日本完勝 インドも頑張った

FIFAワールドカップ・日本対インド戦/photo by Indianfootball.com
 去る6月9日、2006年にドイツで開催されるW杯アジア一次予選グループ3の日本対インド戦が行われた。埼玉スタジアムにぜひ足を運んで観戦したかったのだが、思い立った時にはすでにチケットは完売。注目度の低いゲームなので試合開始直前に当日券を買って悠々と入場できるだろう…という読みは甘かった。予選とはいえ、世界へつながる大切な試合。出場する選手たちと同様、ファンがチケットを得るのもまた真剣勝負だった—-。
 そんなわけでTV観戦することになったのだが、国際試合独特のあの雰囲気はスタジアムでなければ味わうことができない。
 極めてレベルの高い試合であっても、トヨタカップ(インターコンチネルカップ)ならば、純粋に世界最高水準のサッカーを楽しみに来ている人たちが多い。日の丸とは関係のない外国同士の対戦ということもあって実にニュートラルな姿勢である。
 これが自国代表の国際試合となると様相が一変する。試合前の両国国歌演奏とともに「国のメンツをかけた戦い」のような雰囲気が立ち昇り、はっきりとテンションが上がってくる。誰もがウルトラ愛国者になって、ピッチの上の日本代表選手のプレーに一喜一憂する。自陣ゴール前でのピンチに息を呑み、自国選手が
ゴールを決めたとたん、スタンドは一瞬にして沸騰。自国チームに熱い想いを抱く。
 スポーツの国際試合で瞬間沸騰する即席ナショナリズムとは不思議なものだ。互いに見ず知らずの群衆が、「同じ国籍」というごく曖昧なつながりを軸に、心をひとつにして熱く盛り上がるなんて、スポーツ以外に考えられるだろうか。日本のようにほぼ国籍=民族の国もあれば、様々な人種や言葉が同居している国も多いのだから。
 —-試合は7対0で日本の完勝。インドにとっては残念だが、圧倒的な技量の差は仕方ない。総当たり戦のトーナメントで他国と勝ち点で並んだ場合、得失点差がものを言うので更に追加点を加える動機がある。とはいえ、出場機会の少なかった選手を試す機会、そして個人記録(主に得点記録)を築くための消化時間と言えないこともない。負けているほうにしてみれば試合を続けるモチベーションも低く、絶望感と恥辱に耐えながらタイムアップの笛が鳴るのを待つことになる。
 サッカーでは3〜4点も差が開けば、逆転されることはまずあり得ない。決められた時間までプレーを続けることに意義があるのか疑問だが、野球やボクシングように、大きな得点差を理由に試合を打ち切るルールは存在しないのだから厳しいものだ。
 インドもなかなか頑張った。守りをがっちり固めつつ、カウンター攻撃を狙うという戦法に終始するだろうという大方の予想を裏切り、キックオフ後しばらくは果敢に攻める姿勢を見せた。この試合で最初のシュートはインド側によるものだった。そこまでは「インドもなかなかやるじゃないか」と思ったのだが…。
 海の向こうのインドでも、やはりサッカーファンたちがテレビの前に集まって声を張り上げていたのだろうか。9月8日、インド・カルカッタで行なわれる次の試合では、一矢報いようとインド代表チームも頑張ってくるはずだ。開催地のクラブチーム「イースト・ベンガル」に所属するインド代表選手は多い。面白い試合が期待できるかもしれない。この試合をスタジアムで生に観戦できる方々がうらやましい。


●関連リンク
Kahkashaan:メヘンディー掲示板「インド戦 ご報告」
会場に足を運び、インドチームのサポーターとなった日本人によるちょっと寂しい報告。青い群集の中でサリー、やってほしかったなぁ。
これでインディア「6/10 サッカーW杯予選 インド×日本」
デリーからのリポート。現地での反応は…TV中継もなかった!?

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