大きな国と小さな世界

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 近ごろ日本の経済誌で「インド」を扱う特集記事が増えている。このほど発売された週刊ダイヤモンド別冊は、題して「インド・中国」だ。そしてサブタイトルには「世界経済の主役になる日」とある。
 全世界の人口(65億人目前)のうち、前者は10億人超、後者は13億。つまり両国合わせると、世界の三分の一以上を占めることになるのだから、もう大変な数である。
 著名な財界人や識者などにより、経済、市場という視点によるインドの姿について、やはり圧倒的な存在感を示す中国と比較して論じているのがこの冊子である。


 思えば中東では、イランやレバノン、南米にあってはブラジル、アフリカでもナイジェリア等々、かつて黄金の夢が語られた国々は少なくなかった。しかし内政外交その他の理由により失速あるいは停滞した結果、当時語られた「未来像」とはずいぶん違ったものになっている。
 とかく「ブーム」の中にあっては、都合のいいところばかり大きくクローズアップされがちだが、印中両国のそれは幸い順調に推移しているようであるし、今後もそうであると信じたい。
 いまのところインドと中国というふたつの大国について、外国からの視座によりそれぞれ切り離して個別に語られることが多い。
 だがヒマラヤ山脈という「世界の屋根」により地理的に遮断されているとはいえ、両国はまぎれもない隣国同士である。すでに盛んになりつつある両国間での人々の往来、そしておカネやモノの行き来が今後ますます加速していくことだろう。加えて両地域の狭間にある東南アジアを含めた、経済圏の拡大と統合が一層進むことだろう。
 これまで経済を中心とした「交流」という意味では、距離以上に大きな隔たりがあった地域でも、今後は互いにより身近な存在となる。そしてアジアにおける地域や国家間のパワーバランスが大きく塗り替えられる可能性も秘められている。もちろんこれは相互依存をベースとしたものであることから、従来対立していた国家間での紛争の可能性も小さくなっていくことを願いたい。
 両国の台頭により、この世界はますます小さくなっていくのだろうか。

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