UP州議会選前哨戦

来年早々に州議会選挙を控えるインドのUP州で、国民会議派の同州のトップや州首相も務めたことがあるリーター・バフグナー・ジョーシーが、なんとBJPに移籍しそうだというニュース。当地のブラーフマン出身政治家の代表格の大物政治家がこうなってしまうと、UPでの会議派の退潮ぶりに拍車をかけることになりそうで気になる。

Congress leader Rita Bahuguna Joshi likely to join BJP: Reports (firstpost.com)

現在、州与党の社会党も、党首のカリスマ政治家、ムラーヤム・スィン・ヤーダブの息子で州首相であるアキレーシュと身内の政治家との間のお家騒動で、党が割れる、新党が結成されるかも?との報道もあり、もっとも重要な州のひとつを今度は落としてやろうと勢いの良いBJPを大きく利することになりそうだ。

Mahabharat in UP’s Yaduvansh Spells Trouble for Akhilesh Yadav (The Quint)

まだだいぶ先なので、今後どのように推移するかわからないのだが、現在までの世論調査によると、以下のリンク先のように予想されている。

Uttar Pradesh (UP) Opinion Poll (Elections.in)

社会党、同じく近年、幾度か政権与党に就いたことがある大衆社会党は、ともに後進階級出身の政治家(前者はOBCsの中でもとりわけヤーダブの人たちの権利権益を代表し、後者はダリット、つまりアウトカーストの人たちの利益拡大に働きかけた。ともに指導層はそれらの階級出身者が大半)たちが、下積みの人たちの権利意識を向上させ、民生の向上をはかったことの意義は大きい。また、どちらも大きな票田となるムスリム層への積極的な働きかけにより、コミュナルな衝突を抑えてきたことについて、一定の評価が出来るだろう。
こうした党が、政権を実現するということは、大衆が投票という行動によって革命を成就させたようなもので、中国などではあり得ない民主主義インドならではの現象という輝かしい側面があった。

同時に、自らの票田となる層に対する、我田引水のえこひいき、身内に偏った権利構造、上層カーストとの対立を激しく煽り、ときに手足となって乱暴狼藉を働くヤクザを用いて、異論を押し潰すなど、社会の亀裂を生むなど、決して肯定出来ない側面も多かった。同様に、恐喝、誘拐、殺人などの容疑がいくつもかけられている無頼政治家も多く、決してクリーンな政権ではなかった。

とりもなおさず、上層カーストによる支配は、少なくとも政治の世界では、すっかり過去のものとなったUPだが、ここにきて、それに対する揺り戻しが起きているようで興味深い。
前述の社会党のアキレーシュ・スィン・ヤーダブについては、オーストラリアの大学で、環境工学だか土木工学だかの修士号を取得した人で、20代後半に国会議員に当選して政治家の道へ。州議会の代議士となるのはその約10年後。

父親の七光りで、UP州で歴代最年少の首相となるが、即断即決かつ有能な政治家であることは、ほどなく世間が知ることとなった。私自身も大変好感を抱いているインドの政治家のひとりだ。

アキレーシュ自身はクリーンなイメージのある人物で、古参の大物リーダーや自身の身内の年長者に対しても、汚職や不祥事については厳しい態度で叱責や処分に臨むなど、豪腕ぶりを発揮してきたが、今回の社会党内のゴタゴタは、そうした行動が裏目に出たと言える。
さて、今度のUP州選挙がどんな具合になるのか、どちらに転んでも全く関係のない野次馬としては大変興味深い。

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