
一般の村人が使う水汲み場を利用できなかったり、立ち入ることさえ許さない寺があったり・・・。今でもアウトカーストの人々が日常的に差別と直面する場面は少なくないようだ。
とはいえ現代インドが彼らの地位および経済状態の向上を目指して、指定カースト・指定部族への留保制度により学校への入学や就職等での優遇措置などの特典(そのため生じた様々な問題や弊害もあるが、ここで是非を云々しない)を講じてきたこと、また近代化とともにカーストの持つ意味が次第に薄れてきたこともあり、そうした出自を持つ人々の中にも高度な専門分野で活躍したり、経済的に豊かになったりということもないではない。
もっとも彼らの地位向上は、必ずしも上から与えられたものであるわけではなく、独立インドの初代法務大臣アンベードカル博士に見られるような、自助努力による部分も大きいのだろう。
投稿者: ogata
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自転車に乗って村八分 1
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マオイストたちの裏インド 2

社会的なテンションがあるところには、それなりの理由があるのだ。マオイストの影響下にある地域の住民にとって、銃器や暴力へ怖れからやむなく従っている、口を閉じているといった日常があったとしても、彼らがさらに力を伸ばしていく背景には、やはり特定層からそれなりの支持を受けている事実があるはずなのだ。
話は飛んで、現在カシミールの治安状況で問題となっているのは極左勢力ではなく原理主義過激派だが、この点については同様だ。どちらにしても自分たちが「生きるために必要だ」と信じているものの、客観的に見れば誤った方法で頑張ってしまっていると言えるだろう。
彼らはふざけているわけでもなく、怠けているわけでもない。きわめて真面目で真摯な姿勢で邁進しているのだから、当局による「悪いから叩く」対症療法だけでは延々とイタチごっこが続くだけだ。こうした勢力が跋扈する土壌を作らないよう、社会の体質を改善する必要があることは誰もがわかっているはず。こういうときこそ頼りになるのが政治の力であるはずだが、実に様々な勢力の微妙なバランスのもとに成り立っているがゆえに難しい。 -
マオイストたちの裏インド 1

先日、ZEE NEWSで、ビハール、ウッタル・プラデーシュ、ウッタラーンチャル、オリッサ、アーンドラ・プラデーシュ、ジャールカンドの六州で活発になりつつあるマオイストたちの活動に関する特集が組まれていた。また西部でもパキスタンと国境を接するラージャスターンでもその気配があり、彼らに対する「外国から」の資金援助の可能性をも示唆していた。 -
ケッコン狂想曲

しばらくするとウェディングシーズンに入るインドだが、BBCから結婚にまつわるニュースがふたつ。
Israelis fined for wedding kiss
India’s rent-a-guest wedding agents -
ヘリテージな宿でまどろむ

