「ヒルステーション」としてのラーンチー⑤

乗り合いオートで出発!

昔のインドの博物館、とりわけ地方のそれといえば、失礼ながらホコリまみれのゴミ箱みたいであった。展示はいい加減でメンテナンスもされておらず、ホコリやゴミが溜まるいっぼうであった。

だが近年は大きく進歩している博物館が多い。ラーンチーの州立博物館もそうだ。展示物は多くはないものの、とりわけ少数民族に関する展示は良かった。村での暮らしがなんとなくイメージできるジオラマがしつらえてあるのだが、よく30幾つの少数民族が住むと言われるジャールカンドの田舎の様子をうまく再現してある。

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州立博物館の上階には絵のギャラリーもあった。こちらはあまり面白くなかったが、ひとつだけ煌めきを放つ作品があり、寄って見てみると製作者名は「Parvati Devi (Hazaribag)」とあるではないか!そう、あの民俗画の村の鬼才パルヴァティ・デーヴィーの作品である。

パルヴァティ・デーヴィーの作品

やはりこういうところに置いても、彼女の作品はまったく別格なのだ。田舎の村で自宅の壁を飾るだけで終わってしまっては、あまりに惜しすぎる。世界で広く認知されるべき才能だと私は思う。

その後、再び移動してトライバル博物館へ。先ほどの州立博物館における少数民族の紹介展示と傘鳴る部分はあるのだが、ここではその少数民族のみに焦点を絞った展示。内容も良くて楽しめたのだが、どうしても許せない展示物が複数あった。

トライバル博物館

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その許せない部分とは、せっかく良いものを置いているにもかかわらず、ショーケース内の電気が点いていないので見えないことだ。点灯させ忘れか、電球が切れているのか知らないが、点灯しておらず見えない展示がひとつやふたつではなく、たいへん多いのだ。何たる怠慢・・・。

このように照明がなされていないものも少なくなかった。

しかし今の時代の私たちには力強い味方というか、頼もしいツールがある。スマホカメラをショーケース内の漆黒の病みの中に向けて、夜景モードにして覗いてみると肉眼では見えなかった展示をスマホ画面上で観察することができるのは幸いである。

消灯していてもスマホの「暗視能力」でこのとおり。
消灯していてもスマホの「暗視能力」でこのとおり。

〈完〉

内容は新型コロナ感染症が流行する前のものです。

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