デジタル一眼レフの低価格化が進んでからというもの、猫も杓子も一眼レフという状況になり、ハイエンドなコンパクトデジカメが市場からほとんど姿を消すという異変が起きたのは3、4年ほど前のことだったと記憶している。
今やブームも一服したと見るべきか、それがゆえにサブ機として機能性の高いコンパクト機の需要が喚起されたと捉えるべきなのかどうかはわからないが、1年くらい前からコンパクトデジカメの高級機がいろいろ出てきていることは喜ばしい。
2008年3月に発売されたシグマのDP1は個性が強すぎて万人受けするものではないとしても、7月にリコーから先代のGX100から完成度を高めたGX200、8月にパナソニックから出たLX3と、その時点で何かコンパクト機を購入しようと考えているならば、どちらも最良の選択となると思われる良品が続いた。リコーにしてもパナソニックしても、従来から広角に重きを置いたモデルを展開している。変な言い方かもしれないが、コンパクト機らしい使い方がちゃんとできるカメラを生産するメーカーである。
それではコンパクト機らしい使い方がなかなか出来ないものとは何かといえば、高級志向を狙っていても、やたらと倍率の高いズームを搭載している割には、広角端が35mm相当でしかないものがけっこうある。
レンズ交換のできないカメラであるがゆえに、28mmから始まるものでないとなかなか使いにくいし、あまりに倍率の高いズームレンズがこの類のモデルに必要なのか疑問だ。一体何を撮るというのだろう。特に望遠側において、解像度の点でも、またF値が極端に暗いことなどからも、あまり実用的とは思えない。
ごくごくまっとうに考えれば、24mmないしは28mmあたりから70〜80mmくらい、あるいはせいぜい100mmくらいまでの幅のズームで、広角側での歪みが少なく、比較的明るいレンズが搭載されていればいいと思うのだが、そういう素直なカメラがあまり出回っていなかった。
昨年秋ごろから最大手のキヤノン、ニコンといったメーカーも、ようやくこの路線のカメラを出してきたことは注目に値する。昨年9月にニコンからCOOLPIX P6000、同じく10月にはキヤノンからPowershot G10が発売されている。


どちらも28mmから始まるズームレンズを持ち、それまではリコーないしはパナソニックの独壇場だった広角ズームレンズ搭載高級コンパクトデジカメの領域に踏み込んできて、なかなか面白いことになってきた。
だが高級コンパクトデジカメの頂上を制するのは、発売時期未定だが今後パナソニックから出てくる予定のマイクロフォーサーズ準拠のレンズ交換式一眼デジタルカメラではないかと思う。これまでのコンパクトデジカメと違い、デジタル一眼から派生したタイプのカメラになるのだが、サイズとしては明らかにコンパクト機と重なるものであり、しかもレンズ交換式であり、拡張性という点では他と比較にならない。

すでに発売されているマイクロフォーサーズ規格のパナソニックのLUMIX G1は、あくまでも従来型の一眼レフ(G1は構造上一眼『レフ』ではないので、メーカー自身も『デジタル一眼』と称している)が軽く小さくなったものという、オーソドックスな位置づけをしているのに対して、オリンパスのほうはこれまでになかった新しいジャンルの開拓を目指しているようだ。
今年発売されるカメラの中で、その革新性から最も注目を浴びる可能性が高い。G1のほうは『女流一眼』というキャッチコピーで、女性への浸透を狙った。(だがフランジバックの短さから、マウントアダプターを介してさまざまなマニュアルレンズを装着可能なことから、昔からのカメラマニアたちにもよく売れているという)
オリンパスは自社から出る新モデルをどう売り込んでいくつもりなのかわからないが、普段から上着のポケットに放り込んで持ち歩くことができる、操作性や画質が他を大きく凌駕するコンパクトデジカメとして注目されるのではなかろうか。すると当然のごとく、最良の旅カメラとしても期待したいところである。
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やっぱり良さそう マイクロフォーサーズ

