インドでこんなカメラが欲しい

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 旅先あるいは日常で、肌身離さず持ちたくなるようなコンパクトデジタルカメラが現れそうな予感がする。とかく秒進分歩とまで言われるデジタル製品の進化の早さには目を見張るものがあるが、次から次へと出てくる機種が高画素化、多機能化していくものの、これまで特に購買意欲をそそられるものはなかった。カメラもデジタルの時代だからこそ、広角の単焦点、そしてとびきり写りの良い小型カメラが出てくれば良いのにと思っていた。


 銀塩時代にはそんなカメラがあった。ミノルタのTC-1、CONTAX のTシリーズなどと比較されてきたリコーGRシリーズ。言わずとしれた単焦点コンパクトカメラの名品だ。28mm、F.2.8のGR1、その改良型のGR1s、更に機能を加えた進化型GR1v、また超広角21mmでF.3.5のGR21、といったモデルは一世を風靡した。これらの特徴について「使うリコーGR」 (田中 長徳 著ISBN: 4575292281) に詳しい。  
 優秀なレンズを搭載して、シンプルなメカニズムながらも非常に精度の高い造り、多機能ならずとも高性能、撮影者の意図にしっかり応える描写力はもちろん、すべてカメラ任せでもその写りは折り紙付きである。構造そのものは単純なだけに、カタログ記載のスペックには出てこないが使ってみてこそわかる良さがある。コンパクトカメラとはいえ、頑丈なメタルボディには「そう簡単には壊れないぞ!」といった安心感とともに、末永く愛用したくなる風格がある。それに「名機」と表現される割には比較的安価でもあった。
 リコーは2003年に銀塩カメラの生産から撤退したことにともない、このシリーズも製造中止となってしまったが、いまだに中古市場で人気のGRシリーズだ。
 なんとそのGRシリーズがデジタル化されて市場に帰ってくるそうだ。リコーのウェブサイトには「デジタル版GRのためのリコー公式ブログ」まで用意されているほどなので、その力の入れようは並大抵ではない。
 この新型カメラの全貌は9月13日に発表される。銀塩カメラ製造中止により失われたGRブランドの復活を期して、同社デジタルカメラ部門の命運を賭けた一大プロジェクトらしいから、やはり相当なものが出来上がってくること期待しよう。
 旅先のちょっといい眺めを、日常のさりげないひとコマを、肩の力を抜いて切り取りたい。自分の背丈そのままの視界から、目にしたありのままの世界を残したい。重さやサイズが自分の負担にならない胸ポケットに収まる大きさ、そして被写体を威圧しない小さくてシンプルなカメラ、けれどもときに一眼レフカメラをも凌駕するほど写りの良いものが欲しい。
 被写体の宝庫インドでは、高名なカメラマンから自称フォトグラファーまで、様々なカメラ人たちが徘徊している。写真を撮る目的も手段もみなそれぞれ千差万別だが、そんな中で普通の写真好きな人間が「インドでちっちゃなカメラを一台だけ持つならこれだね」と、こぞって愛用しそうなデジカメが出てきそうな予感がする。

「インドでこんなカメラが欲しい」への1件のフィードバック

  1. 期待の新モデルがついに発表となりました。10月21日発売とのこと。光学ファインダーがオプションで外付けというのにはガッカリしましたが、よくよく考えればかなり気になるカメラです。次期モデルに期待するか、「それでも買い!」となるか、実物に触れてから決めることにします。うーん、やっぱり欲しい・・・
    http://www.ricoh.co.jp/dc/gr/digital/

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