着実に進むバス外交

 12月23日にラホール発の第一便が出発、アムリトサルからは同27日に逆方向の便が走るのを皮切りに、国境をはさんだパンジャーブ地方の二都市を結ぶバスサービスが始まる。
 デリー・ラホール間、スリナガル・ムザッファラーバード間に続き、第三の印パを結ぶバスルートとなる。今後、アムリトサルからパキスタン国内にあるスィク教の創始者グル・ナーナク生誕地たる聖地ナンカナ・サーヒブへのルートも予定されているとのことだ。
 聖地といえば、私はよく知らないのだが、パキスタン国内にあるスィクやヒンドゥーの聖地には他にどんなところがあるのだろう。どなたか詳しい方があれば、そのヒントでもぜひご教示願いたいと思う。両国の分離独立以来、ずいぶん様変わりしていることあるのだろうが、いつか折をみて訪れてみたい。
 これまで「地の果て」であった国境をまたぐ人々の行き来、特に陸路での往来が盛んになってくれば、移動する人々の規模や目的もまたグッと広がる。移動手段の多様化とともに、両国の人々が相互に他国を訪問する際のビザ取得や外国人登録などを含めた入国・在留手続き等がより簡単になれば、親族訪問やビジネス目的だけではなく、観光や巡礼目的で隣国パキスタンを訪れる人も増えてくるのではないかと思う。
 この二国間の交流が次第に盛んになっていくにつれて、次第に人々の中に、そして土地にかつての記憶がよみがえってくることもあるのかもしれない。もともとそこには国境などというものはなく、一続きの大地だったのだから。
 今後も両国関係にいくつもの紆余曲折が待ち構えていることだろう。しかし今後は「南アジアの火薬庫」ではなく、印パ関係が「普通の隣国」として発展していくことを願いたい。歩みは決して早くないものの、着実な前進を見せるバス外交の進展を将来への希望の灯と見る人々は決して少なくないはずだ。
New India-Pakistan bus on trial (BBC South Asia)

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