デリーでパールスィー料理を楽しむ

イスラーム教徒の勢力に圧迫された拝火教徒たちが、イランからインドに移住したのは10世紀(8世紀という説もある)。つまり1,000年以上経過しても、独自のアイデンティティを維持するとともに、独自の食文化も保持している。

インド国内でわずか6万人程度というコミュニティーで、多くはムンバイーやアーメダーバードなどに集中しているのだが、さすがはインドの首都デリーだけのことはあり、ここでもパールスィー料理にありつくことはできるのだ。

このレストラン「Rustom’s Parsi Bhonu」は、パールスィー寺院とダラムサラから成る敷地内にある。ダラムサラのカンティーンと書かれているため、簡素な場所を想像したのだが、ちゃんとした、しかも小洒落たクラシックなレストランであるのは、リッチなパールスィーらしいところかもしれない。

パールスィー寺院

パールスィーのダラムシャーラー。レストランはこの中のカンティーンという位置づけらしい。

私が訪れたとき、BGMがビートルズというのも、いかにものパールスィーらしく感じられた。イスラーム化とともに先祖の故郷を追われてインドに定住したパールスィーだが、英領時代に生活スタイルが西洋化した、オリエント起源で非クリスチャンのウェスタナーと言ってもよい部分があるのがパールスィーだ。

元クイーンの故フレディー・マーキュリーがムンバイーのパールスィーの一族に生まれ、ザンジバルで子供時代を過ごした後、英国に移住したが、そういう人物をパールスィーのコミュニティーが生んだことは、何ら不思議ではないことなのだ。

メニューにはいろいろなものが用意されているのだが、一人で食べに行くと、何皿も注文出来るものではないので、結局ターリーにした。

前菜のようなもの?から始まる。

「ターリー」に含まれるどのアイテムも上品な味わい。

デザートとして注文したラガ・ヌー・カスタードの甘美味で夢心地。

それでも前菜?みたいなのから始まり、味わいは洋食みたいであるのは興味深い。本日出たアイテムはすべて上品な味わいであるとともに、やはりボンベイを想起させる都会的なムード。

とりわけ面白かったのは、ターリーを食べ終わってから注文したLaga Nu Custardである。
「パールスィーの婚礼のときによく出されるものです。メレンゲを加えてふんわりと仕上げてあります」とのことで興味を持ったが、今のイランやトルコの甘いもの屋にあってもおかしくないような菓子であった。

イスラミックなイメージのあるローズウォーターで味を整えてあるが、パールスィー伝来の菓子がこの風味を持つとすれば、イランがイスラーム化する前からあったものということになり、本来イスラームとは無関係の味わいと香りということになるのではなかろうか?

レストラン名:Rustom’s Parsi Bhonu
所在地:Delhi Parsi Dharamshala, Bahadur Shah Zafar Marg, Delhi 110002, India
電話:+91 99100 60502

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