世界一巨大な像

巨大な像というものは、大変無駄で浪費以外の何ものでもなく、非生産的で価値観の押し付けでもある。

この像の人物、グジャラート出身のワッラブバーイー・パテール(通称サルダール・パテール)は、法律家出身で独立運動期の国民会議派の重鎮。独立後は初代副首相を務めた大物。首相の座を狙える立場と器であったものの、ネルーとリーダーシップを争うことなく、彼の右腕としての役割に徹した人。英国が去ったインドで、各地に散在した旧藩王国をインド共和国に統合させるために手腕を発揮したことでも知られるなど、豪腕の改革者として後世における評価も高く、現在も理想的なリーダーとして描かれることが多い。

まさにここがポイントなのだろう。

ナレーンドラ・モーディー首相は、しばしばこのパテールになぞらえられることが多いが、1950年に死去してから70年近くも経過しているこの時代に、パテールの「世界一大きな像」を建立させる真の意図は、「パテールが再来して今度は首相となった」モーディーへの崇拝を目に見える形で具現化したものと言える。

この「自分の像」落成式にモーディー自身が出席して祝辞を述べている。BJPは独立運動期の国民会議派リーダーたち、ガーンディーやパテールを自分たちの都合の良いタイミングで、これまた自分たちに都合の良い解釈をしたうえで利用する。

ガーンディーについては、BJPの母体組織RSSは同組織の活動家、ナトゥラーム・ゴードセーに暗殺させており、その後しばらくRSSは非合法組織とされていた。ネルーについてはBJPがこのように称賛したことはないが、彼が左派思想を持っていただけでなく、BJPと覇を争う国民会議派のリーダーシップを執るラーフル・ガーンディーは、ネルーの直系の曾孫という背景がある。

世界一高い182メートルの像、インドで落成 周辺では抗議活動も (AFP)

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