「タージマハルを訪問する外国人が減少」という記事について

以前、別のメディアでも同様のものを見かけたことがあるのだが、夕一ジマハルを訪れる外国人観光客が減っているとのことだ。

Dip in number of foreigners visiting Taj Mahal, for 3rd year in row (The Times of India)

背景についていろいろ書いているが、私が思うには、インドにおける観光振興がうまくいっている証なのではなかろうか。インドを訪問する観光客数自体は順調に伸びているようである。具体的には、観光資源があまりに豊富なこの国の魅力的なスポットや地域が国外にもさらに広く認知されることにより、訪れる先がより拡大しているものと捉えることができるだろう。

Number of foreign tourist arrivals in India from 2000 to 2014 in millions (statista.com)

90年代以降にインド人の間で自国内の観光が大きなブームとなり、それが定着することとなったが、80年代以前はかなり宗教的な目的で(巡礼やそれに近いような形で)「聖地」とされるところを訪れるというのがかなり大きな割合を占めていたという特徴はあるのだが、現在のインドの人々の大方は、純粋に各地の名所旧跡や自然を楽しむといったものになっている。もちろん情報量の違いから、インド人の旅行好きな層と一般的な外国人観光客とでは、そうした旅行先に関する知識の量に雲泥の差があるのは当然のことだ。

そうした状況から、インドを訪れる外国人観光客の層にしても数にしても、厚みが着実に増していることの背景には、この国が経済その他の面で注目される度合いが年々高まるにつれて、従前よりも多くの地域に人々が関心を持つようになったこと、これまであまり取り上げられなかったエリアやスポットも紹介されるようになってきていることなどがあるだろう。その背景には、日々増えていくインドの人々向けの旅行関係サイトのほとんどが英語であるがゆえに、世界中の人々が容易にアクセスして情報を得ているというようなことが作用していることもあるのかもしれない。

例えば、以下のような記事がある。外国人観光客とインド人観光客の訪問先の乖離について述べたものだ。

Foreign tourists choose to travel in a very different India than locals (QUARTZ India)

このように偏向した傾向が緩和されつつあるという現状があるのではないかと私は推測している。同時に、一般的な外国人観光客にとって、「新たな魅力が次々に発掘されていく」ことは、当然の帰結として、観光目的での入国者のコンスタントな増加に繋がることにもなる。

よって、超有名どころを単体で見ると、訪れる人々の数が減るということがあっても、まったく不思議ではない。「タージマハルを訪問する外国人観光客は減少、しかし総体としては、インドを訪れる観光客が年々増加している」ということは、むしろ諸手を挙げて喜ぶべき現象であると私は考える。

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