ドイツの守護神 最後の花道はソルトレーク・スタジアムにて

5月27日は、カルカッタのサッカーファンにとって、忘れられない日となりそうだ。この日、地元のクラブチームであるモーハン・バーガーンACとの対戦が予定されているのは、なんとドイツの巨頭バイエルン・ミュンヘンだ。しかもこれがオリヴァー・カーンの引退試合となるのだというから大変だ。
ドイツ代表歴は長く、1994年、1998年、2002年、2006年と、ワールドカップに4回出場している。世界に名だたるサッカー大国のひとつで、優秀な選手層も厚いドイツだけに、正キーパーとして参加したのは2002年大会のみだが、1994年から所属するドイツの名門中の名門チーム、バイエルン・ミュンヘンにて、4年連続の欧州最優秀ゴールキーパーへの選出、UEFAチャンピオンズリーグ優勝等々の輝かしいキャリアを持ち、ドイツの国民的英雄とはいかないまでも、世界で最も卓越した現役ゴールキーパーのひとりと認識されてきた選手だ。
この試合ついて、手続き上の問題から全インドフットボール連盟(AIFF)からクレームが付いており、開催の可否について微妙な影が投げかけられていたようだが、インドのサッカーの首都ともいえるカルカッタで、ぜひともこの試合を実現して欲しい。老いも若きも、この街のサッカー狂の人たちは心を熱く燃やしていることだろう。
モーハン・バーガーンとバイエルン・ミュンヘン、両者のチーム力とクラブとしての財力は比べるべくもない。それでも創立1900年の後者に対し、前者は1889年と11年も古く、まさにアジアのサッカーの歴史を代表する最古参格のチームだ。しかもこのチームには、映画『ラガーン』を地で行くような伝説を持つ。1911年に、裸足のベンガル人チームが皮のシューズなど優れた装備を持つ英国人チームを破ったという『史実』は、後にインドの記念切手にまでなっている。
インド大好きのサッカー狂ならば、この試合を見るためだけにカルカッタへ飛んでも決して後悔などしないのではないだろうか。たとえインド国外、日本を含めて海を隔てた外国からであったとしても。この試合について、インド以外のメディアでは特に取り上げられていないし、インド国内でもご一部サッカー熱の高い地域とこれまたインドではマイナーなサッカー狂の人たちを除けば、ほとんど関心を持っていないとはいえ、後世に語り継がれる、インドサッカー史に残る重要な試合となるように思われてならない。
もちろん勝負云々についてではなく、こういう試合がカルカッタで開催されるということが重要なのだ。このチケットを手にしてスタジアムに乗り込むカルカッタのサッカーファンたちは、なんと幸せなことか!
Chance for Calcutta to bid Oliver Kahn farewell
– Bayern Munich to play Mohun Bagan on May 27
(The Telegraph)

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