タイの洪水

インドのニュースではないのだが、日印間の空路の要衝にあり、乗り換えその他でバンコクの空港に立ち寄ったり、市内に滞在したり人も少なくないだろう。

最初はアユタヤー地域で市街地等の冠水が話題になっていたが、あれよあれよという間にバンコク首都圏も同様の被害が及び、29日の大潮が最大の危機と言われるまでになってしまった。

本日すでに30日。最悪の状態を脱しつつあると思いたいところだが、まだまだ今後どうなるかまったく不透明なようだ。 今後の進展について、タイの英字紙バンコク・ポストでは以下のようなシナリオを描いている。

How high can this flood in Bangkok become for each district? (Bangkok Post)

そもそもバンコクにおける治水対策について、従前から首都圏を起源に発生した洪水に対処するものであり、市外からジワジワと流れ込んでくる大量の水というのは想定外であったということが問題であったと指摘している。

Drainage system not up to task (Bangkok Post)

また読者に対して、洪水危機に際しての注意事項なども掲載している。

Come hell or high water: Flood survival guide (Bangkok Post)

洪水の規模の大きさを窺わせる画像や動画も掲載されている。

Bangkok Flooding Oct. 29 (Bangkok Post)

Living With Disaster (Bangkok Post)

同紙による今回の洪水に関する記事のスレッドもある。

タイを代表するもうひとつの英字紙The Nationも同様に洪水に関する記事で一杯だが、今後の見通しについてこんな記事も掲載している。

WHAT CAN BE EXPECTED (The Nation)

影響が長期化することが予想されているわけだが、その一方でインラック首相は『峠はほぼ越しつつある』との声明を出している。

We’re nearly through it: PM (The Nation)

今回の洪水に対する不手際(治水に関わるインフラ不足は数か月前に政権を取ったばかりの現与党の責任ではないとはいえ、洪水の広がりに対する見通しの甘さが各方面から糾弾されている。

ごく最近まで『バンコクは大丈夫』という認識でいたがゆえに、先立つ『アユタヤー洪水』は広く報じられていたものの、それに続く『首都洪水』が国際ニュースに現れたことが、何かとても唐突に感じられたりもするのである。

しかしながら今ばかりは、インラック首相の発言『峠を越しつつある』が現状を正しく認識したものであることを誰もが願っていることだろう。

雨季の終わりの大雨は去り、大潮もやり過ごした。大方の情勢としてはそういうことになり、やがて水は引いていくことは間違いないのかもしれない。だが周囲の運河や河川よりも低地であったり、水の通り道をブロックする施設等が存在したりすることから、排水がままならない地域が多いことであり、未曾有の大災害からの復興に対する資金の調達や個々の被災者たちへの救済をどうするかということもある。

ここ数年、派手な衝突を繰り広げているタイの政争の最中に、極めて危険な爆発物が持ち込まれることになった。水が引いた後にも、タイ政界では大きな災いが待ち受けているに違いない。どうかそれが市民に飛び火しないことを願いたい。

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