新加坡的印度空間 4

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今日は日曜日ということもあり、観光客相手以外のものでは閉めている店が少なくない反面、裏通りやそこに面したちょっとしたスペースでは、出稼ぎとおぼしき人々がわんさかたむろしている。
道路に面したテラスを持つ飲食店でコーヒーやチャーイをすする人もあるが、多くは道端に座り込んでおしゃべりしたりトランプに興じていたり、数人で酒を酌み交わしていたりする。中にはすっかり酔っ払って路上に仰向けになって寝ている男もある。路地裏では安価な酒やツマミ類を販売している者の姿もあり、こうした人々を相手にそれなりに繁盛しているようだ。
同じインド系の人々でも、ここに定住している人たち、あるいは少なからず他国から観光で訪れる人たちと大きく違うことといえば、身なりや雰囲気が違うことに加えて、女性や子供の姿がほとんど存在しないことだろうか。20代から60歳手前くらいまでの人々、とりわけ30代から40代あたりの男性が、そうした群集のマジョリティを占めている。
出稼ぎの人々は、週末に休日にこうして同郷の人々と会ったり、情報交換したりするため、あるいは単にヒマつぶしのためにリトル・インディアに出てきているのだそうだが、とりわけ夕方の日没時刻あたりになると、その混雑ぶりは頂点を極める。リトル・インディアが持つインド系の人々に対する磁力は注目に値する。
男性だけで大混雑
インド系の出稼ぎの人々は、市内各地に彼らが集まって暮らす地域があるようで、何もこの狭いエリアに集住しているわけではないとはいえ、やはりこういう場所だけに彼らが大人数で仮住まい生活を送るスポットはリトル・インディア界隈にいくつもあるようだ。
普段は閉まったままのガレージのシャッターがたまたま開いているのをふと見ると、コンクリートの床の上に多数のマットレスが乱雑に置いてあったり、傍らに着替えやペットボトルがいくつも放置してあったりと、生活臭が漂っている。
早朝、散歩していると肉体労働者たちを現場に送る手配師のトラックが行き交う。荷台に簡単な席がしつらえてあったり、プラスチックの椅子を置いてあったりという具合だ。モダンかつ先進的な都市国家シンガポールらしくない風景ではあるが。
シンガポール市内各地にヒンドゥー寺院は散在しているし、インド系の人々の姿も多い。だがこのリトル・インディアのようにインド系の人々の密度が高い場所はないとともに、この『インド人街』が今の時代にあっても、内外から様々な目的でやってくる南アジアの人々の流れのひとつの重要な核となっていることに興味を覚えるのである。

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