一寸先は闇…

 インド・パキスタンを結ぶ唯一の列車、サムジョーター・エクスプレスの運行が2年ぶりに再開された。昨年夏から再びデリー・ラホール間を走りはじめたバス、今月初めから復活した空路とあわせ、印パ間の往来はようやく平常に戻ったように見える。
 近頃マスコミが報じる両政府の動きを見るかぎりでは、隣接するふたつの国の関係は、これまでのところ順調に修復へと向かっているようだ。


 1999年2月、デリー・ラーホール間のバスの運行がはじまったとき。その一番最初のバスでバジパイ首相がラホールを訪れ、当時の首相ナワズ・シャリフと会談した。多くの人々が両国関係の明るい将来を期待したことだろう。
 ところが同じ年の5月末、パキスタン側から侵入により、J&K州カルギル附近の地域が占領、大規模な武力衝突が起きてしまった。その後、ボリウッドではカルギル紛争を題材にした作品がいくつも公開され、人々の愛国心を高揚させた。国境の向こう側への不信感も、さらに深いものとなったのではないだろうか。
 この年さらにパキスタンで軍によるクーデターが発生し、ナワズ・シャリフが首相の座を追われた。ムシャラフが全権掌握することにより、再度パキスタンは軍政時代に逆戻り。2002年に選挙が行なわれ、「軍」だけではなく、正式に「民意」の支持も得た形となったが、国内で強い影響力を持つイスラム原理主義勢力を横目に見ながら、内政・外交両面で厳しい舵取りを迫られた。
 そして、2001年12月。パキスタン国内に本拠を置く過激派組織の犯行とされるインド国会襲撃事件が発生。以降、一気に両国の関係が緊張することとなった。
 次に何が起こるかわからないのが印パ関係。何か大きな事件が発生すれば、すぐに流れが変わってしまいそうな不安定さがある。昨年12月にはパキスタンのムシャラフ大統領の暗殺未遂事件が二度も起きた。相手側国家元首の命がこうも危ないようでは実に心もとない。
 おりしも今年インドでは総選挙が行なわれるが、本来任期満了となる10月を待たずして、4月に前倒して実施する見通しだ。「政治の季節」がすぐそこまで迫ってきていることも気になる。
▼サムジョーター・エクスプレス再び
http://news.bbc.co.uk/2/hi/south_asia/3395901.stm

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