SIMフリーのiPhone発売

先日、日本のアップルストアでSIMフリーのiPhone (5Sならびに5C)の販売を開始した。

これにより、日本で購入・使用しているiPhoneがジェイルブレイク等することなしに、アップルのサポートの範囲内で、SIMを差し換えて利用できるようになる。

日本国内の新日本通信その他の格安SIMはもちろんのこと、海外のインドその他の国々で現地SIMを購入したうえで、日本国内で使っているのと基本的に同じ環境でそのまま使用できることのメリットは大きい。

その他のスマートフォンにおいては、docomoの場合は自社で販売しているモデルについてSIM解除手数料3,150(消費税込)を支払えば、SIMフリー化してもらえる措置はあったものの決して安い出費ではない。そうして解除してみても、docomo以外のSIMを挿入するとテザリングは利用できない仕様になっていたりする制限があった。

しかしながら先述の格安SIMはインターネットの通信速度が非常にスローであるし、かといって携帯電話各社は、基本的に通信回線契約とハンドセットの販売は抱き合わせになっているという不便がある。

つまり新しいハンドセットを購入する際に「月々割」その他の名称で、毎月の通信料金から一定の金額を差し引くことにより、「実質ゼロ円で購入できます」などという形で消費者に対して回線契約あるいは更新時に新しい機種を購入するように「強要」しているからだ。

もともと日本の携帯電話の通信料金はかなり割高に設定されており、そこからわざわざ本体価格を割り引いたように見せる姑息な手段ではあるものの、そうした月々の割引とやらが適用さそるのは、あくまでもハンドセットを回線契約ないしは更新と同時に購入した場合のみであり、自前のものを持ち込むと毎月の通信料金がずいぶん割高になってしまう。

同様に契約期間満了時に、それまで使ってきたハンドセットをそのまま継続して使用するつもりであっても、その時点で購入時に与えられた月々の割引が終了してしまうため、再度ハンドセットを購入することにより、新しい契約期間内の月々の割引を適用してもらうようにしないと、これまた毎月の出費が大きくなってしまう。

業界全体がそういう商習慣になっているため、アップルストアでSIMフリーのiPhoneが発売されたからといって、それが爆発的に売れるようになるとは思えない。従前からSIMフリー端末を海外で購入する人たちは多かったし、日本国内のユーザーに対して、香港などの現地価格とあまり変わらない価格で海外からSIMフリーのスマートフォンを手配する通信販売業者はあった。

現状では、多くの場合、特定の機種を利用したいという場合、それがiPhoneであれ、ギャラクシーノートであれ、それらを販売している通信会社と契約しなくてはならない。こうした日本と同様の販売方法をとっている国は他にもあるとはいえ、多くは通信契約とハンドセットの購入は別々となるのが基本である。

つまり自分が利用したい携帯電話機を購入したうえで、自分の都合に合った契約を通信会社と交わす。従来からの固定電話と同じことだ。

インドのように、ポストペイド契約主体に頼るだけでは顧客を獲得することが困難な市場環境の国で普及している、基本料設定がなくて維持費が格安のプリペイド方式が日本にもあったならば(日本のキャリアにもプリペイドのプランはあることはあるが、あまり気軽に利用できるような内容ではない)、個人でも複数台所有することが容易になる。

日本の携帯電話事情は、大手の携帯電話事業者自身とそれらと癒着した各メーカーの都合で動いており、ユーザーの利便性は置き去りにされている印象が強い。

そういう意味では、中古携帯のマーケットが充実していて、中国その他の国々で製造された格安ハンドセットが普及しており、月々の基本料金なしで格安の維持費(通信料も世界最安級)で利用できるインドの携帯電話事情(中古ガラケー利用を前提とすると破格の安値)は、日本に比べてはるかに「ユーザーフレンドリー」度が高く、羨ましく思えてしまう。

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