イスラーム世界は今月18日からラマダーン月に入り、7月16日までの間、信者たちの間では基本的に日の出から日没までの断食が行われることとなる。飲食はもちろんタバコもダメなので、愛煙家に対してはニコチン切れという、もうひとつの苦難が加わることになる。
このラマダーン月が夏季に当たる(太陽暦ではないので、毎年少しずつ前倒しになってくる)場合、気候の上でかなりキツイことになるのは当然のこととしても、日々の断食の時間については、緯度によって日照時間が大きく異なってくるというジレンマを伴う。
南アジアやアラビア半島では日中のおよそ15時間に及ぶ。それでも充分長いものであるが、
これがロンドンやベルリンではなんと19時間となり、アイスランドのレイキャビクでは22時間にも及ぶ。
यहां होगा 22 घंटे का रोज़ा (BBC Hindi ※ヒンディー語記事)
似たような記事がBBCの英語記事にも取り上げられていたが、それによると断食時間が18時間を超える場合は、メッカにおける断食時間に合わせるか、最寄りのムスリム国のそれに従えばよいということになっているとのこと。
Ramadan fasting dilemma when sun never sets (BBC)
この断食だが、信者がこれを実行するにあたって、ムスリムがごく少数派の国々ではなかなか困難を伴うものであろうことは想像に難くない。周囲の理解の程度ということもあるが、とりわけ勤労者にとっては、ムスリムが大半を占める国であれば「そういう時期であるから」ということで、実質の勤務時間が短くなったり、生産性についての許容が甘くなったりという幅が皆無となるからだ。
とりわけ中国においては、政府による断食に対する規制がなされるようだ。これに従わない場合は、具体的にどのような罰則があるのかは解らないが、人権に関わる問題である。
China bans Ramadan fasting in mainly Muslim region (ALJAZEERA)