留保制度

インドでは高等教育機関進学や公部門への就職などの際に留保制度があり、指定カースト(SC)、指定部族(ST)、その他後進階級(OBCs)といったカテゴリーの人たちが恩恵を受けることになる。

これについては昔からいろいろ議論のあるところだが、ちょうどアメリカにおけるアファーマティブアクションと比較されることもあり、恵まれない境遇にあるが、やる気と能力にあふれる若者たちを多数引っ張りあげてきたことは間違いない。

ただし・・・である。

カーストの上下は現在の人々の社会的地位や経済状態を反映するものではなく、たとえば指定部族出身でも州大臣になり、身内で手広く事業も手がけて大変豊かになっていたり、その他後進階級出身だが弁護士や医者として成功して高級住宅地に住んでいるような人も珍しくない。

そのいっぽうで貧しい高位カースト出身者も無数に存在している。ムンバイーのタクシー運転手の大部分は北インド、UPやビハール出身者たちだが、若いころから何十年も汗水流して働き、収入のほとんどを故郷の家族に送金しているこうした人たちの中に、最高カーストであるブラーフマンであることを示す名前を持つ相当な人数が含まれているのだ。

そんなわけで、実際の経済状態ではなく、観念上の出身ジャーティで留保が決まるというのはあまりに不公平だという意見は以前からよくあった。
だが、たしかに後進階級や指定カースト、指定部族の中にこそ、貧困はより多いし、差別されがちなので就職も容易ではない。ゆえに留保をというのは仕方ないものでもあった。

だが「その他後進階級」という定義がクセ者で、我らも加えよ、俺たちも追加しろと、様々なコミュニティーが政治を動かし、このカテゴリーに仲間入りさせるよう働きかけてきた歴史がある。

そんなわけで、憲法ではカーストは否定されているが、厳しい現状を前に、これを解決するための必要悪としてこうした「逆差別」が設定され、これにより救済される人たちが増えてくれば、それらのコミュニティーの社会的経済的地位が向上して、この問題が解決し、制度そのものが用済みとなる・・・はずであったのに、それとは裏腹に留保すべき対象がどんどん増えていくのだ。

そしてついに、このたびは上位カーストの人々(Swarn Jati)の人々にも10%の留保を!という議論が展開しており、いっそう混迷してしまっている。

留保制度というものは、底なしの泥沼のようなものである。

BJP aims to woo back core voters by announcing reservation for upper castes (The Tribune)

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