シローン市内ツアー

州政府観光局
今日もバスツアーに参加した。宿泊しているホテルがツアーの出る州政府観光局と目と鼻の先なので、バスに乗り込んだのは私が一番であった。しかし驚いたことに、乗ってくる人乗ってくる人、昨日チェラプンジー行きのバスツアー参加者ばかりであったのにはとてもびっくりした。そんなわけで今日は最初からみんなおしゃべりで、とても和やかな車内である。
ただ一人不満そうなのは、今日のツアー客たちに注意事項を伝えようとしても、車内は人々のざわめきと笑い声で誰も耳を傾けてもらえない女性ガイドである。
『話を聞いてくれないんだったら出発しませんよ!』とオカンムリの彼女にお構いなく人々はワハハ、ガハハと楽しそうにしゃべり続けている。
とかく小柄な人たちが多いカーシー族だが今日の女性ガイドさんもまたしかり。仕草や声も優しく穏やかな人のようだが、それだけに騒々しいインド人たちをリードしていくのはなかなか大変そうだ。
そんな中で一人の青年がすっくと立ち上がり、他の乗客たちに注意を促してようやくガイドは『おはようございます。本日は市内ツアーに参加いただきありがとうございます〜』と挨拶を始めることができた。


エレファント・フォール
最初に訪れたのはエレファント・フォール。『それではここで20分後に集合です』という声を背にしてツアー客たちは滝つぼのほうへ階段を下りていく。
滝といっても小さなせせらぎといった具合だが、涼しげでオゾンたっぷりな環境は心地よい。同乗の老夫婦は岩の上にどっかりと腰掛けて周囲の景色を楽しみ、ハネムーンでやってきた新婚カップルはしばし写真を撮りまくった後、水の流れを眺めながら二人っきりの世界にどっぷり浸っている。家族連れは子供たちがあたりを駆け回り・・・といった次第であっという間に時間は経つが誰もバスのほうへ戻ろうとしない。
階段で『出発ですよぉ〜』と叫ぶガイドさんはシビレを切らせて降りてきて、ひとりひとりに声をかけるとようやく人々は駐車場の方向へと進み始める。
彼女はカレッジを出たばかりのようで、ガイドの仕事を始めてからまだ日が浅いようだ。『訪れた先でみんながせっかく楽しそうにしているところで急かすのは悪い気がして。時間が限られているし、それが仕事だから仕方ないんですけど・・・』と階段を上りながら言う。
これから経験を積んで慣れてくると、そんな感覚はなくなってくるのだろう。こうした気持ちを大切にしてツアコンを続けて欲しいものである。
続いて訪れたのはシローン・ピークである。昨日チェラプンジーに行くときと同じ道路を通り、空軍博物館の横を通っていく。ここから先は軍駐屯地があるためカメラはカバンから出さないようにとのこと。坂道を上っていと途中空軍用地があり軍人やその家族たちの集合住宅が立ち並ぶ手前には軍による検問があった。ここでガイドさんが『外国籍の人いますか?』と声を上げると、応じたのは私とバングラデシュ人旅行者。バスから降りてゲートの軍人にパスポートを提示してから車内に戻る。
シローン市内を一望
シローン・ピークからの市内の展望は素晴らしかった。いくつもの丘の上に広がるこの街の様子が一望できる。街中では同じく丘陵地に広がる市街地、たとえばダージリンやガントクのように趣のある建物はあまりないのだが、こうして上から眺めるとまるで森の中にタウンシップが点在しているかのようで、なかなか素敵な景色だ。
先述のとおり、同乗者たちのほとんどが昨日もツアーバスに乗り合わせた人々なので、互いにスナックを勧めあったり、お茶をおごったりとフレンドリーかつリラックスした雰囲気である。
カトリック聖堂
聖堂内部
次に訪れたのはカトリック聖堂。ここはインド北東地方で最も古い教会だが、火災で焼失したものが再建されたとのことでコンクリートの無味乾燥な建物であった。教会といえばこのツアーが終わってから、ホテル近くの教会からロック風の音楽が流れてくるので覗いてみた。英語による説教の合間にバンドが演奏しており、それに合わせて人々が踊っていたり手を叩いていたりする。これはこの地方特有のものなのかどこか外国から導入されたものなのかどうかはわからないが実に楽しそうだ。もし私がここにしばらく暮らすことがあれば、何のためらいもなくクリスチャンになってしまうことだろう。
聖堂を後にして向ったのは、レディー・ハイダリー公園である。Lady Hydari Parkである。昨日同様、この日も訪れる先々で入場料はどこも5ルピー、カメラ持ち込み料が10ルピーであった。しかしここで料金表を見て驚くべき記述を発見した。
『ビデオ持込料金1000ルピー』
高額なビデオ持ち込み料金
ごくありふれた公園なのだが、まさか映画の撮影でもするわけではあるまいし。ここはごく簡素な動物園も兼ねているが、大きな鹿、熊、孔雀くらいで特に見るべきものはなかった。
こんな看板もあった。『カップルは節度を守ること。違反した場合罰金は500ルピー』と書かれている。違反とは何だろうか?公園で抱擁したりキスしたりということがそれに相当するのだろう。
警告
再びバスに戻り、ここから近くのWard’s Lakeへ。ここには人工の大きな池がある。ボート遊びしている人たちもいる。手入れが行き届いており景色が良く美しい公園だ。
同乗者たちが集まりツバキの花を見て珍しがっている。『バラのようであるがバラではないようだ。何の花だろう?』と。そういえば松林(赤松?)も多いし、このあたりの植物を眺めていると東アジアにいるような気がしないでもない。
午後1時半ごろにバスはシローンの観光局前に戻り、今日のツアーの参加者たちはそれぞれ散っていく。だがみんな遠くからやってきた観光客、明るいうちは市内をせっせと出歩いているので行く先々でバッタリ出会い、『やあ、どこに行ったかい?』と声をかけあったり、私の隣に父親と一緒に座っていた少年が道路の反対側で手を振ってくれたりする。ここで数日間過ごした後、各々帰路についてしまうわけだが、見知らぬ街で多くの知り合いができたみたいでなかなか楽しい二日間であった。

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