高名なフリーダム・ファイターの孫

インド人ならば誰でも知っているフリーダム・ファイター(独立の志士)であり、独立前のインドで国民会議派総裁を務めたこともある。またジャミア・ミリヤ・イスラーミヤー大学創設者のひとりでもあったムクタール・エヘマド・アンサーリー。その孫であるムクタール・アンサーリー。父親は共産党所属の代議士であったし、副大統領だったハーミド・アンサーリーも身内。それでいて、このムクタールはUP州きっての大ヤクザのひとり。しかも州議会議員でもあるのだが。

大変な名家に生まれて、なぜヤクザになるのか。ヤクザになったのに、政治家にもなるのは、やはりその血がなせる業か。ただ、祖父や親戚は国に奉仕した偉人として知られているのに対して、バラマキと脅しで議員の椅子を複数期得てきた人。誘拐、ゆすりなど以外にも、不動産、採鉱(石炭)、酒造販売その他を非合法に営むグループの棟梁で、何億ルピーも稼ぎ出す「企業家」としても知られる。こういう人ならば、ちゃんと合法的な稼ぎもできるだろうに。

同時にムスリムの貧困層に対して、気前のよい救貧活動をしていることでも知られており、彼らにとって脅威でもあるヒンドゥー右翼政党BJPは、ムクタールの仇敵でもある。そんなわけで「人情に厚く、頼りになるオヤジ」的な立ち位置もあるのだろう。やはりヤクザとはいえ、そのあたりは高名な「フリーダム・ファイター」の孫らしいところか。

それでも殺人、誘拐その他の容疑を多いときは46件(今は10件)も抱えていた「州議会議員」というのは尋常ではない。インド政界にはヤクザ者も多いが、この人はちょっと別格。この人の伝記みたいなのがあったら読んでみたい。まんま映画の主人公みたいなワルなのだ。

それで、このニュース。UP州のムクタールだが、現在収監されているのはパンジヤーブ州の刑務所だが、UP州が働きかけて自州の刑務所に移送されることについて。同州の刑務所に放り込まれていたこともある彼だが、今回の収監先は敵対勢力、BJPやムクタールと血を血で洗う抗争を続けてきたライバル勢力の影響下にある場所となるようだ。彼の悪運もここまでか?という評もある。

しかし、このムクタール、人望も能力もあり、カリスマと任侠心も持ち合わせていて、しかも人々から尊敬される一族の出身。ちゃんとまともなことをやっていれば、本当に皆から尊敬される人物になれたはずなのに、と思うのは私だけではないだろう。

Mukhtar Ansari may lose his UP Assembly membership, Yogi Adityanath govt’s action soon (INDIA TV)

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