先日『何だかいい予感 マイクロフォーサーズ第1号カメラ』
で取り上げてみたパナソニックのルミックスG1だが、現在次のようなレンズの発売はすでに確定(時期未定)となっているようだ。
・14 – 140mm F.4.0〜5.6
・7 – 14mm F.4.0
・20mm F1.7
とりわけ気になるのは20mm F1.7のパンケーキ(薄型)レンズ。35mm換算で40mm相当の画角となるのだが、F.1.7と明るいこともあり、さまざまな用途で大いに活用できそうだ。
また7-14mm F4.0という同じく35mm換算で14 – 28mmという超広角ズームもとても気になるところ。
現在発売されているマイクロフォーサーズ規格のボディは、まだルミックスのG1のみ、レンズも14-45 F3.5〜5.6と45-200 F4〜5.6の2本のみだ。今のところ関心はあっても様子見をしている人たちも、今後のシステムの充実具合の目処がある一定のところまで達すれば、一気にユーザーが増えるのではないかと思う。
もちろんこのG1そのものがというわけではなく、これに続く新機種やマイクロフォーサーズの提唱企業であり、今後この規格のカメラを市場に送り込むことを予定しているオリンパスの製品を含めた新商品がという意味である。 ただしオリンパスで開発中の機種はパナソニックのG1のような一眼タイプのモデルではなく、ファインダーを省略したコンパクトデジカメがレンズ交換可能になったような感じのものらしい。
従来のAPS-Cセンサー搭載のカメラに比べて、ボデイ・レンズともに相当な小型軽量化が容易となるマイクロフォーサーズのモデルだ。私がこれまで期待していたハイエンドなコンパクトデジカメの潜在的な需要を大きく削り取ることもさることながら、従来のデジタル一眼レフのとりわけ入門機のようにコンパクトさを売りのひとつにしているタイプのモデルのシェアに大きく食い込むことも予想できる。
マーケットがそれなりに成熟してくれば、機能的には中級機に相当するモデルもでてくることだろう。それにマイクロフォーサーズのオリンパス、パナソニックどちらのカメラあるいはレンズを購入しても相互に互換性があるのも魅力だ。
マイクロフォーサーズ規格のカメラを製造ないしは開発しているメーカーは、現在オリンパスとパナソニックだけであり、どちらもこの分野ではメジャーではないのだが、『旅行カメラ』としては非常にいい線いくのではないかと予想している。
パナソニックのG1に関していえば、従来の一眼にはなかった弱点がある。それは連写に弱いことだ。このクラスのカメラならば1秒間に3枚という数字は別に悪くはないと思うのだが、光学ファインダーではなく液晶ビューファインダーになっているため、連写の際に最初のコマの像がそのまま残ってしまい、動きのあるものが被写体の場合これを追尾するのが難しくなる。
これは液晶ビューファインダーの宿命なのか、それとも今後解消ないしは改善可能なものなのかどうかはわからないが、スポーツや舞踊といったものを撮影するのでもなければ特に問題にはならないのではないだろうか。
また先日触れなかった利点としては、G1には搭載されていないものの、マイクロフォーサーズは一眼タイプのカメラに動画撮影機能を盛り込むことも想定してあるため、写真のみならず動画についてもコンパクトデジカメとは段違いの質と操作性をもっての撮影を可能とするようだ。この部分についてはG1の後継機ないしはオリンパスからの第一号機に期待したい。
先ほども触れた今後のレンズ群の充実次第、続いて出てくるボディの完成度次第で一気に売れ筋となると思われるのがこのマイクロフォーサーズ。
もちろん現在発売されているパナソニックG1と14-45mm(35mm換算28-90mm)および45-200mm(35mm換算90-400mm)の組み合わせだけでも、今年発売されたカメラの中では旅行用および常日頃携帯するカメラとして最も魅力的なのではないかと思う。
何だかいい予感 マイクロフォーサーズ第1号カメラ

10月31日に発売されたパナソニックのルミックスG1はなかなか評判がいいらしい。私自身も店頭で実機を触ってみたが、思いのほか良い印象を受けた。
マイクロフォーサーズという新しい規格による初めてのカメラで、今の時点でボディサイズが世界最小というが、今はAPS-C規格のカメラも相当小型化しているものがあるので、さほどびっくりするほどではなかった。
だが搭載しているセンサーが4/3インチと、従来のフォーサーズのものと同じサイズながらも、フランジバックつまりマウントからセンサーまでの距離をフォーサーズの約半分に縮め、マウント外径を約6ミリ縮小するというもの。
結果としてボディを薄くすることが可能となり、レンズも相当軽量・小型にできるという利点がある。ボディとレンズを組み合わせた際のトータルな大きさと重量には、それを始めて手にした誰もが目を見張ることだろう。
もちろんセンサーが小型であることについては、画質とりわけラティテュードの幅、高感度設定時の荒れという部分において、少なくとも同世代・同クラスのAPS-C以上のセンサーを持つカメラと比較すれば不利になるのではないかと思うのが当然だが、このあたりの使用感について購入された方にうかがいたいと思う。
シグマDP2
シグマDP1の他と比べようもない圧倒的な画質にホレボレしつつも、メディアへの書き込みの遅さはもちろんのことながら、開放値でF4という暗さもあり、『楽しいんだけれども使いにくいなあ』と思いながら、まさに愛憎半ばする気持ちで使っているユーザーは多いだろう。
画質のために他のすべてを捨てた?カメラなので仕方ないとはいえ、そこは秒進分歩のデジタルの世界、再来年あたりに使い勝手をグンと向上させた次期モデルを出して欲しい・・・と思っていたら、すでにDP2の開発が発表されていた。
DP1は今年3月に発売されたのにもう後継機?と思いきや、35mm換算で41mmの画角となるモデルで、28mm相当の広角レンズを持つDP1と同じシリーズの機種として並存する形になるようだ。スナップなどに使いやすい画角だし、開放でF2.8と比較的明るいレンズ(DP1と比べるとはるかに明るい)であることから、書き込み速度や操作性といったメカニカルな部分が大幅に改善されていれば、非常に魅力的なモデルになるのではないかと思う。携帯性や趣味性からしても『インドでいかが?』というカメラになりえるかもしれない。
裏を返せば違うのは画角とレンズの明るさだけというカメラであれば、DP1を愛用している人であっても、『またアレでは・・・』ちょっと引いてしまうのではないかとも思う。現在、発売日・価格ともに未定とのこと。『買うぞ!』と思っているわけではないのだが、まだそれなりの価格で引き取ってもらえるうちに、DP1を手放してして現金化しておこうか、と思ったりもするのである。

ミラーレスの超小型一眼レフ

旅行用カメラとしてちょっと気になるモノが登場するらしい。
オリンパスとイーストマンコダックが提唱してきたフォーサーズシステムは、オープン規格としてカメラメーカー等の業界団体に対しNDA(Non-Disclosure Agreement)ベースで公開されており、他のメーカーの参入を可能としている。フォーサーズにおいてはメーカーを問わずレンズやボディ間の互換性が保たれる。
メーカー固有のものではないユニバーサルマウントであることから、キヤノン、ニコンを追う第三の勢力にのし上がる可能性も感じさせたフォーサーズだが、提唱者であるオリンパス以外には、パナソニックから一機種および同社OEMによるライカの一機種以外には後に続くものがなく、お寒い状態が続いていた。
そのフォーサーズに『小型化』を武器にする新たな規格が登場した。『高画質スリム一眼レフのための新規格』をうたうマイクロフォーサーズシステムで、ミラーレス構造、つまり一眼レフの光学ファインダー方式に必要な、ミラー、焦点板、ペンタミラー、位相差AF用測距センサー、AE用測光センサーをなくすことで、ボディの小型・軽量化を実現しようという発想。これにともない交換レンズも相当小型化される。
一眼レフカメラの構造そのものを変えた画期的なアイデアだ。光学ファインダーに相当する部分は、ライブビューファインダーとなり、背面の液晶モニターと併用されることになる。こちらもオープン規格として賛同メーカーが名乗りを上げることができるようになっている。従来のフォーサーズレンズもレンズはアダプタを介してマイクロフォーサーズのモデルボディに装着可能だ。だがその逆は不可。
そのマイクロフォーサーズの記念すべき第一号モデルがパナソニックから発売されるG1だ。お洒落な三色から選べるという家電的な手法とともにバリアングルモニターとライブビューで、小型軽量である点と合わせて、一眼レフカメラの使い方の幅が広がりそうだ。
ファインダーが光学式ではなく液晶のライブビューファインダーになっている部分については、ピントだけではなくホワイトバランスの確認もできるというメリットはあるものの、起動時や連続撮影時のレスポンスに不安がある。少なくともスポーツの撮影には向いていないのではないかと思う。
『メーカーを問わない互換性がある』とはいえ、生まれたてホヤホヤのこのシステムによるカメラはパナソニックから10月に発売されるG1以外世の中に存在しない。レンズその他アクセサリ類がまだまだ・・・というよりも、将来性に大きな不安がある。もちろん従来のフォーサーズのレンズを流用できるとはいえ、そこは『小型軽量』が最大のメリットであるマイクロフォーサーズ規格のもので揃えることができなければ、このカメラに存在意義さえないだろう。
とりあえず今の状態では、他社のカメラを使用している人が『G1に乗り換えよう』と考えることはまずないように思う。発売時に入手可能なレンズのラインナップの範囲で、『レンズ交換可能な高性能なちょっと大ぶりなコンパクトデジカメ』を買うつもりで手を出してみようという人は少ないないかもしれないが。
しかし初物ということもあるし、多くはこのシステムを生んだ本家のオリンパスのモデルが出てくるまで様子見・・・という向きが大半なのではないだろうか。コンパクトデジカメからステップアップしてみたいけれども、それほど本格的なものでなくてもいいのだ、という人にとっても小型軽量という部分がアピールするかもしれない。
良くも悪くも家電メーカーらしく、G1のウェブサイトを見てもいったい誰に売ろうとしているのかよくわからない。万人受けをねらっているのかとは思うが、かなり趣味性が高い商品なのである程度的を絞ることも大切なのではないだろうか。
・・・とはいうものの、小型軽量・バリアングルという機動性の面では『旅行カメラ』として高いポテンシャルを感じる。ボディに高倍率レンズを付けっぱなしという場合はもちろんのこと、同じ重量でより多くの機材(主にレンズ)を持参することができるわけだ。G1というモデルに高い関心はないのだが、マイクロフォーサーズという規格にはかなり興味をそそられる。を採用したモデルがどこまで軽量化するか、どれほど多くのコンポーネンツを揃えてくるのか、今後も注目していきたい。
