進め、インディアン!!

 南アジアの空に君臨してきたインディアン・エアラインスだが、近ごろでは後発の民間航空会社が順調にシェアを拡大する中、政府という強力な後ろ盾をもってしても、なかなか苦しい立場に置かれている。 もちろん時流からしても今後民営化という方向に進むであろうことについては、いかんともしがたいところだ。


 かつてインドの国内路線を同社がほぼ独占していたころ、目的地がヒマな地方空港でたとえ天気が良くても「午後6時台後半の定刻到着はあり得ない」という定説があった。これについて、午後7時以降になるとパイロットをはじめとする機内乗組員たちに手当てが与えられるのを狙い、わざと着陸を遅らせるのが常態化しているなどという記事が週刊誌に載ることもあった。
 また労使紛争も多く、利用者としてはハタ迷惑なことも多々あった。だが前述の意図的な遅延のような不正と違い、労働運動というものは働く人々の権利でありそれ自体は大いに結構なことだ。何かと責任を回避し、ツケを勤労者たちに押し付けようとする経営陣を相手に、自らとその家族たちの生活向上のためにぜひ力いっぱい闘って欲しいと思う。 
 でも当時は、そういう事態を迎えて「それじゃ他社の便にしよう」というオプションが無いのは痛かった。
 オフィスを眺めていると、まだまだ民間航空会社に比べてスタッフは多いのにスローな印象を受けるが、それでも新興会社の格安攻勢に応戦すべく、従来ではありえなかったキャンペーン料金を打ち出したり、自社の航空券と組み合わせたパッケージツアーを提供してみたりなど、なかなか活発な動きを見せている。
 そしてここにきて、長らく親しまれてきたロゴマークや機体のデザインを一新(既存の機体は順次塗り替え)、そして社名まで「Indian」に変更して再出発するというのだからその決意たるや相当なものだろう。
このほど同社に納品されたエアバスA319の姿を見てみよう。白を基調とし、主翼のタービンから後方にかけて鮮やかなオレンジの帯が回り込む。そして尾翼にはコナーラクの太陽寺院から取り入れたという輪のデザインが青色で描きこまれている。
 近年インドの空に次々とデビューしている新興の航空会社に勝るとも劣らないフレッシュなイメージだ。今後、所有する機体を大幅に増加させ(43機追加する予定)国内線・国際線ともにネットワークの一層の充実を図るとのことだ。
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 だが装いが変わったところで、働いている人は同じということも事実。何が変わって何が変わらないのか、利用者みんなが見つめている。
 とにもかくにも、進め!インディアン!!
Indian Airlines becomes ‘Indian’ (Times of India)

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