ゴアのスィンケリム(Sinquerim)ビーチに行ってみた。オフシーズンなのでほとんど観光客の人影がない。店やレストランの類も扉が締め切られたままのものが多い。風が強くて木々が大きく揺れている。海もかなり荒れている。
散歩している私のすぐそばで轟音と振動が感じられた。首をすくめたまま目をやるとそこにヤシの実が転がっている。この固くて巨大な実の直撃で、世界各地で毎年命を落とす人は少なくないそうだ。どこに不幸が転がっているかわからないものである。以前もどこかで危うくヤシの実にノックアウトされそうになったことがあったが、まだ子供も小さいのではるか彼方の「楽園」へのご招待は当分ご遠慮願いたい。
州都パナジに近い立地もあってか、大資本のビーチリゾートが散在するこの海岸にはタージグループのホテルも二軒ある。The Taj Holiday VillageとFort Aguada Beach Resort, Goaだ。
前者は北上すればカラングートビーチに向かう道路沿いにあり、コテージ等さまざまなタイプの宿泊部屋が広い敷地内に散在している。開放感があってのんびりするには良さそうだ。しかし施設がかなり古くなっていること、どうも手入れがいまひとつで、タージグループのホテルとしてはちょっと高級感に欠けるのが気になる。
後者は17世紀にポルトガル当局が建てた砦に面している。当時この地方の海岸守備の要であっただけにアラビア海の絶景が望める素晴らしく、最高のロケーションに建てられたモダンなホテルだ。おそらくグループ内で働く人たちにとって、前者は左遷先、後者は出世コースといったイメージがあるのではないだろうかと想像してしまう。
いずれにしても大規模な施設だが、閑散期にはほとんど稼動していない様子を見るにつけ、とりわけシーズンとそれ以外の時期で大きな差がある地域では、観光という業種がいかにロスの多いものであるか、また季節や景気その他に左右される度合いが大きく不安定な稼業であるかということが感じられる。 -
<経済>のインド
現在発売中の「週刊ダイヤモンド」9月17日号は、「熱狂のインド」というタイトルでインド特集だ。デリー、ムンバイ、バンガロール、チェンナイ、カルカッタの五都市を取材して、市場および生産基地としてのインドの魅力と問題点を探っている。
経済誌という性格上、中身はすべて仕事関係なので万人が興味を持てる内容ではないが、今の日本ビジネス界のインドに対する姿勢をサラリとうかがい知る手がかりになるだろう。
もちろん経営者の視点、要はお金儲けをする人たちのための出版物なので、働く人々の権利である労働運動、政治的自由の証でもある左翼勢力への偏見が強いのはもちろん、これらに対するかなり手厳しい表現も多い。
IT、自動車、株価、消費活動等々の概況についてわかりやすく書かれているが、その中でちょっと興味を引かれたのは、おなじみの公文式のインド進出についての小さな囲み記事である。従来より海外でも盛んに事業展開しているが、今年4月からインドでも教室を開いており、なかなか好評とのことだ。それにしても数学の本場(?)にして、ホワイトカラーの人たちの平均的な英語力が、日本のそれと比較してはるか雲の上にあるように見えるインドで「算数」と「英語」を教える事業とは、ちょっと恐れ入る。
今後、インドの人々に対する日本語教育関係のみならず、こうした教育産業も進出していくことになるのだろうか。もちろん子連れで滞在する駐在員が増えるにつれて、日本人子弟を対象にした学習塾等が開講されることも予想されるが、これに対して公文式は主に現地の子供たちにモノを教える教室であるためそのパイは限りなく大きい。10年も経ったころ、インドの都市部で教育熱心な中産階級の子供たちが放課後は公文への教室へ向かうのがありふれた光景になるかどうかは別の話だが。
インドでの操業の歴史が長い一部の企業を除き、欧米や韓国などにくらべて日本からの進出がいかに低調であるか、どれほど出遅れているのかといった記事もあるが、インドを題材とする書き手についても同じようなことが言えるかと思う。人名等の表記に適切でない箇所が散見されるのはともかく、残念ながらちょっと首をかしげたくなる内容の記事もちょっぴり含まれているのは、インドに明るい経済記者が不足しているからであろう。また従来インドものを手がけてきたライターたちの中には、経済に通じた者が少ない。
やはり中国大陸にくらべると、日本から見たインド亜大陸までの距離感にはまだまだ相当なものがあるのかもしれない。 -
木の歯磨きウケてます
今でもインドの農村などで歯磨きに使われるニーム(नीम)やピールー(पीलू)などといった木の枝。これが日本でも静かなブームになっているそうだ。
もちろん日本の人々がそのまま噛んだりするわけではないのだが、これらの木の成分を配合した石鹸や練り歯磨き等々、なかなか好評らしい。
かく言う私もピールー配合の歯磨き用品を試してみている。アメリカの会社だが、その名も「ピール社」の「ピールエクストラクト」と「ピールデンタルファイバー」である。前者は歯の天然漂白剤、後者は木の繊維からできた歯のホワイトニング用パウダーであるとのことで、歯ブラシにつけてみがくと確かにオガクズ(?)のような感触と匂いがある。研磨剤は含まれていないとのこと。
数年前にタバコをやめたとき、「これで歯にこびりつくヤニとおさらば」と思ったのだが、日常よく飲んでいるコーヒーや紅茶の類による歯の染色もまたひどいことに気がついた。
特に前歯など、すぐにしつこい茶渋がついてしまう。そのため数ヶ月に一度は歯医者での掃除が欠かせないのだが、研磨剤をつけた器具でガリガリとこすることが果たして歯に良いのかどうか常々疑問に思っている。
元来、この「木」にそうした漂白作用があるのかどうかよく知らないし、ホントに効くのかどうかも半信半疑なのだが、しばらく使ってみて効果のほどが明らかになればお伝えしたいと思う。 -
インドでこんなカメラが欲しい

旅先あるいは日常で、肌身離さず持ちたくなるようなコンパクトデジタルカメラが現れそうな予感がする。とかく秒進分歩とまで言われるデジタル製品の進化の早さには目を見張るものがあるが、次から次へと出てくる機種が高画素化、多機能化していくものの、これまで特に購買意欲をそそられるものはなかった。カメラもデジタルの時代だからこそ、広角の単焦点、そしてとびきり写りの良い小型カメラが出てくれば良いのにと思っていた。 -
ゴアのコロニアルマンション
ゴアのマルガオから15キロほど東に進んだチャーンドールに行ってみた。ここではポルトガル時代に建てられたいくつかの豪邸が残っていることで知られる。その中の最も大きなものは主の名からBRAGANZA HOUSEとして知られるこの屋敷は、旧宗主国の建築スタイルで建てられている。このBRAGANZA家は大地主、ポルトガル語を母語とするゴアのエリート社会を代表する名家であるとともに、20世紀初頭に活躍した政治家でありジャーナリストでもあったLUIS DE MENEZES BRAGANZAを生んだ。
そのエキゾチックな景観から、このあたりは映画のロケにもしばしば使用されるという。訪れたときにもちょうど撮影が行なわれているところだった。大所帯の撮影チームの中にいた「メイクアップ・アーティスト」だという男によれば、スニル・シェッティー主演で今年12月公開予定の作品とのこと。
インドはおろか日本でも一般的に「映画撮影」の現場にどれほどの数の人々が関わるものなのか知らないが、野次馬や警備の人たちを除いても100人以上であったと思う。こんな大勢を指揮するのはさぞ大変なことだろう。雑用も含めたいろいろな人たちを仕切る専門のフィクサーがいるのだろうと想像している。「この人がいないと映画は出来上がらない」というような、一般には知られていない凄腕手配師や辣腕エージェントの存在があるのではないだろうか。
さてこの屋敷、「パレス」と呼びたくなるほど堂々としたものである。玄関口に出てきた使用人に見学したい旨伝えると、屋敷の主の夫人だという初老の女性が出てきて案内してくれた。豪壮な屋敷の中には、世界各国、主にポルトガルやイタリアの家具類、シャンデリアや中国(マカオ)の陶器の皿などの骨董品がたくさんあり、それ自体で博物館のようだ。駕籠や武器なども展示されている。広大な屋敷の中で公開されているのは1階(日本式に言えば2階)部分だ。
450年の歴史を持つ家とのことで、建物は幾度かの増築を繰り返してきたものだという。当主は現在17代目だとか。大きなホールや寝室も、有力なマハラジャの居室にさえ匹敵するスケールと豪華さだ。ベッドは足が長く床の高いコロニアルなものである。寝室のすぐ外にはチャペルもあった。往時は専属の神父がおり、ここで家族の日曜礼拝が行なわれのだそうだ。
しかし今となっては、この建物は維持費もかかるため、こうして公開しているわけだ。他家から嫁入りしてきた老婦人、この家が繁栄していたころには、よもや下々の人間に家を公開したり自らガイドのようなことをして報酬を受けたりするような日が来るなどとは夢にも思わなかっただろう。彼女の日課となっているこの作業だが、ふとしたことで没落したとはいえ名家としてのプライドとそれに相対する恥じらい等々、いろいろ想うところがあるのかもしれない。 -
食いしん坊万歳!
東京都内、JR沿線ある駅近くの中華料理屋。繁華街でおなじみのランチバイキング。店主が中国人なら厨房、ホールもすべて中国人。だけどお客はほとんど日本人。こういうお店は最近多い。
良くも悪くも「味も大陸」との評判もあるが、客の入りはいつも上々。B級グルメ激戦地にあって地元っ子のハートをガッチリつかんでる。決め手はやはり「本場」と「ローカライズ」のバランスだろうか。和製中華とどこか違う風味、でも日本人好みのツボは外さない。
向かいにどっかり座った大きな人影。「おい、ビールくれ」と店員に声かける巨体のオジさん、よくよく見ればインド人。大皿にたっぷり盛った料理を目の前に、割り箸をバキッと鳴らして豚の耳のスライスとホイコーローを片付ける。小龍包を次から次へと平らげた挙句、コッテリとした豚足にとりかかる。ムンバイ出身のヒンドゥー教徒、日本に長いこの人に食のタブーはないらしい。
思えばそういう人をしばしば見かける。自宅近所のある店でたまに出会うインド人の家族連れ、一家四人でいろんな刺身を美味しそうに食べている。
「え?こんなのも食べるの」とちょっと不思議に思うこと自体、ステレオタイプな先入観からくる一種の偏見かもしれない。それでも「な〜んでも食べるインド人」を目にすると、ちょっとドキッとしてしまう。
とかく「食」は信仰にもかかわる問題。日本に長く住んだからといってタブーが消滅するわけではないが、往々にして多少は妥協せざるを得なくなってくるもの。、なんでも食べるのが良いかどうかはさておくとして、ボクらの好みや嗜好がわかりそれを積極的に評価するインド人が出てきているのはやっぱり嬉しい。
食いしん坊万歳!



