バスタル地方といえば、カラフルなハート(定期市)で知られるが、だいたい大きなスペースに屋根や幌が張られているところで工業製品、野菜、軽食などを商うのは町の人。
そのまま何もないところにムシロを広げて野菜、竹のザルやカゴ、手作りのホウキ、酒、野蚕の繭など村の産品を売るのは先住民が多い。どちらも近くに集まって商っており、先住民とのその他の市民が隣り合って商売しているという図はなかなかないし、アーディワースィー(先住民)が屋根や幌の下で何かを売っているというのもないようだ。きちんとしたマーケットプレースの場所で商売するのが普通の市民、先住民はその脇や空き地で物を売るといった棲み分けになっているらしい。
生鮮食品でも町の人たちとアーディワースィーの人たちが売るものには違いがある。私たちに馴染み深く、大量に栽培・収穫できる野菜類などを沢山積み上げて売るのは町の人たち。商業作物としてあまり栽培されない野菜についてはアーディワースィーの人たちが扱っているようだ。
魚類については、大きな鮮魚類は町の人たち、小魚などの干物はアーディワースィーといった具合だ。
マフアの花から造った地酒マフア、米から醸造したドブロクみたいなのを売っているのは女性たち。こうした「青空バー」は、地域の様々な村からやってきたアーディワースィーの男たちの社交場となる。ちょっとした美人ママのところにそうしたお客たちが集まるのは、いずこも変わらないようだ。