頭脳スポーツ

英語でいうところのSport, Sportsと日本語でのスポーツには少々ニュアンスのズレがあることは、はじめて英字紙を広げたときにチェスのような盤ゲームがその範疇に入っていることを見つけて誰もが感じたことだろう。
昔、私も初めてそれに気がついたのは、自分にとって初めての外国であったインドで英字新聞を広げていたとき、クリケットやテニスといったスポーツ記事の中にチェスが堂々とスペースを占めているのを目にしたときだ。
日本語でスポーツは『運動』とも表現され、肉体的な教練・鍛錬の意味合いを含む。そのため身体を使うゲームであっても、ビリヤードは一般的にその範疇のものであるとは認識されない。当然のことながら、座して行なわれる競技、将棋や囲碁といった類は、決してスボーツと見なされることはなく、学校のクラブ活動でも『文化部』という括りとなる。
日本で、身体以外を使う競技が『マインド・スポーツ』として認知されることはないのかと思っていたら、知らぬ間にその日はすぐそこにまで迫っていたらしい。こんな記事を目にした。
囲碁棋士日本代表、スポーツの大舞台へ アジア大会派遣 (asahi.com)
インドと違って日本ではチェスの人気は高くないが、そのチェスの競技枠の中に囲碁と中国将棋が含まれることになるそうだ。日本、韓国、中国、台湾といった東アジア勢が覇を競うことになりそうだが、いずれの国もプロが参戦するらしい。日本棋院も最強のメンバーを送り出すとのことで、メダル獲得に向けて相当気合を入れているようだ。
上記リンク先の記事中にあるように、他の『スポーツ選手』とともにドーピングの検査も受けることになるというが、ぜひ決勝戦に進出して、和服姿で金メダルを獲得してもらいたいものだ。
東アジアで広く競技人口を抱える囲碁はともかく、近ごろでは日本の将棋も国外に伝播しつつあるという。羽生名人もやがて『スポーツ選手』として海外のメディアに取り上げられる日が来るのだろうか。

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