エベレストはシーズン真っ只中

北京オリンピックの聖火リレーの関係でしばらく中断していたエベレスト登山だが、先週から今週にかけて記録ラッシュが続いているようだ。
5月22日には、なんと86名もの登山者が頂上に立った。一日の最大登頂者新記録とのことである。またその日に、ネパールを代表する登山家かつ山岳ガイドであるとともに、世界最高のクライマーに数えられているアッパー・シェルパ氏が自己の世界記録17回を更新する18回目の登頂を無酸素で成功している。
つづいて5月25日には、77歳の誕生日を目前に控えたミン・バハードゥル・シェールチャン氏が登頂者最高齢記録を樹立。2003年に70歳でエベレスト山頂に立ち、当時の登頂最高齢世界記録を樹立した(その後2007年に柳沢勝輔氏がこの記録を71歳で更新) 三浦雄一郎氏がほぼ同じタイミングで頂上を狙っていたものの、一日遅れで本日5月26日に登頂。残念ながら最高齢記録を手にすることはできなかったが、シェールチャン氏に続く堂々2位である。
プロスキーヤーそして登山家として知られてきた三浦雄一郎氏は、私立学校の校長先生でもあり、生徒たちへの教育的効果もさぞ高いのではないかと思われる。やはり教師や親たち自身が熱いハートを抱いていなければ、どうしてその生徒や子供たちが将来への夢を描けるだろうか。
それにしても、なんだか今年のエベレストは当たり年らしい。今シーズン一杯ヒマラヤから聞こえてくるニュースに耳を傾けていたいと思う。
Nepali grandpa becomes oldest person to scale Mt Everest (Nepalnews.com)
三浦さんエベレスト登頂「涙が出るほど辛くてうれしい」 (asahi.com)

ドイツの守護神 最後の花道はソルトレーク・スタジアムにて

5月27日は、カルカッタのサッカーファンにとって、忘れられない日となりそうだ。この日、地元のクラブチームであるモーハン・バーガーンACとの対戦が予定されているのは、なんとドイツの巨頭バイエルン・ミュンヘンだ。しかもこれがオリヴァー・カーンの引退試合となるのだというから大変だ。
ドイツ代表歴は長く、1994年、1998年、2002年、2006年と、ワールドカップに4回出場している。世界に名だたるサッカー大国のひとつで、優秀な選手層も厚いドイツだけに、正キーパーとして参加したのは2002年大会のみだが、1994年から所属するドイツの名門中の名門チーム、バイエルン・ミュンヘンにて、4年連続の欧州最優秀ゴールキーパーへの選出、UEFAチャンピオンズリーグ優勝等々の輝かしいキャリアを持ち、ドイツの国民的英雄とはいかないまでも、世界で最も卓越した現役ゴールキーパーのひとりと認識されてきた選手だ。
この試合ついて、手続き上の問題から全インドフットボール連盟(AIFF)からクレームが付いており、開催の可否について微妙な影が投げかけられていたようだが、インドのサッカーの首都ともいえるカルカッタで、ぜひともこの試合を実現して欲しい。老いも若きも、この街のサッカー狂の人たちは心を熱く燃やしていることだろう。
モーハン・バーガーンとバイエルン・ミュンヘン、両者のチーム力とクラブとしての財力は比べるべくもない。それでも創立1900年の後者に対し、前者は1889年と11年も古く、まさにアジアのサッカーの歴史を代表する最古参格のチームだ。しかもこのチームには、映画『ラガーン』を地で行くような伝説を持つ。1911年に、裸足のベンガル人チームが皮のシューズなど優れた装備を持つ英国人チームを破ったという『史実』は、後にインドの記念切手にまでなっている。
インド大好きのサッカー狂ならば、この試合を見るためだけにカルカッタへ飛んでも決して後悔などしないのではないだろうか。たとえインド国外、日本を含めて海を隔てた外国からであったとしても。この試合について、インド以外のメディアでは特に取り上げられていないし、インド国内でもご一部サッカー熱の高い地域とこれまたインドではマイナーなサッカー狂の人たちを除けば、ほとんど関心を持っていないとはいえ、後世に語り継がれる、インドサッカー史に残る重要な試合となるように思われてならない。
もちろん勝負云々についてではなく、こういう試合がカルカッタで開催されるということが重要なのだ。このチケットを手にしてスタジアムに乗り込むカルカッタのサッカーファンたちは、なんと幸せなことか!
Chance for Calcutta to bid Oliver Kahn farewell
– Bayern Munich to play Mohun Bagan on May 27
(The Telegraph)

参加することに『異議』がある?

北京オリンピック
今年8月8日から同24日にかけて開催される北京オリンピックの聖火リレーが、各地でさまざまな抗議活動やトラブルに見舞われている。本日4月9日にはアメリカのサンフランシスコに上陸、続いてタンザニア、オマーン、パーキスターンときて、4月17日にはインドのニューデリーを聖火が走る予定だ。国内に膨大なチベット難民人口を抱えるインドにあって、近年改善しているとはいえまだ根強い中国への不信感もあり、このたびの聖火リレーの賛否についていろいろ意見の分かれるところではないだろうか。デリーでの走者のひとりであったサッカー代表選手バイチュン・ブーティヤーはこの役目の辞退をすでに表明している。
オリンピックは、いうまでもなく国際オリンピック委員会に加盟する国々のうち、開催地として挙手したもののなかから選ばれたホスト国で開かれる、いわば持ち回り開催であり、中国独自のスポーツ大会というわけではない。また国際オリンピック委員会という組織自体が公的機関ではなく、国際的なネットワークを持つ民間組織である。各国の『民』が力を合わせて開催する祭典であることからも、様々な雑音が聞こえてきたとしても、大会そのものに政治の影を投げかけることなく、立場の違いを超えて各国が協調・協力したり、一般市民もまた五輪開催の趣旨を理解したうえで、そうした風潮に流されないというのが本来あるべき姿だと思う。
しかしながらオリンピックが、それを開催したり選手団を送り出す国家により、しばしば国威発揚の道具として利用されることは事実であるし、そうした政府に対する圧力をかけたり、自らの主張を外の世界にアピールしようと意図を持つ団体やグループにとっては、またとない機会であることも間違いない。
4月17日のデリーの聖火リレー自体は、厳重な警備のために一見問題なく行なうことができたように見えるのかもしれないが、その前後の時期を含めてデリー周辺その他チベット系の人々が多く住む街などでもさまざまな抗議活動が展開されるのかもしれない。五輪に政治を持ち込むのはどうか?という疑問は残るものの、ここ半世紀ほどの長きにわたりチベットが置かれている状況を思えば、今回の五輪に『参加することに異議がある!』といわんばかりの激しい抗議活動について、個人的に共感できる部分も少なくない。
インドの後、タイ、マレーシア、インドネシア、オーストラリアと続いた後に、4月26日には日本の長野で聖火リレーが行なわれる。先述のとおり、個人的には五輪の政治化は同意しかねるのだが、やはりチベットをめぐる諸問題に思いをめぐらせれば、もし『長野ではこれといった騒ぎもなく、極めてスムースに聖火が通過しました』と、日本の市民が何ら特別な意思表示もしないまま終わってしまってはいけないような気もするのが正直なところだ。
私自身は今年オリンピックが開かれること、各国の様々な選手の活躍を目にすることを楽しみにしている。だがその開催地が北京であるがゆえに、いろいろと胸に浮かぶことは多く、その意味では他の多くの人々と感情を共有している部分があるのではないかと思う。世界中各地で発した人々の訴え、いやそれ以上にこれまでずっと困難な立場に置かれてきたチベットの人々の主張について、中国当局がしかるべき配慮や対応をすることを切に願うところである。

有名は大変なり

バンガロール・オープンを欠場することを決めたサーニャ・ミルザー。テニス界のスターダムに駆け上がり、世界の檜舞台で華々しく戦う彼女に、インド国内ではテニスとは関係のない様々なトラブルがついてまわる。プレーの際のごくあたりまえのテニスウェアについて一部宗教界からクレームがついたり、モスクでの無許可のCM撮影であったりといった、彼女自身の責任ではない事柄で面倒が起きるのは本人にとって心外だろう。
先に開かれたオーストラリアン・オープンへの出場前に撮影された写真が議論を呼ぶことになった。『国家名誉棄損防止法』に反するというもので、下手すると実刑(3年)および罰金に相当する本格的な『罪』に問われることになってしまう。
もともとAFPから配信された写真だが、こちらの記事にもその写真が使用されている。国旗と彼女自身の位置関係が実際どうであったのかよくわからないが、構図的に面白くてナイスなショットだと個人的には思う。言うまでもなくカメラマンが意図して狙ったものであるはず。
撮影された本人は、結果的に国旗に足を向けるポーズになってしまったのは『故意ではない』ことを明らかにしており、こういう画像が出てしまったのは運が悪かったとしか言いようがないが、とにかく有名人だけに勝手に撮られる写真についても、場合によっては本人が釈明の責を負わなくてはならないのはお気の毒。
スポーツ選手に限ったことではないが、とかく世間で広く顔を知られている人というのは、世間の勝手な風評やら批判やらにもお付き合いしなくてはならないのは大変だなあ、と凡庸な我が身を心地よく思う一小市民の私である。
Sania Mirza boycotts Bangalore (Hindustan Times)

I Leagueに注目!

サッカーの母国イングランドのプレミア・リーグに在籍するインド人移民の子、マイケル・チョープラー選手(母親はイギリス人)の活躍が伝えられるこのごろだが、チョープラー選手の父親の祖国インドのサッカー界も今、大きな変革の時期を迎えている。インド代表チームのワールドカップ予選の試合が10月8日と同28日に予定されていることを考慮し、今年9月末に開幕する予定であったものを11月23日に延期されることになったI League、インドで本格的なサッカーリーグがスタートする。
敢えて無礼を承知で言えば、もともとのスタート点が低いため、リーグの興行成績、代表チームの戦績、ファン層および草の根サッカー人口の拡大、どれをとってもここ数年のうちに順調な成長ぶりをアピールするのはそう難しいことではないだろう。主に都市部で人々の所得が上がるにつれて、個々の興味関心や趣味の領域も広がることだろうから、もともとサッカー人気の高い西ベンガル、カルナータカ、ゴア、ケララなどを中心とする地域で盛り上がりを見せるだろうし、その効果はやがて他の大都市圏や各州へと波及していくのではないだろうか。
もとより『サッカー不毛の地』北米を除く多くの国々で常に最も注目を集めている競技がサッカーだ。テレビ視聴者数からいえばサッカーのワールドカップこそが世界最大のスポーツの祭典。国威発揚の具としての位置づけからかつてのソ連、東欧や今の中国のような国が華々しい成績を修めるのを除けば、おおかた競技人口が先進国に偏ったスノッブな競技が競われるオリンピックと違い、多くの国々の庶民たちは幼いころから大好きで、実際にプレーしながら長く親しんできたためその楽しさや難しさがわかり、フィールドに立つ選手たちに負けないくらい感情移入できるスポーツがサッカーだ。

続きを読む I Leagueに注目!