大空からの落し物

千葉県山武市内の住宅地で、乗用車に航空機から落下したものと思われる金属片が衝突する被害が報告されたとの記事が出ていた。落し主はエンジントラブルで出発地の成田空港に引き返したエアインディア307便らしいとのこと。
機種はボーイング747-300だ。機齢は不明だが、1983年から1990年にかけてリリースされていたモデルであるため、18〜25年ほど使用されている高齢機であることだけはわかる。
もっとも飛行機からの落下物は特に珍しいものというわけではなく、数年前にも米国系大手航空会社のフライトの離着陸時にしばしば滑走路に『落し物』をしていたようで、当時の新聞にこれを懸念する記事が掲載されているのを見かけたことがある。
いずれにしても、フライト自体の安全な運行はもちろんのこと、空からの落下物により地上で惨事が起きたりすることがないよう願いたい。
空から金属片、車直撃 千葉、航空機のエンジン部品か (asahi.com)

エア・デカンいまやキングフィッシャー

キングフィッシャー・エアラインスは、昨年12月にエア・デカンの吸収合併を決定し、今春以降は事実上同一企業体ながらも両ブランドが並立していた。従業員のユニフォームやブランドのロゴを共通化し、一体性を感じさせるものにはなっていたものの、予約やカスタマーケアのチャンネルも別々であった。キングフィッシャーのフライトとエア・デカンのフライトがそれぞれコードシェア便の扱いであったため、どちらのサイトからでも予約できたものの、少なくとも顧客側から見れば事実上『ふたつの異なる航空会社』であった。だがこのたび『エア・デカン』ブランドの消滅により、両社が名実ともに一体となり、ウェブサイトもhttp://www.flykingfisher.com/で統一された。
合併当初は、ビジネスその他高品位サービスのキングフィッシャーと低コストのエア・デカンというふたつの異なる色合いを持つブランドとして継続させるプランもあったようだが、結局のところブランドの統一という形で落ち着いたようだ。
エア・デカンといえば、インドの格安航空会社のさきがけ。2003年に運行を開始し、当初は主にインドの南半部を中心にフライトを飛ばしていたが、徐々に北インドへも手を広げて、全国規模の航空会社に成長した。その間スパイス・ジェット、キングフィッシャー・エアラインス他の多くの後発会社が市場に参入してくる中、先発のエア・デカンがこのジャンルの国内航空会社最大のネットワークを誇っていた。
注目を浴びた新しいビジネススタイル、めざましい躍進とこの新たな業界の牽引、後発会社(の親会社であるUBによる)買収による合併でブランド消失等々、エア・デカンをめぐり数多くのことがわずか5年間で起きた。実に浮沈の大きな業界だ。
昨今の燃油高騰の関係もあり、多くの会社が苦戦を強いられているようだ。格安航空業界各社から今後さまざまなニュースが伝えられることになるのかもしれない。だが他の多くの国々でそうであるように、新しいタイプの航空各社が既存のエアラインに与えた影響は大きい。単にチケットのコストのみならず、ブッキング、顧客サービス、運行その他あらゆる面での合理化を推進させることとなった。老舗会社がわざわざ格安専門の子会社を設立する例もかなりある。
今後も既存会社vs新興格安会社という構図の中で、クラス別の棲み分けがなされていくのだろうか。それとも既存会社の業務合理化、新興会社の中でもまた他社との差別化が進み、高級化の路線を歩むところが出てくることなどから、双方の差異が限りなく小さくなってくるのだろうか。
一般的に『格安』という手段は、既存の出来上がった市場に新規参入するためのひとつの手段に過ぎないようだ。ひとたびそれなりのシェアを占めると、自らのサービスの中であるいは同業他社のサービスとの間に差別化を図り、より収益の高いところに到達する努力にとりかかるのは、ビジネスとして当然のことだ。鉄道やバスよりも速く大きく変化し続ける空の旅客輸送の世界である。5年後、10年後にどんな様相になっているのか皆目見当もつかない。

