製造・販売実績64年! ヴィンテージ・バイク 「ロイヤル・エンフィールド」

製造・販売実績64年 !! Royal Enfield Bullet 350

ひょんなことから、ロイヤル・エンフィールドのバイクが日本でも販売されていることに気がついた。古典的なブリティッシュ・バイクのメーカーで、元々はイギリスのロイヤル・エンフィールド社が生産していた正真正銘の「ブリティッシュ・バイク」であったのだが、1970年にイギリス本国のロイヤル・エンフィールド社が倒産し、国外での生産拠点であったインドの法人は生き残ったため、現在でも生産が続けられている。

目下生産されているどのモデルもヴィンテージなスタイルが保たれているが、特筆すべきはBullet 350というモデルである。英国での生産は1948年開始(1960年に終了)で、インドにおいては、1955年から現在まで製造されているという超ロングセラーだ。インドにおいて55年間、イギリスでの製造開始時期から数えると64年間も造り続けられているのだから驚きだ。

現在、道路を走っているバイクの中で最も設計時期が古いクラシック・バイクだが、それでいて「新品で購入できる」という非常に希なモデルということになる。

インドでは、正直なところ、このバイクは若者たちの間で人気はほとんどない。彼にとって何ら珍しいものではなく、父親かそれより年上の世代の人々が乗っていた古臭い乗り物というイメージしかないのは仕方のないことだろう。

世界中から引き合いがあるロイヤル・エンフィールドだが、これを目当てに西欧等からインドにやってくる人々もある。「このバイクを乗り回すためにインドに来た。半年くらいツーリング楽しんでから売り払って帰るよ。」という人もいるし、ヒマラヤ地方でロイヤル・エンフィールドに乗ることをウリにするバイク・ツーリングのツアーに参加する人たちもある。中には、インドでこのバイクを購入して、一路西へと走り続ける人もいたりする。

「パキスタン、イランを経てトルコへ。そこからさらに陸路でチューリッヒまで帰ります」なんて言うスイスから来た男性に会ったことがある。もちろんバイクを購入するだけでなく、まとまった距離(ちょっと気が遠くなるほどだが・・・)を走破してみたかったのだろう。

このバイクが走行する様子を、Youtubeで閲覧していただきたい。クラシックな装いはもちろんのこと、単気筒エンジンのサウンドも素敵だ。まさに大人のバイク。

Enfiled Bullet 350 Review (Youtube)

ロイヤル・エンフィールドは、今年3月の東京モーターサイクルショーに出展しており、日本では年間販売300台を目指すというが、まだまだ超レアなバイクとして注目度満点だ。上記リンク先の記事内で、「インドで若者の間で人気が高く・・」というのは明らかに誤りで、「腹の出た年配者が乗るバイク」「オジサンの乗り物」と記述するのが正しいが、日本市場における営業面での配慮から、こうした表現になったのだろう。

伝統あるBullet 350は当然魅力的だが、個人的にはミリタリー風に仕立てられたClassic Military 500 EFIに大変惹かれる。まるで、映画「大脱走」でスティーヴ・マックイーンが駆っていたバイク(実はこのバイクもロイヤル・エンフィールド!)を再現したかのようである。

ロイヤル・エンフィールドを乗りまわす人たちによるロイヤルエンフィールド友の会Royal Enfield Owners Club of Japan、といったサークルもあり、かなりコアなファンや熱烈な愛好家たちの存在がうかがえる。

最後に、インド最北部のラダック地方の海抜3,000~4,000m級の高地をロイヤル・エンフィールドで駆け回る西欧人たちの映像をご覧いただきたい。

Ladakh Himalaya Ride by Royal Enfield, India.mpeg (Youtube)

古い時代のバイクなので、オフロードやコンディションの良くない場所での走行が快適とは思えないが、それでも臆することなく、ワイルドにガンガン乗りこなせてしまうのは、現在でも生産されているのでパーツの供給はふんだんにあること、そして何よりも他のヴィンテージ・バイク(とうの昔に生産が終了しているもの)と違い、車両価格が安い「実用車」ということもある。ロイヤル・エンフィールドの販売価格については、こちらをご参照いただきたい。(価格はインド・ルピー表示。1ルピー=約1.5円)

しかしながら、日本でのロイヤル・エンフィールドの販売価格は大きく異なることについてはご注意願いたい。

「製造・販売実績64年! ヴィンテージ・バイク 「ロイヤル・エンフィールド」」への2件のフィードバック

  1. はじめまして。ムンバイ在住で、ブレットに三年ほど乗っていました。日本にいた頃も、バイク購入時 迷ったすえに、350CC が最小であることがネックになり、ブレットを諦め、カワサキのバイクに乗っていました。妊娠・出産を経て、家庭のサイズに合わせて、スクーターと四輪車に乗り換えたいまでも、ブレットの音を聞くと「ぐぐぐ……」と胸がうずきます。

    「若者に支持されていない」という点、私がブレットを買った六年前もそんな感じでした。でも近頃は変わってきているようです。ヤシュ・チョープラーの遺作といわれるシャー・ルク・カーン最新作『Jab Tak Hai Jaan』のポスターには、ブレットに乗ったシャールクが大々的にフィーチャーされていますし、サブ・ヒロインのアヌーシュカ・シャルマーが青緑色のブレットに乗っている写真も見かけます。また昨年リリースの『Zindagi Milegi Na Dobara』出演に絡んで、ヒロインのカトリーナー・カイフがバイク運転の練習をして話題になりましたが、このとき彼女がリティーク・ローシャンをタンデムシートに乗せて走ったのもブレットでした(女性の練習向けとは言えない重いバイクですが、格好いいので選ばれたのでしょうか)。銀幕を離れて街を見てみると、最近ではハーレー・ダビッドソンも売られるようにはなりましたが、そんな超高価な輸入品を買えるのはごく限られた超富裕層のみ、アッパー・ミドル・クラスから富裕層ぐらいの若者にとってみれば、やはり手に届く価格でなおかつ格好いい“Desi”バイクはブレットに尽きるようで、ファッショナブルな若者が乗り回す姿も多く見かけられるようになりました(同時にオヤジ層の人気も高いところがこのバイクの面白いところです)。

    Indo.to、なにかの検索で辿り着いて、久しぶりに拝見しました。以前とはだいぶ姿が変わっていますが、現地に住んでいても英語の新聞では理解できない時事ネタなども丁寧に書いてくださっているので、興味深く読ませていただきました。これからも期待しています!

    1. コメントありがとうございます。
      まだ作品自体は観ていないのですが、映画『Jab Tak Hai Jaan』のポスターやクリップでフィーチャーされていましたね。
      インドの若者たちにとって、チョイスの幅が広がってきたこともあり、ある意味「眼が肥えてきて」あるいは「身近なものを見直す」
      ようになってきて、国内で昔から愛用されているDesi バイクの人気が高まってきていると嬉しく思います。
      こうした流れが大都会から中小の都市などにも及んでいくといいですね。
      世代を越えて人々に支持されるバイク、素敵です!

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