天空の斜面でヴァージン・スノー

ヘリ・スキー
 インドのスキー場といえば、カシミールのグルマルグ、ウッタラーンチャルのアウリー、ヒマーチャル・プラデーシュのナールカンダーなどが頭に浮かぶ。国土の北側に『世界の屋根』ヒマラヤを擁するだけに、もっとスキー場があってもいいような気がしないでもない。
 だが単に山に雪が積もっているだけではなく、ゲレンデに適した地形でないといけないし、スキー場の開発や維持には相当の資金が必要だ。もちろん地域への交通や宿泊施設等のインフラの問題もある。肝心のスキー人口はその国の経済力を反映するものだ。いくら好調に発展を続けているとはいえ、もともとのスタート地点が低かったがゆえに華々しい成長率を記録していること、膨大な人口を抱えているがゆえに将来性を評価されているのであり、一般市民の生活はまだまだとても慎ましいのが現状である。
 それでも将来、インドで交通、通信その他のインフラが遠隔地でも整備され、市民生活のレベルが大幅に向上して名実ともに『消費大国』となったころには、カシミール、ウッタラーンチャル、ヒマーチャル・プラデーシュの三州を中心とする各地にスキー場ができて、賑わう様子を見るようになるのかもしれない。まだまだずいぶん遠い将来であろうが。


 ヒマーチャル・プラデーシュでは、普通『スキー』という言葉からイメージするのとは違うタイプのものもある。ヘリコプターで一気に高地まで飛び、ときに海抜6500mにも及ぶ地点に降り立ってスキーを楽しむという『ヘリ・ツアー』だ。リンク先の記事には資格を有するガイドとともに少人数のグループで滑走、熟練したパイロット、万一のケガにも対応、そしてもしもの場合にはインド空軍の援助も・・・とある。高山病で倒れないのか?酸素ボンベを身に着けて滑るのだろうか?といろいろ疑問が浮かんでくるが、積雪の下の地形がわからない(どこかに深いクレバスが潜んでいるかもしれない)ところで滑ることに不安はないのだろうか?とも思う。もちろんガイドたちが熟知しているコースを行くので心配ないということになるのだろうが。
 それにしても誰もいない斜面で、周囲の高い峰々を横目に滑り降りるのはさぞ気持ちがいいことだろう。しかも丸ごと一週間他のことは何も考えずにひたすらヘリで飛んでは雲より高いところ?でスキー三昧なんて最高の贅沢だ。ぜひトライしてみたい!!
 デリー発の7泊8日のツアーの場合、マナーリーで宿泊して日中はヘリで高地に飛んで滑ることになっているらしい。デリー往復の航空券も含めて税込み6000〜7500米ドルもかかる高額なツアーである。これではとても払えそうにない。参加者の多くはワイルドかつリッチなタイプの外国人なのだろう。そこに勇気がなくて財布も薄い類の外国人が参加したらどうなるのか?ひょっとすると酸素や地形以上に気になるのが天気かもしれない。毎晩『もし明日天候が悪くて飛べなかったら大損だなぁ』と思い悩んで胃が痛くなるかもしれない。おかげで寝不足と酸素不足で意識朦朧、転倒そして骨折、病院に搬送されて手術。思い出は入院先の病室の中での悔し涙・・・とついついマイナス思考へと傾いてしまう。
 でもいつか頑張って参加してみたいと思う。そう遠くない将来、リッチなインド人たちの間でヘリ・ツアーを楽しむのが一大トレンドとなり、急増したツアー・オペレーターたちの過当競争で参加費用がドーンと下落・・・ということはないだろうから、せいぜい『宝くじでも当たったら』ということになるのだろうか。いずれにしても楽しみはしばらく後までとっておくことにしよう。
Heli-Skiing in Manali (123himachal.com)

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