ラージコート 1

サーサンの宿を朝7時過ぎたあたりでチェックアウトした。幹線道路に出たところで、ディーウ島近くのウナーから来てラージコートまで行く直通バスがやってきた。昨日やってきた時のように、ジュナーガルで乗り換える必要があるものとばかり思っていたので、ちょっとラッキーな気分だ。

現在、グジャラート州営のバスは、どこもチケットは車掌が手にした電子機器からプリントアウトされるようになっている。昔のようにカバンから何種類かの金額別のチケットをちぎって渡すような具合ではない。乗車勤務が終わってからの精算も簡単なのだろう。

サーサンからジュナーガルまでは一時間半か二時間弱くらいであった。ここまでの道の路面状態はあまり良くない。片側一車線ずつの道路で道両側に大きな木々が植えてある昔ながらの道路といった感じだ。よく茂っている場所では緑のトンネルを形成していて美しい。

サーサン近くの湖のあたりのような、集落がほとんどないエリアでは携帯が2Gになったり圏外になったが、あとはほとんど3G環境。田舎道をバスで走っていてもフェイスブックで友人たちの動向がわかったり、書き込みをしたり、メールのチェックができたりするというのは、しばらく前には考えられなかったことだ。地元の若者たちにとっては当然のことになっていて、隣に座っている女子学生たちもスマホでいろいろやりとりしているようだった。

昔々、インドの女の子に電話するのはなかなか大変だったもの。家の誰が出るかわからないし、とりわけお父さんが出たらとても緊張した。当然、電話することができる時間帯もごく限られてしまうなどということは当然として、家に自前の電話がないということもごく普通であったため、直接顔を合わせることが唯一の意志疎通の手段さえであったりもした。当時のソーシャルコードや環境が現在とは大きく異なることもあるが、以前は通信手段が男女交際のバリアーになっていたという部分もあるだろう。

携帯電話の出現により、個々が自前の通信手段を持つようになり、誰が電話口に出るかわからないという不安が解消されるとともに、家族の監視の目から逃れることができるようにもなった。また、目の前で話していても相手が誰だか偽ることもできるし、時間の制約から解放されることとなった。そして通信費の大幅な下落がそれに拍車をかけることとなった。そしてスマホの爆発的な普及により、通話だけではない様々なコミュニケーションが可能となってきている。

このような事情から、昔と違って結婚前の男女が交際することがごく容易なものとなり、同時に結婚してからの不倫なども簡単になった。親が決めた結婚のあともそれまで付き合っていた相手との交際が可能ということにもなってしまっているという部分もあるだろう。そんな家庭内でのトラブルは今ではよく耳にするものとなってしまっている。

今では遠い昔となってしまった90年代前半までの若者たちと、現在のそれとではかなり大きな意識や行動の違いがあるのは当然のことだろう。こうしたことについては娯楽映画などを見ても内容が非常に変化していることが読み取れる。

ラージコートに到着

そんなことを思いながら、ジュナーガルを通過して、ラージコートに着いたのは午後1時ごろ。昨日朝にチェックアウトした同じホテルに投宿。ここは料金の割にきれいで広くて快適だ。

料金の割に立派な感じの宿泊先

私が宿泊するフロアーの廊下いっぱいに若者たちがいるので、何事かと思い尋ねてみた。この階の一室で、ある会社の就職試験の面接が行われているとのことだ。廊下で待っている誰もが緊張した面持ち。どこの国でも求職活動は大変だが、頑張ってほしいものだ。

〈続く〉

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