ふたたびコールカーター中華朝市へ

「中華朝市」とはいえ、売り子の多くはインド人

コールカーターでは必ず早起きして中華朝市に出かけることにしている。ラール・バーザール近くで旧ユダヤ人地区にも近い場所のかつての中華街(といっても往時の繁栄は見る影もないが)で毎朝夜明けとともに開かれている。タクシーで乗り付けるならば、Lu Shun Saraniの中華朝市と言えば、運転手はすぐに判ってくれるはずだ。

中華朝市では豚肉入りの肉まんを食べた。この旧中華街は、現在では事実上のイスラーム地区となっており、中華系の人が営む店で働くムスリムたちも多いのだが、そういうものも売られている。朝食をつまみに出てくる華人たちの姿もあるが、週末ともなると地元カルカッタのインド人たちはもちろんのこと、他州からやってきたインド人観光客たちの姿もある。

いつもどおり、ここで祖父から三代に渡って中華食材・漢方薬の店を開いている客家系のCさんのところに挨拶に出向く。このお店にいると、お客たちはもとより、地元の写真家やジャーナリストたちと出会うことも多く、それもまた楽しい。Cさん自身がおしゃべりでとっつきやすい性格であるということもあるが、コールカーターのチャイナタウンや中華系社会に関する情報通であるため、取材に来るというケースが多い。

ときおり、インドのメディアで取り上げられたり、ジャーナリストが著した本などが出ることはあるものの、地元カルカッタ華人により書かれた、インサイダーとしての立場からの華人コミュニティ史の書籍は存在しないようだ。

多くの語るべきものがあり、文化面でも歴史面でも貴重なものであるはずだけに、残念なことだ。今の時代を謳歌して繁栄している状態であれば、そういうものを書いたり、書かれたものを編纂したりということが起きてくるのだろうが、すでに衰退してしまったコミュニティの場合は、なかなかそういう風にはいかないようだ。この地域にいくつかある、華人たちの出身地ごとの同郷会館には、この方面についておそらく大変貴重な資料が眠っているのではなかろうか。これから更に世代を継いでいくに従い、コールカーター華人史が当人たちによって書かれる機会はますますなくなってくるはず。相変わらず、華人たちのインド国外への流出は多いということもある。

この街からカナダに移住した華人たちは多く、「インド華僑」のアソシエーションがあるくらいなので、カナダから遠い故郷を想う書き手が出てくることはあるかもしれないが。

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