マンガロールで航空機事故

AAJ TAKニュース画像
エアインディア・エクスプレスはマンガロール・ドゥバイ間を毎日2往復しているが、本日ドゥバイを午前1時15分に出発して折り返すIX812便が午前6時頃マンガロール空港到着時の着陸失敗により、乗員6名および乗客160名合わせて166人のうち158名が死亡、8名が負傷という痛ましい惨事となった。
すでにエアインディア・エクスプレスから160名の搭乗者リストが公開されている。ほとんどはUAEないしは他の周辺産油国から戻るインドの人々であったと思われる。
IX812が滑走路にタッチダウンした時点で、通常の着陸ポイントを200 m越えており、速度もかなり超過していた。このままではオーバーランするとみた機長は、再度離陸を試みたものの間に合わず、離滑走路端にある90 mのマージンを越えた先にある塀ないしは樹木に接触するとともに、機体は斜面に落下した。
着陸時に速度超過、ブレーキ等が充分動作しなかった理由その他、事故原因の詳細は今後ブラックボックス(この記事を書いている時点ではまだ発見・回収されていない)の解析や現場検証などにより分析を待たなくてはならない。
事故機を操縦していた機長は、これまでに1万時間の操縦経験を持つ、近年ジェットエアウェイズから移籍した英国籍のセルビア人パイロットである。ドゥバイを午後1時に出て、マンガロールに午後6時15分に到着するIX384とともに、使用する機材はボーイング737-800。以下、事故を起こしたものと同型機の画像である。
エアインディア・エクスプレスのボーイング737-800機
マンガロール市の北東方面に位置する空港の俯瞰図は以下のとおり。

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同空港は2本の滑走路を持ち、上に示した衛星写真でグレーがかって見える部分はアスファルトで出来た旧来からの第一滑走路、白っぽく見えるものは2006年から使用開始されているコンクリート舗装の第二滑走路だ。今回事故機が着陸したのは後者の滑走路である。
航空写真ではよくわからないが、空港のロケーションが台地にあり、滑走路の両端のすぐ外がスロープになっている。第一滑走路は長さ1600 mあまりしかなく、加えて高度差が7 mの『斜面状態』てあることから危険な空港として知られていたが、第二滑走路が完成することにより改善され、従来よりも大きな航空機の着陸が可能となっている。
それでも全長2450 m であり、ほぼ同規模と思われるカリカット空港の滑走路が2900 m 近くあることに比較してかなり見劣りし、悪天候というコンディションが加われば、かなり難易度の高い空港であるとされる。
つい先日、新しいターミナルビルの運用が開始されるにあたっての式典で、航空大臣が滑走路を延伸させる計画を発表したのは、航空当局はそのリスクを認識していたからだろう。
エアインディア・エクスプレス以外には、エアインディア、ジェットエアウェイズ、キングフィッシャーといった航空会社が就航している。国際線ルートを持つのはエアインディア・エクスプレスのみ。
先の述べたとおり、事故原因等については今後当局による分析を待たなくてはならない。しかし近年のインドの主要空港、とりわけローコストなキャリアが急伸して以降、許容量を越える乗客数を捌いている。高まる需要を背景に便数が伸びるが、空港を含めた航空施設という肝心のインフラ部分の整備は常に後手に回っているのが現状だ。
管制その他運行そのものにかかわる部分、航行の安全にかかわる部分についても、かなり厳しいものがあるであろうことは想像に難くない。
マンガロール空港はさほどスケジュールの過密な空港ではないのだが、カリカット、コーチン、トリバンドラムといった南インドのアラビア沿岸の空港は、国内線はもとより産油国方面へのフライト(多くの日本人にはあまり縁がないが)の需要が高い。
このたび事故で亡くなった方々のご冥福をお祈りいたしたい。
Mangalore: Air India aircraft overshoots runway, 159 dead (The Times of India)
※『彼方のインド3』は後日掲載します。

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