The Nilgiri Mountain Railway

1908年に開通したニルギリ山岳鉄道。英国時代に建設され、2005年にはユネスコの世界遺産に指定された鉄道のBBCによるドキュメンタリー作品がYouTubeで公開されている。

The Nilgiri Mountain Railway (YouTube)

植民地時代にヒルステーションとして開発されたウーティーへの往来、そこに至る途中にある茶園から茶葉を輸送するなどの目的で開通したこの鉄道にて、1世紀に渡り世代を継いで奉職してきた人たちがいるのは、まさにこうしたヘリテージな鉄道らしいところだろう。今も英国の香りがほのかに残るヒルステーションのウーティーと同様に、それを感じさせてくれるのがこのトイトレインによるウーティーへの往復だ。

高地にあり、冷涼な気候に恵まれた山岳地であるがゆえに、ひとたび天気が崩れると豪雨となることも少なくない。海洋地域から押し寄せる雨雲をブロックすることになるので、多雨となる宿命がある。崩れやすい斜面を走る鉄道だけに、列車が不通となることもしばしばあるのはいたしかたない。そうした運休時には、鉄道駅は眠ったように静かになるいっぽう、大忙しとなるのが保線関係技師や労働者たちだ。

車両整備の現場には、この路線初の女性整備士が男性ばかりの職場で額に汗して働いている。娘がわずか生後1週間のときに異動の辞令が出たため、夫とその実家に赤ん坊の世話を頼んでここに赴任してきたという。インドの鉄道職員に産休や育休などの制度があるのかどうか知らないが、業務面ばかりではなく、生活の面でも様々な苦労を抱えている人たちは少なくないことだろう。

趣のある機関車をはじめとする車両や駅だけではなく、そこで働く人々にもスポットを当てた、鉄道に対する愛情に溢れた素敵なドキュメンタリー作品である。ぜひご鑑賞をお勧めしたい。

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