レーにて 1

観光シーズンのこの町には沢山の宿があり、よりどりみどりである。ガイドブックで好意的に取り上げられているところ、ツアー客の利用が多いところなどでは数日先まで予約で一杯ということもあるとはいえ、そうしたコネを持たない宿は宿泊客がほとんどなかったりもして、「これで本当にやっていけるのか?」とこちらが少々心配になってしまうようなところもあったりする。

食事する場所にしても、宿にしても、夏のシーズンにだけオープンしているところが多く、そうした時期にだけ平地のU.P.、ビハール、ジャールカンドといった州や隣国のネパールから来たスタッフを雇って営業していたりする。そうしたスタッフたちは、オフの時期には故郷に帰っていたり、ラダックがオフシーズンの時期にピークとなる他の地域で働いていたりする。

こうした現象は、レーの町中だけではなく、幹線道路沿いに荒野の中にポツンと存在する小さな食堂であったり、カルドゥン・ラを越えた先のヌブラ渓谷にある小さなゲストハウスでも同様であったりする。また、この時期の農村も繁忙期であり、麦や野菜などの収穫をしている村々で、額に汗して働いている人たちの多くが「平地から来たインド人」であることは多いし、気温の高い時期即ち屋外で作業しやすい時期に集中して行われる道路その他の建設工事に従事する人々もまた同様である。

ラダックの観光シーズンにおける季節労働は必ずしも外部の人たちによるものばかりというわけではなく、チャーターしたクルマの運転手はザンスカール地方を含めたラダック地域の人たちが多い。トレッキングガイドについては、夏季休暇中の地元やインドの他の地域の大学で学んでいるラダック人大学生たちが従事していることが多いようだ。

近年盛んになっているラフティングについては、漕ぎ手やリーダー役を務めるのはネパール人が多い。インドのハリドワールに講習所があり、そこで技術を身に付けた者が多いとのことである。

〈続く〉

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