ナガルジュナコンダ

ハイデラーバードを午前9時に出て、クリシュナ河を堰き止めたナガルジュナサーガルダムにより形成されたナガルジュナサーガル到着は正午を少し回ったあたり。この人造湖にある島、ナガルジュナコンダに行く船は1日往復している。ここから1時間ほどかかるらしい。できれば11時半の船で行きたかったのだが間に合わなかった。時は金なり、もう少し早く出れば良かったと反省。

ナガルジュナサーガルダム

今は湖底に沈んでいる、3世紀から4世紀にかけて存在したスリ・パルヴァタと呼ばれた土地では仏教が隆盛を極め、多数の僧院が存在するとともに、大学まであったとされる。インド各地はもとより、スリランカや中国からも仏法を学ぶために多くの人々が集まったとのことだ。そうした遺跡群がダム建設に際して、人工湖の建設により島となるナガルジュナコンダに移築されている。

船着場の近くにはホテルが数件あり、みやげ物屋や食堂などが軒を連ねている。軽い食事を済ませて、船が出る時間よりも少し前にチケット売り場で乗船券とセットになった入域料チケットを購入。

ナガルジュナサーガル

ボートに乗り込んで出発を待っていると、柄の悪い手下たちの取り巻きが付いたヤクザの親分?みたいな中年男性が乗り込んできた。カービン銃を手にしている護衛までいて、なんとも物騒な雰囲気であったが、地元ではよく顔を知られている人物のようで、近くに座っている堅気の人たちに愛想よく声をかけたり、小さな子供を抱え上げて、記念写真など撮らせたりなどしている。

ずいぶん変わったヤクザもいるものだと思いきや、昨年アーンドラ・プラデーシュ州から分離したテーランガーナー州の州議会与党の議員であることがわかった。州の分離を推進した政党の議員だけあり、地元の誰もがよく見知っているらしい。農業を生業とする地主出身のようだが、支持基盤は庶民であるらしいことは、英語は得意ではない本人や彼が連れている人たちの様子から見て取れる。今日は彼の取り巻きたちへの「慰安旅行」であるそうだ。

船の中

専業のヤクザではないことはわかったので、船では親分の隣に座らせてもらう。相当酒好きな親分のようで、コーラのボトルに仕込んだウイスキーをぐいぐいやりながら、酒臭い息で
とても楽しかったという「フィリピンでのナイトライフ」とやらのお話が続く。

ナガルジュナコンダに到着

ナガルジュナサーガルの島に着いてから、博物館や周囲の小さな遺跡などを見物しながらも酒を楽しんでいる。酔うほどに声が大きくなってくるが、けっこう気配りの人物であることは、周囲の市民たちとまめに声を交わしていたり、手下たちにも使い走りみたいな若者に命じて水だの何だのを買いに行かせては配ってやっていたりしていることからも窺える。ヤクザな雰囲気とは裏腹に、なかなか気のいいオヤジさんという印象。

仏塔だが復元の状態は好ましくない

親分というものは、威張っているだけでは人はついて来ないので、なかなか大変なのだろう。最後に帰りの船へと向かう中、親分はベロンベロンになっての千鳥足で、おもむろに道端で立ち小便。その最中もカービン銃を手にした二人のSPたちは、きちんとポジションを取って周囲に目を光らせている。この人たちだけは、他の取り巻きの柄の悪い兄さん、オヂサンたちとは一線を画すプロフェッショナルな態度であった。

乗ってきたボートは、島で1時間強ほど停泊した後に、ふたたび湖の岸辺まで折り返す。遺跡は島内の各地に散在しているようで、着いてから最初に博物館を見学した後には、遠くまで足を伸ばす時間は残されていなかった。

移動の足の不便なところでは、早めに計画、早めの時間帯に出発することが肝要である。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください