国名・地名の表記

リンク先記事によると、諮問評議会定数45名のうち30名が直接選挙で選ばれたとのこと。この国の政治のことはよく知らないが、残りの15名はおそらく王族の指定席であったり、国王の指名する者であったりという具合なのだろう。それでもこうした形で民意が反映されることは悪くはない。

ところで国名は本来は「قطر‎」つまり「カタル」なのに、メディアではよく「カタール」と表記される。なぜ長母音を加えてしまうのかといえば、英語力での綴り「Qatar」の「ar」部分は「アール」であろうという連想から来るのだろう。日本語での外国地名表記のありかたについては、基本的に現地の読み方に準じるというスタンスはあるようだが、独自の文字(アラビア文字など)が用いられる地域では、英語での表記から日本語の読みが書き起こされるという揺れがあるようだ。

パキスタンの「ペーシャーワル」(پشاور)も同様で、長母音となるのは「ペー」と「シャー」の部分であのだが、日本のメディアではいずれも短母音となり、なぜか「ワル」が「ワール」となる。だが英語での綴りPeshawarを思い浮かべると、「Pe」「sha」のいずれにも長母音を暗示させるものはなく、「war」は日本語における慣用として長母音化される現象が起きるのだな、と推測される。

いずれも日本にとって馴染みのある土地ではないため、英文情報から起こされたものを記事にする際に、こうした形で定着することになったのだろう。

インドのIT産業隆盛により、急速に注目を集めるようになった90年代前半、その中心地となったバンガロール(現ベンガルール)については、当時すでに「バンガロール」でほぼ定着していたものの、ニューズウィーク日本版などを中心に「バンガロア」「バンガローア」という表記も散見された。「Bangalore」の語尾を「ロア」ないしは「ローア」と読んだらしい。

同様にかなり前のことになるが、旅行業界関係者が「Lahore」と「ラホーレ」と表記した例も目にしたことがある。日本語表記については、現地の読み(لاہور=ラーホール)ではなく、定着している英語表記をどう読むか?ということになっている例が少なくないように思われる。

女性の当選者なし 初の国政選挙―カタール (JIJI.COM)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください