犬こそは頼れる友人

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 ビハール州でナクサライト(毛沢東主義過激派=マオイスト)が活発な地域では、警察署あるいはパトロール中の警官たちが攻撃を受けたり、命を落としたりといったニュースがしばしば聞こえてくる。同州内の38のディストリクト中、18の地区では彼らの活動が盛んで流血事件がしばしば発生している。
 この左翼過激派たちによる奇襲を恐れて、特に日没後には屋外に置いた机などすべての備品を屋内にしまい込み、本来ならば地域の治安維持を担うべき警官たちも「身の安全のため」建物の中にじっと閉じこもるのが常になっている地域もあることも含め、このあたりの新聞等ではよく報道されているところだ。


 下記リンク先のBBCニュースの見出しと写真が目に入ったとき、てっきり「グータラ野犬を訓練して警察犬に仕立てたのか。安上がりだなあ」と思い、吹き出しそうになった。だが記事を読んでみるとそんなユーモラスで前向きなものではなかった。
 むしろこちらのほうが滑稽ではあるのだが、それ以上に「そんなに苦労しているのか・・・」と気の毒になってしまうのである。
 記事から要点だけかいつまんで記しておく。
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 ガヤー・ディストリクトにあるジャハーナーバードから40キロほど離れたパレーヤー村の警察では、野犬たちを集めて「24時間警備」をさせている。
 餌付けにより手なずけた野良犬たちが常時付近を徘徊し、見知らぬ者が近づけば一斉に吠えて警官たちの注意を促すのだ。その犬たちの数、現在では36匹にまで増えている。
 犬たちには一日二食、専用のキッチンで調理したダールとご飯が与えられる。ここで勤務する24人の警官たちは、各自給料の5パーセントを犬たちの世話とエサ代のために払っている。加えて外部と連絡を取れるようにするため無線装置の導入にも各々収入の20%ほどの金額を自腹で支出してもいる。
 犬たちについては「マオイストたちに対抗する我々の勢力の一部として全幅の信頼を寄せている」と評価。
(以上BBC HINDI 記事 नक्सलियों से बचाएंगे आवारा कुत्तेから抜粋)
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 本来収入を得るために働いているのに、仕事上の安全を確保するために個々が支出しなくてはならないなんて、とんでもなく嫌なはず。「ヘンなところに配置されちまったなぁ」なんていう溜め息が聞こえてきそうだ。
 それにしても警察官たちが自分の身を守るのに汲々としている状態では、彼らのパフォーマンスはあまり期待できないだろう。
 結局のところ、マオイストたちの活動が盛んであること、そうした勢力を生む土壌があることだけではなく、警官たちの数が足りず装備も貧弱なため、彼らの動きに対して充分に対応できていないこともまた大きな問題なのだ。
 それにしても外部の人に敵愾心むき出しにして吠える犬集団は、警官たちを守ってくれるのかもしれないが、一般の市民たちをさらに遠ざけてしまうことにならないだろうか。 
 それに「野良犬に頼る警官」なんて、ますますアテにされないような気がする。
 近年の力強い経済発展により世界各国から熱い視線を浴びているインドだが、国内には先行きの見えない不安定な部分も少なくない。かつてはインドの経済成長を激しい人口増が償却していると言われたことがあったが、いまでは地域格差のさらなる拡大が大いに懸念されるところである。
 15年に長きにわたるRJD政権下で続いた停滞と混乱の後に発足したニーティーシュ・クマール率いるビハール州の新政権。今後の手腕が問われる。
マオイスト対策は野犬!(BBC HINDI)

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