もうひとりの女盗賊、政界進出へ

彼女の名前はレーヌー・ヤーダヴ。U.P.州のアウライヤー地区のジャマリプル村出身。24歳の彼女は、7年前の2005年2月に警察により、彼女が関わったとされる15件の殺人、誘拐、強盗のかどで逮捕された女盗賊。U.P.州西部、M.P.州北部、ラージャスターン州東部にまたがるチャンバル渓谷で暗躍していた。

もっとも彼女の盗賊としてのキャリアは決して長いものではない。2003年11月に、チャンダン・ヤーダヴ率いる盗賊団に通学中に誘拐され、10万ルピーの身代金を要求された父親が、それを払うことができなかったため、そのまま彼らの仲間入りすることになったという珍しい背景を持つ。盗賊として活動していた期間は実質1年強といったところだ。

そもそも警察に身柄を拘束された時点で16、17歳であったこと、彼女が盗賊団入りすることになったのも彼女自身の意思によるものでなかったため、今年5月末に釈放されてからは、更生の機会が与えられることは決して悪いことではないかもしれない。彼女には8歳になる娘もいる。

彼女が大きくクローズアップされるようになったのは、政界入りが揶揄されるようになったためだ。サマージワーディー党(社会党・・・といっても清新なイメージからは程遠い)から国政に進出した元女盗賊といえば、映画「Bandit Queen」のモデルとなったプーラン・デーヴィーがよく知られている。1996年、1999年の総選挙で同党から出馬して国会議員となった後、2001年に彼女が盗賊時代に実行した大量殺人の怨恨により暗殺されている。プーランに続いて、スィーマー・パリハルという女性の元盗賊もこの政党から国政入りを目論んでいた。

そこにきて、今回はレーヌー・ヤーダヴも「元女盗賊」という看板のもとに、被抑圧階級の救済、貧困層の女性の地位向上といったお題目とともに、2014年に予定されている下院選挙による国政進出が予想されている。

先の州議会選挙で大勝した集票力のあるサマージワーディー党からの出馬で、選挙前から知名度も高いこともあり、もし本当に選挙に出ることになれば当選する可能性が高い。決して国政を左右するような立場になる人物ではないが、インド民主主義の大衆主義的な側面を象徴する事例となることだろう。

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