落陽の国民会議派

国民会議派の退潮ぶりを象徴するようなニュース。アラーハーバード(現プラヤーグラージ)のジャワーハル・スクエアにある「インド独立運動の聖地」のひとつ、国民会議派のアラーハーバード事務所だが、家賃滞納で立ち退きを迫られている。

インドの初代首相ネルーの実家「アーナンド・バワン」を訪れたことのある人はとても多いかと思うが、この事務所はその妻であったカムラー氏が地域の代表を務めたときに拠点としていた歴史的な場所だ。

もちろん今は国民会議派の活動の本拠地、ひいてはUP州の国民会議派本部はラクナウなので、ただの地方のローカルな党事務所のひとつにしか過ぎないため、ネルー家がアラーハーバードに暮らしていたときのような重要度はないとはいえ、「ジャワーハル・スクエアのコングレス事務所」と言えば、誰もが「ああ、ネルー家のお膝元の」と思い出す象徴的な場所。ゆえにこれが危機となればニュースになる。これまでも関係者たちは幾度も資金調達に努めてきたようだが、いよいよ危なくなっている。

同様に現代のネルー家、つまりガーンディー家であり、国民会議派の実質的な本丸であるデリーの「10 Janpath」(総裁ソーニアー氏の居宅の所在地)の主も経済的な不正疑惑の渦中にあり、専門調査機関からの聴取などを受けるなど、こちらもグラついている感じだ。

まだいくつかの州では地元ボス政治家たちの底力により国民会議派が政権を維持している州、与党BJPと拮抗する力を持つ州もあるが、MP州で「21礼砲級の旧藩王国当主」のジョーティラーディティャ・スィンディヤーがBJPへ手下とともに移ったように、もしかするとラージャスターン州でも同様の事件が起きるかもしれない。

先の州議会選挙戦後に大ボスのアショーク・ゲヘロートと最後までチーフミニスターの座を巡って争った、頭脳明晰かつ人望も非常に厚い若手のホープ、サチン・パイロットの動向が懸念される。あのときのふたりの抗争は「10 Janpath」にまで持ち込まれて、ガーンディー家3巨頭(ソーニアー氏、息子のラーフル氏、娘のプリヤンカー氏)による大岡裁きに委ねることにまでなったことは記憶に新しい。

国民会議派は、このまま地平線の彼方へと沈んでいってしまうのだろうか。

Congress struggles to clear party office dues by July 15(THE TIMES OF INDIA)

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