Iリーグで戦う日本人選手たち 1

以前、2009年から今年までインドのIリーグに所属していた伊藤壇選手について取り上げてみた。その後、Iリーグに所属する他の日本人選手も取り上げてみようと思っていたが、しばらくそのままになっていた。 

リーグにおける日本人第一号選手といえは、2006年から現在まで同リーグでプレーしている和泉新選手である。父親がインド出身の在日2世選手(日本国籍)として知られているが、Iリーグで初めてプレーする日本人選手がインド系であるということはちょっと因縁めいたものを感じる。和泉選手自身が近況を綴っているブログを読んでみると、本人がインド系であるということはほとんど感じられず、インドで暮らす普通の日本の青年といった印象を受けるのだが。 

海外のクラブチームを渡り歩いている和泉選手だが、プロとしての最初のキャリアがシンガポールのSリーグというのが興味深い。当時の所属チームはアルビレックス新潟シンガポールである。 

その名の示すとおり、Jリーグのアルビレックス新潟の関連団体である。クラブとしては独立しており、シンガポールを本拠地とし、現地のプロサッカーリーグのSリーグの構成メンバーであると同時に、アルビレックス新潟のサテライトチーム、つまり二軍にも当たる。 Sリーグでは、外国人選手の人数制限枠がないため、同クラブのウェブサイト登録選手紹介ページを参照してみると、全員が日本人ないしは在日外国人であることがわかる。 

インド代表のエースストライカー、ブティヤー選手も所属するコールカターのキングフィッシャー・イースト・ベンガル・フットボールクラブを振り出しに、ムンバイーのマヒンドラー・ユナイテッド、そして現在はプネー・フットボールクラブでプレーしており、背番号8を付けているのが和泉選手だ。 

Jリーグ出身のサッカー選手で欧州等のチームに移籍し、その活躍ぶりが日本に伝えられている選手は少なくないが、彼ら以外にも日本国外で活躍する日本人プロサッカー選手はかなりあり、その一例が和泉選手ということになる。 

かつてJリーグの草創期で、欧州やラテンアメリカの国々の盛りを過ぎた有名選手たちとともに、自国ではあまり名前の知られなかった選手たちも、当時の日本で始まったばかりのプロサッカーリーグを大いに盛り上げてくれた。そうした中で日本人選手たちは良い刺激を受け、大舞台に憧れるサッカー少年たちの良き手本となった。今やワールドカップ出場常連国となった日本のサッカーのレベル向上に対する外国人選手たちの功績は大きかった。 

前身のNFL (National Football League)からIリーグへと移行したのが2007年。ちょうど日本で1992年に、それまでの日本リーグを元にJリーグが発足したのに相当する。Iリーグは、インド初のプロリーグとして、この国でのサッカーの普及を目指しているわけだが、まだまだ歴史も浅ければ、人気もレベルも決して高くない。まさに今、その歴史の基礎が形作られつつあるフロンティアだ。 

チームごとの外国人枠は4名。このうち同じ試合で3人まで出場できるようになっている。当然のことながら外国人選手は、一部の傑出した選手を除いた他のインド人プレーヤーたちより格段に高い技術と能力を持つ『助っ人』としての役割が期待されているわけだ。 

<続く>

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください