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カテゴリー: society

  • バーングラーデーシュ初の原子力発電所建設へ 果たして大丈夫なのか?

    近年、好調な経済成長が伝えられるようになっているバーングラーデーシュ。地域の他国にかなり出遅れてはいるものの、失礼を承知で言えばスタート地点が低いだけに、ひとたび弾みがつけば、今後成長は高い率で推移することは間違いないのだろう。日本からもとりわけテキスタイル業界を中心にバーングラー詣でが続いているようだ。

    これからが期待される同国だが、やはりインフラ面での不安は隠しようもないのだが、電力供給事情も芳しくない。発電電力の約4%は水力発電、他は火力による発電だが、その中の大半を自国産の天然ガスによるものが占めている。開発の進んでいる東部の電力事情はいくぶん良好なようだが、西部への電力供給の普及が課題であるとされる。

    産業の振興、とりわけ外資の積極的な誘致に当たっては、電力不足の克服は是が非でも実現したいところだろう。長らく雌伏してきた後にようやく押し寄せてきた好況の波に乗り遅れないためにも、1億5千万人を超す(世界第7位)人口大国であり、世界有数の人口密度を持つ同国政府には、国民の生活を底上げしていく責任がある。

    そこでロシアと原子力エネルギーの民生利用に関する政府間協定に署名することとなり、2018年までに二つの原子力発電所の稼働を目指すことになった。

    Bangladesh signs deal for first nuclear plants (NEWCLEAR POWER Daily)

    実のところ、この国における原発建設計画は今に始まったものではなく、東パーキスターン時代にダーカー北西方向にあるループプルに建設されることが決まっていたのだが、1971年にパーキスターンからの独立戦争が勃発したため立ち消えとなっている。新生バーングラーデーシュとなってからも、1980年代初頭に原発建設を目指したものの、資金調達が不調に終わり断念している。

    同国にとっては、建国以前からの悲願達成ということになりそうなのだが、折しも日本の福島第一原子力発電所の事故以降、原発そのものの安全性、他よりも安いとされてきたコスト等に対して大きな疑問を抱くようになった日本人としては、本当にそれでいいのだろうかと思わずにはいられない。

    同時に国内であれほどの大きな事故が起きて、その収拾さえもままならないにもかかわらず、また原子力政策そのものを根本的に見直そうかというスタンスを取っていながらも、原発の輸出には相変わらず積極的な日本政府の姿勢についても信じられない思いがしている。ベトナム政府は原発建設を日本に発注することになるのは今のところ間違いないようだ。

    『日本でさえ不測の事態であのようになったのだから・・・』などと言うつもりはないが、大変失礼ながらバーングラーデーシュという国での原子力発電の稼働は本当に大丈夫なのだろうか?

    事故さえ発生しなければ、原発稼働は同国の電力事情を大きく好転させていくことになるのかもしれないが、電力供給の分野でロシアの技術力・資金力両面において、大きく依存しなければならなくなる。

    どちらも憂慮されるものだと思うが、とりわけ前者については大いに気になる。本当に大丈夫なのだろうか、バーングラーデーシュでの原子力発電所の稼働は? サイクロンや水害といった大規模災害がよく起きることもさることながら、頻発するハルタール、その背景にあるといえる政治的な問題、不安定な政局等々、国内の人為的環境面での不安も大きい。

    決して遠くない将来に起きる(かもしれない)大惨事への序章でなければよいのだが。これが杞憂であることを願いたい。

  • あとはアルナーチャル・プラデーシュが門戸を開けば・・・ 2

    観光業とは、ひとつの街、地域、州で完結するものではなく、広く周辺地域が相互に依存する関係にある。ひときわ魅力的な地域が新たに加わることにより、そこを訪れた人々が次なる目的地として隣接州に流れていくことになり、経済的収入、関連産業の活発化、雇用の促進といった果実を各地域で分け合うことになる。

    ベンガル北部からアッサム西部に至る、バーングラーデーシュの北側を迂回する細い回廊部で、まさに『首の皮一枚』でインド本土と繋がる北東諸州だが、この地理条件と現在のインドヴィザに係る『2か月ルール』は、この土地の観光業振興という面に限っては、決して悪くない効果をもたらすかもしれない。

    つまりインドの他地域から一度北東州に入ってきたならば、空路を除けば北東諸州の外に出るのはなかなか手間と時間がかかる。中国、ミャンマーと長い国境線を接していながらも、外国人たちはそれらの国に陸路で出ることはできない。複数の地点から容易に出入国が可能なバーングラーデーシュにしてみたところで、一度出国すると2か月はインドに戻ることができない(事前に所定の手続きを踏んでいれば可能)という制限のため、『せっかく近くまで来たから』と、思いつきでフラッと浮気することもできない。

    私自身、この地域についてあまり詳しくは知らないのだが、トレッキング等はもちろんのこと、雨季には多雨の地域であるためシーズンにより条件は大きく異なるが、風光明媚で気候が良いところはいくつもあるように思われる。個人的には、乾季にメーガーラヤ州都のシローンから日帰りしたことがあるチェラプンジー(世界で最も多雨とされる土地)は、切り立った断崖絶壁の台地から成り、町をぐるりと囲む風景が面白いことと、この地域に暮らすカーシー族というモンゴロイド系の人々の暮らしぶりが興味深く、何日か滞在したいと思った。

    観光の大きな目玉はあまり無いとはいえ、インドの他の地域と大きく異なるため、そこにいること自体が楽しいといえる。よく『多様性の国』と言われるインドだが、まさに北東諸州を訪問することによって、それを実感できることだろう。もちろん北東諸州といっても、それぞれの州に様々な異なる民族が暮らしているし、アッサムやトリプラーのように、州内にベンガル系の人口が多く、パッと見た感じではベンガルにいるのかと思うような地域も少なくないなど、この地域自体が実に多様なものを内包している。

    この地域に接するブータンも近年は計画的に観光客の数を増加させている。今のところは従前どおりに西欧等の富裕層をターゲットにしてのツアー客呼び込みだが、先代の国王自らが着手した民主化が進展していけば、観光業の進展やそのありかたについて、いつか必ずや根本的な議論とこれによる包括的な見直しが入ると考えるのが自然だろう。

    アルナーチャル・プラデーシュに加えて、ブータンが『誰でも普通に入って自由に観光できる国』となった暁には、この地域の注目度は今と比較にならないほど高いものとなるはずだ。とりわけ後者、つまりブータンについては、それがいつになるのかわからないが。

    <完>

  • タイの洪水

    インドのニュースではないのだが、日印間の空路の要衝にあり、乗り換えその他でバンコクの空港に立ち寄ったり、市内に滞在したり人も少なくないだろう。

    最初はアユタヤー地域で市街地等の冠水が話題になっていたが、あれよあれよという間にバンコク首都圏も同様の被害が及び、29日の大潮が最大の危機と言われるまでになってしまった。

    本日すでに30日。最悪の状態を脱しつつあると思いたいところだが、まだまだ今後どうなるかまったく不透明なようだ。 今後の進展について、タイの英字紙バンコク・ポストでは以下のようなシナリオを描いている。

    How high can this flood in Bangkok become for each district? (Bangkok Post)

    そもそもバンコクにおける治水対策について、従前から首都圏を起源に発生した洪水に対処するものであり、市外からジワジワと流れ込んでくる大量の水というのは想定外であったということが問題であったと指摘している。

    Drainage system not up to task (Bangkok Post)

    また読者に対して、洪水危機に際しての注意事項なども掲載している。

    Come hell or high water: Flood survival guide (Bangkok Post)

    洪水の規模の大きさを窺わせる画像や動画も掲載されている。

    Bangkok Flooding Oct. 29 (Bangkok Post)

    Living With Disaster (Bangkok Post)

    同紙による今回の洪水に関する記事のスレッドもある。

    タイを代表するもうひとつの英字紙The Nationも同様に洪水に関する記事で一杯だが、今後の見通しについてこんな記事も掲載している。

    WHAT CAN BE EXPECTED (The Nation)

    影響が長期化することが予想されているわけだが、その一方でインラック首相は『峠はほぼ越しつつある』との声明を出している。

    We’re nearly through it: PM (The Nation)

    今回の洪水に対する不手際(治水に関わるインフラ不足は数か月前に政権を取ったばかりの現与党の責任ではないとはいえ、洪水の広がりに対する見通しの甘さが各方面から糾弾されている。

    ごく最近まで『バンコクは大丈夫』という認識でいたがゆえに、先立つ『アユタヤー洪水』は広く報じられていたものの、それに続く『首都洪水』が国際ニュースに現れたことが、何かとても唐突に感じられたりもするのである。

    しかしながら今ばかりは、インラック首相の発言『峠を越しつつある』が現状を正しく認識したものであることを誰もが願っていることだろう。

    雨季の終わりの大雨は去り、大潮もやり過ごした。大方の情勢としてはそういうことになり、やがて水は引いていくことは間違いないのかもしれない。だが周囲の運河や河川よりも低地であったり、水の通り道をブロックする施設等が存在したりすることから、排水がままならない地域が多いことであり、未曾有の大災害からの復興に対する資金の調達や個々の被災者たちへの救済をどうするかということもある。

    ここ数年、派手な衝突を繰り広げているタイの政争の最中に、極めて危険な爆発物が持ち込まれることになった。水が引いた後にも、タイ政界では大きな災いが待ち受けているに違いない。どうかそれが市民に飛び火しないことを願いたい。

  • あとはアルナーチャル・プラデーシュが門戸を開けば・・・ 1

    2011年は、ナガランド、マニプル、ミゾラムの3州にて、従前は入域に際して外国人に義務付けられていたPAP (Protected Area Permit)、RAP (Restricted Area Permit)が暫定的に不要になっている。インド人も同様に必要であったILP (Inner Line Permit)も同様に要らなくなっているようだ。これは2011年末までの1年間に限った臨時的な措置ということになっている。

    3年ほど前にアルナーチャル・プラデーシュが近くなる?と題した記事で書いたとおり、近年は簡略化される傾向が認められていたものの、RAP取得にはいろいろ面倒な条件があった。かなり前から周到に準備しないと入ることができなかったし、複数の同行者が求められたり、現地のかなり高額なツアーに参加することが必要であったりもした。

    今はインドの他州と同じように普通に出入りできるアッサム、メーガーラヤ、トリプラー(一部に不穏な地域も抱えているが)の3州についても、かつてはオフリミットの地であった。それが90年代前半に先述の中央政府内務省からの特別な許可が不要となった。

    ここ数年の間に許可取得の条件が緩くなってきていたことから、ナガランド、マニプル、ミゾラムの3州への入域に関して、今回の暫定的な措置が今後も延長あるいは恒久的なものとなることを期待したい。

    この措置により、地域の観光業の振興が期待されているところである。もう何年も前からインド政府観光局はインド北東部の魅力を積極的にアピールしてきていたが、アッサム、メーガーラヤ、トリプラー以外の州については、入域に厳しい制限があることから、まさに絵に描いた餅といった具合であった。

    許可なしで簡単に入ることができるようになっても、肝心の観光資源のほうはどうなのかといえば、あまり華やかなものではないような気もするが、中国の雲南省やタイ北部のように山岳少数民族の存在自体が、観光業発展のための大きな力となるように思われる。

    ただしインド北東7州、俗にセブン・シスターズと呼ばれる地域(アッサム、メーガーラヤ、トリプラー、ナガランド、マニプル、ミゾラム、アルナーチャル・プラデーシュ)の中で、個人的には一番興味深いと思われるのは、やはりアルナーチャル・プラデーシュだろう。

    中国占領下のチベット(中国は『チベット自治区』を自称)に突き出す形で位置する、ブラフマプトラ河流域の低地から海抜4,000mを越える高地までを抱える、主にチベット・ビルマ語族から成る65もの(100以上という説もある)異なる部族が暮らす土地だ。

    同州西部にはチベット仏教を信仰する人たちが多く、タワン僧院という有名な寺院があることでも知られているが、いっぽう州東部には南方上座部仏教を信仰する人々が暮らしている。さほど広い地域ではないにもかかわらず、伝播したルートの異なるふたつの仏教が同居しているのは興味深い。その他の人々は土地ごとのアニミズムを信仰している。

    他の東北州と異なり、内政面での不安は少ないにも関わらず、未だに外国人ならびにインドのその他の地域の人々の入域が厳しく管理されている背景には、この地域が中国との係争地帯であるという現実がある。アルナーチャル・プラデーシュの人々に対して、中国がヴィザ無し入国(中国にしてみればアルナーチャルは自国領なので自国民の国内での移動という解釈ができる)を認めたり、同州議会選挙についてこれを否定する声明を出したりといった活動等により、『アルナーチャルは我が国固有の領土の一部』であると内外に主張を続けている。

    また中国占領下のチベットに大きく張り出している地理的な条件により、軍事的な要衝であるということも、たとえ観光目的であっても外部の人々を積極的に呼び込むのは容易でないという部分もあるのかもしれない。

    それでも先述のように、民族的にも文化的にも非常にバラエティ豊かな土地であり、気候条件も多様性に富んでいるため、もしアルナーチャル・プラデーシュが観光客に対してオープンになる日が来たならば、やや大げさな言い方をすれば、アジアの観光地図にひとつの国が新たに書き加えられたような効果をもたらすのではないかと、私は考えている。

    <続く>

  • 本日挙式 ブータン国王夫妻

    以前、ブータンのロイヤル・ウェディングと題して、同国の国王が今年10月に挙式することを取り上げたが、その結婚式は本日とどこおりなく行なわれたようである。

    Bhutan’s royal wedding” ITVNews (Youtube)

    どうか末永くお幸せに!

     

  • ジャイプル・メトロ

    昔々のデリーは、とてもクルマが少なかった。スズキのマルティが独り勝ちしていた頃のことだ。他の自家用車といえば通常はアンバサダー、パドミニーくらいと、非常に車種も少ない時代で、今やもう大昔ということになる。二輪の類も古いヴェスパのモデルをバジャージがインド現地生産したスクーター、あとはバイクといえば排気量125cc程度の小さなものくらいしか見かけなかった。

    乗用車にしても、バイクやスクーターにしても、購入できる層が限られていたため、道路は閑散としており、「渋滞」という言葉さえも知られていなかった。同じ頃、まだ首都圏の高速道路網が無く、BTSや地下鉄もなかったバンコク市内は各所でひどい渋滞で、どこに行くのも一苦労。それに比べてインドの大都市の道路は何て空いているのだ!と思ったものだ。市バスでもオートでもビュンビュン飛ばしてすぐに目的地に着くことができた。

    やはり転機は90年代前半以降であった。経済成長が軌道に乗り、デリー首都圏の人口が急増、人々の可処分所得も急上昇していく中、政府の外資の積極的な導入姿勢と外資による新興市場インドへの期待感から、様々な四輪・二輪メーカーがインドに続々進出していき、それとともに道路を急速に様々なクルマたちが埋め尽くしていった。

    そんな中、デリー・メトロ建設の槌音が聞こえてくるようになったときには大きな期待感を抱いた。このネットワークが完成した暁には、昔みたいにスムースにあちこちに出かけることができる、いやバスのルートを知らなくても、簡単にどこにでも行くことができるようになるのだろうと。

    そして現在、デリー・メトロのネットワークが広がり、市内の長距離移動が格段に楽になった。とりあえず目的地の最寄駅まで乗車して、後はオートでも利用すれば非常に短い時間で到着することができる。便利なものである。

    昨年10月からはラージャスターン州都のジャイプルでも建設が始まっている。市内各地で工事が進行中だ。

    Jaipur Metro

    完成時のネットワークはこのような具合になる。

    他にもムンバイー、バンガロール、チェンナイ、ハイデラーバード等でメトロ建設が進められており、同様にアーメダーバード、ラクナウー、コーチン、ルディヤナー、チャンディーガル等でもメトロ建設着工の計画がある。多少の紆余曲折があっても、これからも引き続いて右肩上がりの経済成長が見込まれるインドはまさに日の出の勢いといった具合だ。

    一昔、二昔前を振り返れば、現在との大きな違いを実感でき、今後も更にベターな明日を思い描くことができるインドが、とても眩しく見える。

  • 格安タブレットPC その名もアーカーシュ(大空・天空)

    格安タブレットPC その名もアーカーシュ(大空・天空)

    だいぶ前から開発が進められていることが伝えられていたインド製格安タブレットPC『アーカーシュ』がついに姿を現した。

    価格は1,750Rs、およそ35米ドルと、これまでのタブレットPCよりもはるかに安い。インドの人材開発省主導のプロジェクトで、IITとイギリスのDataWindによる共同開発だ。

    目的は、インドの津々浦々の学生・生徒たちへのデジタルデバイスの普及による教育効果とデジタルディバイドの解消。もちろんハード面のみならず、今後はより安価なネット接続環境、無料Wifiアクセスポイントの普及が求められることになる。

    OSには何を搭載しているのか不明であるし、実機に触れてみていないので、使い勝手がどんな具合であるのかわからない。

    下記リンク先記事にもあるように、タッチスクリーンの性能や処理速度など、他のタブレットに大きく劣るであろうことは容易に想像できるものの、やはりこの価格で実現できるところに意義があるのだろう。インドのみならず、他の途上国からも今後引き合いがあるのではなかろうか。

    India launches Aakash tablet computer priced at $35 (BBC NEWS South Asia)

    だが、こうしたモノを安価に製造することに長けており、起業家精神に富む中国からも、そう遠からずこうした格安のタブレットPCが出てくるのではないかとも想像している。その潜在力は、すでにiPhone, iPad等のコピー製品の流通からも証明されている。

    もちろん、このアーカーシュの開発は、商業ベースによるものではなく、これを政府がまとめて買い取ることにより、教育の場に普及させるという使命を帯びたものである。やがて、世間でタブレットPCの類の利用が広まり、政府によるこうした補助なしで、学生・生徒たちの誰もが難なく安価なタブレットを購入できる環境が出来上がったとすれば、それはそれで喜ばしいことであろう。

    このアーカーシュ、私もぜひ試し一台入手してみたいと思っている。

  • キングフィッシャー・レッド ローコスト路線廃止へ

    キングフィッシャー・レッド ローコスト路線廃止へ

    Kingfisher Airlines

    ちょっとビックリする反面、やはりそうかという思いもする。

    Kingfisher Red to shut operations: Mallya (DAILY NEWS & ANALYSIS)

    After Kingfisher Red’s exit, no-frill carriers to expand operations (DAILY NEWS & ANALYSIS)

    キングフィッシャー・エアラインといえば、2005年に運行を開始した、まだ新しい航空会社ではあるが、もはやインドを代表する航空会社のひとつとして、内外に広く知られている。

    ご存知『キングフィッシャー』ブランドのビールを製造するユナイテッド・ブルワリーズ・グループが親会社の企業だが、今ではそれとは逆に『あのビールも造っている航空会社だね』などとアベコベなことを言う人もいるくらいだ。

    垢抜けたイメージとともに急激に路線を拡大していったが、2007年にインドにおける格安航空会社の先駆けであったエア・デカンを買収したことに負う部分も大きかった。旧エア・デカンは、キングフィッシャー・レッドとしてその後もインドの格安路線市場で、その他後発の格安航空会社や既存航空会社の格安料金と競い合い、同国の航空チケットの低価格化に果たした役割は相当なものである。

    個人的には、料金が安いもののウェブサイトでインド国外で発行したクレジットカードでは予約できなかったエア・デカンがキングフィッシャーに買収されてからは問題なく使用できるようになったのがありがたかった。

    ここ数年来の燃油代やパイロットの人件費の高騰により、どの格安路線も経営は決して楽ではないが、キングフィッシャー・エアライン自身も、華やかなイメージとは裏腹に様々な筋から経営難が伝えられていた。

    国内路線の伸長とともに、国際線にも積極的な進出を行なっており、他社と一線を画したカジュアルながらもスタイリッシュなブランドイメージとスタイルが良くてセクシーな制服を着た美人揃いの客室乗務員たちで人気を集めている同社は、利幅が薄くブランドの印象維持が容易ではない格安路線の切り捨てに舵を切ることになった。

    総体的には格安航空会社が従来型のキャリアに移行したように見えるが、実のところこれまでなかったちょうど両者の中間といった具合の新しいタイプのエアライン、つまりお役所的ではなく使い勝手の良い航空会社として今後も更に発展していくことと思う。

    この10年ほどで、インドの空の交通機関のありかた、ネットワーク、料金は大きく変化している。もちろんインドに限らず、中国、アセアン、ガルフその他のアジアの多くの地域で同様だ。

    だが便利になった、と感心ばかりしてもいられない気がする。人手不足で給与が高騰しているパイロットはともかく、その他の職種で航空業界に務める人たちの労働条件は、この間にどのように変化していったのかということも気になる。

    新規参入した会社が多数あり、業界全体の事業規模が飛躍的に拡大した結果、雇用者数が急増したことは容易に想像できるのだが、旧来からの航空会社に勤務の大多数の人たちにとっては、年々条件が厳しくなる苦難の10年だったのかもしれない。

    便利になるということは、往々にしてそのサービスを生業にしている人たちにとっては、当然の帰結として従前よりも重いノルマ等が課せられるわけで、同じ一続きの世の中で暮らしている以上、顧客たる私たちにとっても対岸の火事ではない。回り回って我が身にも降りかかってくることなのだ。

    キングフィッシャー・エアラインスの『レッド』部門切り捨てにより、これまで同社の路線拡大に大きく貢献してきた、切り詰めたコストの中でいろいろ使い回しされながらも頑張ってきた人たちが、今後どのような処遇を受けるのかということにも思いが及ぶ。

    現場で汗をかいて働く人たちはもちろんのこと、ホワイトカラーの間でも、エア・デカンの買収により、キングフィッシャー・レッドに移行した人たちには、厳しい処遇が待ち構えているのではないかと思うと、同じ生活者として非常に気の毒である。

  • J-one ジーワン 創刊号

    J-one ジーワン 創刊号

    J-one 創刊号

    ご存知Namaste Bollywoodを発行しているスタジオ・サードアイから、新しい刊行物が産声を上げた。Jeevan (जीवन)、つまり『生命あるもの』『生命』『生涯』『寿命』『生活』といった意味を持つ言葉をテーマに、『ポスト3.11の生き方を探るニュー・ライフスタイル・マガジン』がスタートした。

    創刊号で取り上げられている様々なJeevan (जीवन)は、インドやその周辺国に限らず、東南アジア、アフリカそして日本の福島と多岐に渡る。

    巻頭には東日本大震災でいち早く救援活動に乗り出したパーキスターンやインドの有志の人々のことが取り上げられている。またインドのラダックで生活支援を展開するNPO、バーングラーデーシュ産の革製品フェアトレードに取り組む日本の女子大生たち、世界各地で難民支援に取り組む人たち等の活動が取り上げられている。

    J-one Talkと題して、発行人のすぎたカズト氏と村山和之氏の対談『生命ある物をありがたくいただく生き方』からいろいろ考えさせられることが多い。ここにいろいろ書き出してしまうわけにはいかないので、ぜひ本誌を手にしてじっくり読んでいただきたい。

    福島や原発関係では、福島の様々な業種で日々頑張っている人たちの声が伝えられ、大手メディアが伝えない原発問題の盲点について多くの鋭い指摘がなされている。そのひとつに、私たちが『規制値以下なので安全』と信じ込まされている食品その他の放射能の数値がある。

    そもそもこれらは暫定的に大幅に底上げされている(つまり原発事故以前ならば当然基準値外のものが大量に出回っている!)ことを、私自身うっかり忘れかけていた。これについて『カロリー表示があるように食品に線量表示を義務付ければ・・・』という下りに大きく頷いてしまう。

    日々、新聞では各地で測定された線量が掲載されているが、当然同じ地域でも地形や風向き等によって、かなり差が生じることは聞いているものの、目に見えないものであるだけに、実際に測定することなく自覚できるようなものではない。同誌の取材により、原発周囲の避難区域からかなり離れたエリアでも、報道されている数値以上に、相当高い線量が検出されることが明らかにされており、大手メディアから一律に流される情報を鵜呑みにしてしまうことの危うさに背筋が寒くなる思いがする。

    だが怖いとボヤイてみたところでどうにもならない。私たちひとりひとりが、自分自身のJeevan (जीवन)を見つめなおして、何か小さなことでも、今できることから始めてみるようにしたいものだ。

    さて、このJ-one誌の入手方法についてはこちらをご参照願いたい。

     

  • インドにとってネパールは『第二のパーキスターン』となるのか?

    しばらく前から、北京に事務局を置く中国政府筋と関係の深い基金によるネパールのルンビニーにおける大規模な開発計画が各メディアによって取り上げられている。

    Nepal to build £1.9 billion ‘Buddhist Mecca’ (The Telegraph)

    China plans to help Nepal develop Buddha’s birthplace at Lumbini (Reuters)

    The Lumbini project: China’s $3bn for Buddhism (ALJAZEERA)

    このことについては、最近では朝日や読売といった日本のメディアによっても書かれており、記事を目にされた方は多いだろう。ちなみにその基金とは、亚太交流与合作基金会である。

    調達予定の資金額は何と30億ドルで、ネパールという国自体の年間の歳入の合計額に比肩するほどのものであるという。上記リンク先のロイターの記事によれば、計画には寺院の建築、道路や空港の建設、コンヴェンション・センター、仏教大学の設置等が含まれるとのことで、これが実行に移されることになれば、今は静かなルンビニーの町の様子が、近い将来には一変していることだろう。

    人類共通の遺産、とりわけアジアにおいて広く信仰されている仏教の聖地が整備されること、観光産業への依存度が高いネパールにおいて、観光資源が開発されること自体は大いに結構なことではあるものの、小国の年間歳入に匹敵するほどの資金を提供しようというプランの背後には、スポンサーである中国の国家的な戦略があることは無視できない。

    ちょうど昨年の今ごろ、ネパールは『中国の時代』を迎えるのか?』と題して、中国によるネパールへの積極的な進出について取り上げてみた。また一昨年には『ネパールにも鉄道の時代がやってくるのか?』として、中国の占領地チベット(中国は西蔵自治区を自称)からの鉄道の延伸計画等について触れてみたが、今度はインド国境から数キロという場所であることに加えて、ネパールでマデースィーと呼ばれる人たち、ネパール南部でインドの隣接する地域同様に、マイティリー、ボージプリー等を母語とする人々が暮らす地域に打って出た。

    インドにとっては国境すぐ向こうに『同族の人々』から成る『親中国の一大拠点』7が出来上がってしまうことを意味する。対外的には、特にインドにとっては大いに憂慮されるものであるが、ネパール政府にとっても、この計画は一方的に利を得るものとはならない可能性もある。

    同国で不利な状況下に置かれているマデースィーの人々の地域である。自治権拡大等を求めての活動が盛んで、中央政府に対する反感の強いマデースィーの人々のエリア。そこに外国による国家の歳入に比肩するほどの投資がなされるというのは尋常なことではない。

    現在までは、インドと中国を両天秤にかけて、うまく利益を引き出しているように見えるネパールだが、将来的には対インド関係においても、また内政面においても、同国が『パーキスターン化』するのではないか?と危惧するのは私だけではないだろう。決して好意的なものばかりではない様々な思いを抱きつつも、ときには関係が冷却したこともあるとはいえ、伝統的には特別な互恵関係にあった『身内』のインドとの対立と緊張、自国内でのさらに新たな摩擦と軋轢といった事柄が生じる可能性を秘めており、それらが現実のものとなる時期もそう遠い将来ではないような気がする。

    中国によるネパールへの数々の援助のオファーは純粋な善隣外交の意志からなされているものではなく、まさに自らの国益のためになされているということに対して大いに警戒するべきなのだが、目下、同国議会の第一党にあるのは、インドと一定の距離を置くいっぽう、中国寄りの姿勢を見せるネパール共産党毛沢東主義派である。

    以前、あるジャーナリストの方に話をうかがった際、手を替え品を替えといった具合に矢継ぎ早に繰り出す援助プロジェクト等のオファーにより、中国側に引き寄せられつつあるネパールのことについて、こんな風に表現されていたのを思い出す。

    『ネパールは、南側のインドという比較的ゆるやかな斜面と北側の中国という急峻な崖の間に位置する国。南側に転がれば怪我は軽いけど、北側の崖に転落したらどうなることか。けれども当人たちはそれがまだよくわかっていないようだ。』

    ネパールの空には、ネパール・インド双方に不幸を呼び込む暗雲が、北の方角からじわじわと押し寄せているように感じている。これが杞憂であればよいのだが・・・。

  • アーグラーで爆発

    9月7日に起きたデリー高等裁判所での爆弾テロの記憶も新しい中、昨日9月17日夕方にアーグラーのジャイ・ホスピタルのレセプション付近で爆発が起き、15名が負傷、うち3名が重体と伝えられている。

    現在までのところ犯行声明等は出ていない。また爆発物や犯行手段が特定されていないためテロと断定されてはいないものの、状況に鑑みて事故ではなく事件としての捜査が続いている。

    Agra blast: City had specific intelligence alert (Rediff.com)

    元々、地域の社会構成等から『センシティヴなエリア』でもあり、20日ほど前から治安当局が警戒していたということではあるが、テロに関わる可能性がある小さなグループが点在しており、そこに出入りする者たちが爆発物を製造していた可能性がある・・・等の噂ともつかない情報と合わせて錯綜している。

    爆発の規模は小さく、混雑したバーザールで起きたわけでもないため、被害の規模は決して大きなものではなかったが、こうした事件が起きるごとに「また彼らが・・・」「たぶんあの人たちが・・・」といった具合に、決して事件には関係のない特定のコミュニティに対する不信感、猜疑心は深まっていくことは否定できない。

    日本の主要メディアでも報じられたアンナー・ハザーレーの汚職運動と合わせて、国民会議派を中心とする連立政権にとって不利な状況が続いている。ローク・サバー選挙で2度の敗北、サング・パリワール内での不協和音、BJP党内でのパワーゲーム等の関係もあり、しばらく雌伏を余儀なくされているサフラン勢力が、力を盛り返しつつある様子もうかがえる。こうした中で、ひとつひとつの出来事の積み重ねが近い将来の政局に与える影響は決して小さくないだろう。

    同じ9月17日に、グジャラート州首相のナレーンドラ・モーディーは61歳の誕生日を迎えている。彼の就任前、2001年1月にカッチ地方を襲った大地震からの復興、グジャラートの高い経済成長等、彼の行政手腕は高い評価を得て再選され在任2期目にある。

    彼は、極右的なスタンスの政治家の中で最も人気の高い人物のひとりである。彼の州首相就任後間もない2002年にアヨーディヤーからサバルマティ・エクスプレスで帰還途中のヒンドゥー右翼活動家たちが大勢乗り合わせていた車両が州内のゴードラー駅に停止していたとき、地元のガーンチーと呼ばれるコミュニティのムスリムたちが襲撃し、車両に火を放ったことに端を発したグジャラートの大暴動を抑えることができなかったばかりか、これを陰で大いに煽っていたと信じている人々は今も多い。

    この暴動の際、地元選出の元国会議員でムスリムのエヘサーン・ジャフリーも命を落としている。グジャラート州の国民会議派組織の重鎮であった人物であるのにもかかわらず、本人の度々の要請にもかかわらず警察が動かず、自宅に押し寄せた暴徒に殺害されることとなった。

    余談になるが、ゴードラー駅での列車襲撃事件の際、乗り合わせたほとんどの人たちが亡くなったのは、国鉄の客車車両前後のドア以外からは出入りすることのできない構造が原因であったため、その後はノンACクラス、ACクラスともに車両真ん中の窓からは緊急時に脱出できる造りに改められることとなった。

    グジャラートの大暴動から10年近い歳月が経過し、昨日彼の61歳の誕生日に合わせて開かれた政治集会では、インドのニュース番組でも取り上げられていた。同州の複数のムスリムコミュニテイの代表たちも招待され、ステージでナレーンドラ・モーディーの誕生日を祝福するシーンもあり、彼らとの融和を演出する試みがなされていた。 加えて、彼は昨日から『人々の友愛と融和のため』と称して3日間の断食を実行中である。

    グジャラート州での行政手腕の実績を背景に、上げ潮の勢いのナレーンドラ・モーディーは、イメージチェンジを図るとともに、国政への進出に意欲を見せており、グジャラート州外でも将来のインド首相として期待する層も多い。このところ相次ぐテロと合わせて、何か不安なものを感じずにはいられない9月17日であった。

  • ラージ・タークレー ヒンディーで答える2

    さて、ラージ・タークレーはシヴ・セーナーから飛び出した後も、バール・タークレーに対する敬慕の念を表明しており、自分こそが彼の思想の正当な後継者であると主張していることからも明らかであるように、MNSの政党としてのスタンスはシヴ・セーナーと根本的には大差ないし、支持層の厚い地域もムンバイー市内及び沿岸部という点で共通している。

    違いといえば、党としての規模が小さいことと、それなりに歴史のある『本家』シヴ・セーナーに比べて、幹部や支持者は若年層が多いこと、そして地域主義に加えて『サフラン色』のイメージが濃いシヴ・セーナーに比べるとかなり宗教色が薄いことだ。地元のマラーティーを母語にするムスリムコミュニティの一部からの支持も取り付けていることは特筆すべきだろう。今のところは、マハーラーシュトラ州外に影響力を及ぼすという野心は希薄であるようだ。ゆえに地元『マラーティー主義』に全力を注ぐことができるという強みはある。

    昔は風刺漫画家としても知られていた叔父のバール・タークレー同様、ラージ・タークレー本人も画才には自信があるようで、MNSのウェブサイトで彼の作品を閲覧することができる。

    話は冒頭に戻る。昨日取り上げてみたラージ・タークレーのインタヴューである。

    मोदी के गढ़ में हिंदी भाषी बने राज ठाकरे (AAJTAK)

    彼は、メディアの取材にはたいていマラーティーのみで応じることで知られているだが、8月上旬にグジャラート訪問の際にヒンディーによるかなり長いインタヴューに答えた模様がニュースで流れていた。

    「ラージ・タークレーがヒンディーによる取材に応じています」とリポーターが喋り、彼は最初少々はにかみながらテレビカメラの前に姿を現す。

    彼は、ヒンディーという言葉に対する敵愾心はない。マラーティーを母語とする地元ではマラーティーを使うべきだ。私はグジャラートに来ているが、グジャラーティーは出来ないのでヒンディーを使うことにしているetc.といった具合に、ヒンディーで応じている理由に触れた後、州都ムンバイーを初めとするマハーラーシュトラ各地に労働者たちを送り込んでいる北部州に対する批判を展開している。

    リポーターが「ムンバイーの経済を支えているのは北部の労働者たちではないですか?」と水を向けると『彼らが大挙してやってくるのは、彼らの州に仕事がないからだ。州の経済がまるでなっていないからだ』と応じ、彼らの流入が地元の雇用に悪影響を与えているという従来からの主張に繋がっていく。

    インタヴューの中で、ラージ・タークレーが『ヒンディーは美しい言葉だ』と持ち上げたことを除けば、MNSの従来からの主義主張に照らして目新しいものは特になかったが、それでも『ヒンディーでインタヴューに応じた』こと自体が、地元のマハーラーシュトラではちょっとした波紋を投げかけることになったようだ。 先述のリンク先の放送局以外のメディアに対しても同様にヒンディーで質疑に応じている。

    その結果、ライヴァル関係にあるシヴ・セーナーには『我が党が真のマラーティー主義擁護者である』というアピールをさせる機会を作ってしまった。ラージ・タークレーがヒンディーでメディアのインタヴューに応じたのは、決してこれが初めてではないのだが、比較的最近、州政府の要職に就いた人物が就任式にてヒンディーで宣誓を行なったことに対する激しい批判を行なったこともあり、ちょっとタイミングが悪かったのかもしれない。

    ともあれ、彼がメディアに対して『ヒンディーで答える』こと自体が一種のサプライズであり、他方ではスキャンダルにもなり得るというのが彼の立場である。

    彼自身にとっては、こうした形で必要に応じて、マラーティーを理解しない他州の大衆に対してヒンディーによるMNSの主張を発信していくことは、長期的には決して損なことではないだろう。

    マハーラーシュトラの暴れん坊、ラージ・タークレーは、中央政界に強いインパクトを与えることができるような人物ではないし、地元マハーラーシュトラにおいても今後檜舞台に躍り出る政治家であるとも思えないのだが、これまで同様に決して無視することのできない一定の影響力を行使していくはずだ。たとえ本家シヴ・セーナーと決別しても、根強い支持層を持つマラーティー主義を掲げた極右政党の親分である。

    こうした空気の中、昨年1月に『ムンバイー タクシー業界仰天』と題して取り上げてみたように、デモクラティック・フロント(コングレスおよび1999年にコングレスから枝分かれしたナショナリスト・コングレス)政権下のマハーラーシュトラで、タクシーの営業許可に対する条件として『マハーラーシュトラに15年以上居住』『マラーティーの会話と読み書き』などという、シヴ・セーナー/MNSばりのマラーティー優遇策を打ち出したりするようなことが起きる。

    Maharashtra Govt. makes Marathi mandatory to get taxi permits (NEWSTRACK india)

    現在のマハーラーシュトラ州政界は、コングレス+ナショナリスト・コングレスとこれに対抗するシヴ・セーナー+BJPの対立軸で展開しているため、中道の政権にあってもちょっと右寄りのポーズを取る場合もあるのは仕方ない。

    マハーラーシュトラ州政治のメインストリームの中で、本家シヴ・セーナーに対するMNSの居場所はないのかといえば、そうともいえない。上記の二大勢力の次に左翼とダリット勢力があるが、MNSは単独でそれに次ぐ位置にあるからだ。今後の風向き次第では、上位ふたつのどちらかと協調することも考えられる。

    グローバル化が進展していく中でそれに対する地域民族主義が今後どうやってこれに抗っていくのか、どのように折り合いを付けていくのかという点から、とても興味深いものを感じている。

    今後も事あるごとに注目していきたい政治家の一人である。

    <完>