キングフィッシャー ロンドンへ飛ぶ

Kingfisher Airlines
インドの新興エアラインを代表する航空会社のひとつ、キングフィッシャー・エアラインスが9月3日から国際線に進出する。手始めはバンガロール・ロンドンを往復する便であり、じきにムンバイ・ロンドン便も続くようだ。他にもサンフランシスコ、ニューヨーク、アムステルダムなどへの乗り入れが予定されているらしい。
マレーシアを本拠地とするエア・アジアのように、自国および近隣国を軸足を置き、地域を代表する航空会社に成長していったのと違い、南アジア近隣国や中東諸国への飛行も検討されているもののプライオリティは低く、今のところは欧米志向のようである。
ともあれ、例の赤くて格好いい制服を着たフライト・アテンダントたちの姿をインド国外の空港で見かける機会が出てくるのだろう。
将来、キングフィッシャー・エアラインスで東京からバンガロールへ直行できる日がくるのかどうかわからない。それでも今後、成田空港への乗り入れについての検討がなされるかどうかという点については、発着にかかるコストもさることながら、それが果たして良いことなのかそうでないのかはともかく、インドにおける日本のプレゼンス、インドから見た日本の関係がどのくらい深いものになっているかということが如実に反映されることだろう。
もちろん日印間の友好や親善などといったエモーショナルなものではなく、経済という人々の日々の活動を通じた実体をともなう繋がりがどれだけ濃いものになっているかということであることはいうまでもない。

エアアジアXがやってくる

燃油代高騰によるサーチャージが膨らみ、空の旅にかかる費用に大きな『異変』が起きている昨今である。そのため今年夏のバカンス目的の国際線需要は、前年の数字を大きく割り込むのではないかと予想されているほどだ。そもそも燃料等のコスト上昇分を追加料金として堂々と別途請求できること自体、いかがなものかと思うのだが、航空・船舶関係は、寡占状態に近いものがあるので、こういうことが可能なのだろう。
ただし既存の航空会社の高コスト体質に抵抗する形で参入してシェアを伸ばしてきた新興の格安航空会社にとっては、これが頭痛のタネとなっている。フライトの運行にかかわるもの以外を極端に削ぎ落としてきたがゆえに低料金を実現しているわけだ。しかし会社設立の初期投資分の回収さえできず、厳しい競争のもとなかなか利益が出る見込みがつかないキャリアも多いと聞く。台所事情が厳しく、経営体力もない中で、追い討ちをかけるかのような燃料価格の高騰とあって、しばらく前までは航空業界再編のカギを握ると目された低コストキャリアが今では一転苦境に立たされており、フライトの削減により機材が駐機場にゴロゴロ・・・なんていう事例を報じたニュースを目にしたりもする。
こうした逆風をよそに、さらに強気な攻勢に出る格安航空会社もある。既存大手の牙城であり新興会社の実績がイマひとつの日本に黒船襲来か?とされるニュースをしばしば見かけてはいたが、ついに『来春にも就航』なんていう記事が出ており、あとはカウントダウンを待つだけのようだ。その話題のキャリアとは、マレーシアを本拠地として周辺国に展開しているエアアジアの長距離国際路線を担うエアアジアXで、日本就航を睨み、静岡、中部、福岡、新千歳空港といった地方空港の中から、乗り入れ先の選定に入っているとのこと。
実は、東南アジアのこうした新興航空会社による日本乗り入れは、これが初めてというわけではなく、すでにバンコクエアウェイズがバンコクのスワンナプーム空港から広島と福岡に定期便を飛ばしている。だがタイ国内や近隣国へのフライトは手頃な料金でも、日本への路線は特に安いというわけではない。だから『大手の半額』という低価格をセールスポイントに乗り込んでくるのは、エアアジアXが最初ということになるのだ。
同社は、韓国、そしてインドへの乗り入れも検討中とのことで、単に日本とタイの間を飛ぶ際の選択肢のひとつにとどまらず、スケジュールや料金次第では、東アジアと南アジアの間を往来する有力なキャリアとして浮上してくるかもしれない。今後の進展が気になるところだ。
世界最安航空、来春にも日本就航 「運賃、大手の半額」 (asahi.com)

便利になった

空港に着いた。国内各地をひっきりなしに飛び交う多くのキャリアの社名やシンボルマークが目に飛び込んでくる。かつてのインドの各空港のゆったりと鷹揚な雰囲気はいまいずこ。21世紀のインドの空の旅は、新興航空会社の伸長にともなう発着便の大幅な増加により、既存の空港や管制システム等への負荷が大きくなりすぎている。空はともかく、空港や関連施設はどこもずいぶん手狭になっている。
極端な話、チャンディーガル・デリー間のような近距離の移動の場合、飛行機を選ぶと実質の移動時間はごく短いとはいえ、鉄道と違って出発予定時刻よりもかなり早くチェックインしなくてはならないこと、フライトの機材が搭乗する空港に到着するまでに相当な遅れを蓄積していたりすることなどにより、『あぁ、鉄道で行ったほうがよっぽど早かった』なんてこともしばしばあるだろう。
混雑と遅れの解消とスムースな運行を目指して空港の増改築、新規の空港建設などが進んでいるところだが、相応の落ち着きを見せるにはまだまだ時間がかかりそうだ。視点を変えれば、こうしたインフラ関連の産業は、どこでも引く手あまたで今後も着実な成長を見せる証拠ともいえるだろう。

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