昔のインドのオジサンたちの中で、こういうキンキン時計している人たちがけっこういた。
それでもって複数の指にゴツいリング、胸毛がシャツからはみ出た首には金色のネックレスとか。
そんな危険ないでたちを初めて目にしたとき、「あっちゃー、インドのヤクザヤさんかぁ?」と引けてしまったが、ただの市井の人たちで、世話焼きのオッサンたちだったりした。
悪い奴ではなくて、ただセンスがすこぶる悪かっただけなのだ。
若者たちも同様で、洋装ではいまみたいなカッコいい人たちは不在で、当時の銀幕のヒーロー、ヒロインですら、観ているこちらがビビるような具合。
90年代以降に衛星放送で外国の映画やドラマが入るようになると、試行錯誤?しながらだんだん普通に(笑)なったきたのであった。それまでは、国外での流行やトレンドなんか、ほとんど関係なかったインド世界。
そう思い起こすと、メディアの力、経済開放によるインパクトというのはものすごい。
音楽シーンでも同様で、80年代末までのインドのポップスといえば、映画挿入歌でほぼいっぱい。洋楽の入り込む余地はたいへん狭く、イギリスでグラビアモデルから歌手に転向したサマンサ・フォックスが、なぜか「ロックスター」として絶大な人気だったのがたいへん不思議だった。たしかインドでライヴもやってたような記憶がある。
昔ながらの金ピカ時計を目にして、ふとそんなことを思い出した。