはおかしいだろう。同様にブラーフマン、ラージプートなどでも貧困にあえぐ人たちは多いし、富裕な商人層として知られるマールワーリーにだって、貧し過ぎて今日の糧にも事欠く人たちは大勢いる。けれども彼らには救いの手は差し伸べられない。そんな差別がある。留保はカーストという観念的な出自ではなく、現実の出自つまり実際の家計状況によるべきだ。

しかもその根拠となる、国民のそれぞれがどのジャーティに属していて、それぞれがどのくらいの人口規模を擁しているのか、どのような職業に従事して、世帯ごとにどういう家庭状況にあるのか、地域ごとの特徴なども含めて、きちんと把握されていないものであるからだ。

それでいて「政治の力」により、票田となる特定のカースト、とりわけ人口規模が大きく、ロビー能力の高い後進カーストがそうした優遇措置を勝ち取っていくとともに、留保対象外のカーストの若者たち、つまり上位カーストの人たちの将来の可能性を奪われていく。たとえ世帯の経済レベルは留保対象の者たちと同等か、それ以下であっても。

こんな状況であるため、やはりこれはきちんとした調査、分析、評価が実施されてしかるべきもの。後進州のビハール州が全国に先駆けてこれを実施することは注目に値する。この調査の中でムスリムのコミュニティーについてもかなり詳細に調べるらしい。今後の進展に期待したい。

これを実施したからといって、前述の逆差別が解消されるわけではないのだが、少なくともカーストやジャーティごとの実態がきちんと調査されるのは良いことだと思う。

Bihar is talking caste census but with Mandal memories — Hope, anxiety, fear (The Print)

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