意外に楽しいiPhoneのカメラ

20100222-iphonephoto.jpg
日常で、そして旅行先で良さそうなカメラについて、幾度か取り上げてみたが、ここしばらくこの類のものについて触れていなかった。昨年10月に『ペンタックスK-xでティランガー(三色旗)風カメラを』を書いて以来である。
いろいろと良さそうなものが出てきており、それなりに関心を抱き続けてはいる。既存のモデルのモデルチェンジにより、いろいろと魅力的なカメラが世の出てきているものの、これまでまったくなかった『オンリー・ワン』な性格を持つものはあまり見当たらない。
例外としては、リコーのGXRがある。ユニット交換式という面白い機構に興味をそそられる。しかしコンパクトカメラとしてはそう小型軽量というわけではないし、交換式というならば一眼タイプのほうがレンズのバリエーションをはじめとして拡張性では比較にならない。
特にマイクロフォーサーズ規格のものは、オリンパスやパナソニックの最新モデルはパンケーキレンズ装着時には、昔のコンパクトカメラ並みに小さくまとまっており、カバンの中に入れて常時携帯するのは一向に苦にならないだろう。一眼が『高級コンパクトデジカメ化』したものといえるため、今敢えてハイエンドな高級コンパクトデジカメを求める理由はあまりなくなってしまったように感じている。
カメラといえば、文字通り常時携帯するケイタイのカメラ機能で、もうちょっと実用的なものはないものかと思っていたが、iPhone 3GSに内蔵されている『カメラ』がなかなかスグレものであることに、遅ればせながら気がついた。
もちろんiPhone は、基本的に電話とインターネット接続等を兼ねた総合的なコミュニケーシヨン等のツールであり、カメラ機能は二の次、三の次以下のオマケ機能に過ぎない。そのため『インドでどうだろうか、このカメラ?』として取り上げるのにはちょっと抵抗があるのだが、実のところ、ちょっとあなどれないものがあるため、敢えてここに記してみることにした。
ただし撮影機能自体に過大な期待はできない。『撮影機材』と呼ぶには、何も付いていない。露出補正はできないし、ホワイトバランスもオートのみであるなど、単体のデジカメではあり得ないシンプルさだ。絞りは開放のみで、シャッタースピードのみがオートが変化してそれでいてなかなか堅実な『カメラ』である。
・・・というのは、昼間の順光下ならば素直な写りが得られること、画角は35mmフィルム換算で36mm程度であること、AFの動作がなかなか良好で、フォーカスを合わせる位置をタップして指定できることなどがある。シャッターのアイコンから指を離した瞬間にシャッターが切れるため、撮影条件が悪くても、結果的に手ブレしにくいのも良い。
有効画素数が300万画素で解像度は高くないこと、レンズもそれなりのものであることから、あまり精緻なものを思い描くわけにはいかないが、写り自体は他の携帯電話よりもかなりいい線をいっている。いつでもどこでも『常時ポケットに収まっているカメラ』という手軽さと考え合わせれば、充分以上に実用的だ。
加えて、iPhoneにインストールした各種アプリケーションで色々加工できるということも、対象物を写し取る機能と同じくらい魅力的だ。同様にビデオ機能もなかなかのもので、縦長でも撮影可能な『ビデオカメラ』というのは聞いたことがない。シンプルな割には意外にまともに写る。足りない分を補うアプリケーション類が豊富なため、やたらとフットワークが軽く、予想以上に使えるカメラとなっているのだ。
そんなわけで、iPhoneの『カメラ』で撮影した画像、他のカメラで撮った画像をiPhoneのアプリケーションで加工したものなどをいくつか掲載してみる。
iPhoneで撮影。まあまあ使えそうだ。
20100222-iphone1.jpg
iPhoneのアプリケーションTiltShift Generatorを起動して、アオリを加えて撮影してみた。
20100222-iphone2.jpg
以下、他のカメラで撮った画像をiPhone上でTiltShift Generatorにて加工してみる。
20100222-iphone6.jpg
20100222-iphone4.jpg
20100222-iphone5.jpg
他にもフォトショップのiPhone版アプリケーションのPS Mobile, モノクローム風に仕上げるMoreMono, セルフタイマーやズーム機能などを付加したGorillacamなどといった撮影用アプリケーションがいろいろあるので、今後順次試してみたい。 このあたりに付加価値が、他のケータイのカメラ機能にはない大きな魅力、場合によっては並みのコンパクトデジカメよりも役に立つ?かもしれない部分だ。
前述のとおり、撮影時に露出とホワイトバランスの調整ができればもっと使いやすくなるのにと思う。今後の改良と進化に期待しよう。
だがひとつ大切なことがある。間違っても日本のソフトバンクで購入したiPhoneをインドを初めとする外国で使おうなどと考えないことだ。通話やデータ通信等、非常に高額な海外ローミング費用がかかってしまうことになり危険だ。
そのため訪れた先のキャリアのSIMを購入して使用しなければならないのだが、日本を含めた携帯電話器の販売と利用するキャリアが固定されている国では他のキャリアで使用できないようにSIMロックがかけられている。ゆえにSIMロックを解除するか、SIMフリーのiPhoneを販売している国で購入しなくてはならない。
iPhone を手にしてみると、これ1台で出来てしまうことがあまりに多く、携帯電話というよりも通話機能のついた携帯PCという印象を受ける。今のところ、こうした新しいタイプのものをスマートフォンと称しているが、今にこういう多機能でアプリケーションを次々に追加してカスタマイズできるケータイが主流に、というよりも標準になるのではないかと思う。
そうした中で、オマケ的なものに過ぎない画像撮影機能であるが、分進秒歩といわれる速い進化の中で、ケータイで充分間に合うからコンパクトデジカメは要らない、という時代がやってくるのではないかという予感がする。
携帯電話に付随するオマケ機能が、それまで親しんだ専用の道具を脇に押しやってしまった例といえば腕時計が挙げられる。リストウォッチをしている人がずいぶん減っていることに気がついている人は多いだろう。私自身もいつの間にか、まったく使わなくなっている。
腕時計代わりに携帯電話を買う人はいないのと同じように、カメラ機能が目的でiPhoneを購入する人はいないだろう。だがひとたびこれを手にしてみると『案外使える!』と撮影すること自体がけっこう楽しめるのである。
そんなわけで『インドでどうだろう、このカメラ?』の一台として、今回はiPhoneに内蔵されているカメラ機能を推してみたいと思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください