燃油代高騰によるサーチャージが膨らみ、空の旅にかかる費用に大きな『異変』が起きている昨今である。そのため今年夏のバカンス目的の国際線需要は、前年の数字を大きく割り込むのではないかと予想されているほどだ。そもそも燃料等のコスト上昇分を追加料金として堂々と別途請求できること自体、いかがなものかと思うのだが、航空・船舶関係は、寡占状態に近いものがあるので、こういうことが可能なのだろう。
ただし既存の航空会社の高コスト体質に抵抗する形で参入してシェアを伸ばしてきた新興の格安航空会社にとっては、これが頭痛のタネとなっている。フライトの運行にかかわるもの以外を極端に削ぎ落としてきたがゆえに低料金を実現しているわけだ。しかし会社設立の初期投資分の回収さえできず、厳しい競争のもとなかなか利益が出る見込みがつかないキャリアも多いと聞く。台所事情が厳しく、経営体力もない中で、追い討ちをかけるかのような燃料価格の高騰とあって、しばらく前までは航空業界再編のカギを握ると目された低コストキャリアが今では一転苦境に立たされており、フライトの削減により機材が駐機場にゴロゴロ・・・なんていう事例を報じたニュースを目にしたりもする。
こうした逆風をよそに、さらに強気な攻勢に出る格安航空会社もある。既存大手の牙城であり新興会社の実績がイマひとつの日本に黒船襲来か?とされるニュースをしばしば見かけてはいたが、ついに『来春にも就航』なんていう記事が出ており、あとはカウントダウンを待つだけのようだ。その話題のキャリアとは、マレーシアを本拠地として周辺国に展開しているエアアジアの長距離国際路線を担うエアアジアXで、日本就航を睨み、静岡、中部、福岡、新千歳空港といった地方空港の中から、乗り入れ先の選定に入っているとのこと。
実は、東南アジアのこうした新興航空会社による日本乗り入れは、これが初めてというわけではなく、すでにバンコクエアウェイズがバンコクのスワンナプーム空港から広島と福岡に定期便を飛ばしている。だがタイ国内や近隣国へのフライトは手頃な料金でも、日本への路線は特に安いというわけではない。だから『大手の半額』という低価格をセールスポイントに乗り込んでくるのは、エアアジアXが最初ということになるのだ。
同社は、韓国、そしてインドへの乗り入れも検討中とのことで、単に日本とタイの間を飛ぶ際の選択肢のひとつにとどまらず、スケジュールや料金次第では、東アジアと南アジアの間を往来する有力なキャリアとして浮上してくるかもしれない。今後の進展が気になるところだ。
世界最安航空、来春にも日本就航 「運賃、大手の半額」 (asahi.com)